今季から4-4-2採用。無敗の広島を止め、今季ホーム初白星を
開幕から無敗街道を走り続けている好調・広島。昨季まではガチガチのミラーゲームになっていた相手だが、今季の広島は4-4-2システムを採用している。果たしてどんな戦いになるのか。
一体感の表現は一戦ごとに高まりつつある
ルヴァンカップを合わせ7連戦、そのうちJ1第3節のG大阪戦が急遽開催中止となったため、開幕から公式戦5試合を戦ってきたチームが、今節の広島戦でひとまず連戦を終える。
前節のC大阪戦は前々節から中2日の敵地で、先発9人を入れ替え、個々が経験値や実力で上回る相手に主導権を握られることも想定した上でのスタート。粘り強く戦って機を待ち、相手が疲れてきたタイミングで勝負を懸ける。そのプランは終盤まで筋書きどおりに運んでいたのだが、87分に一瞬のほころびを作られ、スーペルゴラッソを叩き込まれて今季初黒星を喫した。
評価の難しい試合だった。集中してポジショニングした守備は相手を苦しめ、ここまで全試合で複数得点を挙げてきた好調のC大阪を1点に抑えている。ベンチワークのタイミングもハマっていた。ただ、勝点1を取れた試合だったとも言える。また、前半の我慢の時間帯、相手の攻撃時間を削る目的のポゼッションにおいても、自陣でのミスからピンチを招く場面がいくつかあった。サイドでなかなか起点を作れなかったこと、力量の高い相手SHが中へ入ってくることへの対応にも追われシャドーの髙澤優也や渡邉新太が献身的にプレスバックしたぶん伊佐耕平が孤立しがちになったことなどから、攻撃の形をなかなか作れなかったことも課題として残った。
それでも、全員でプラン遂行に努める一体感は、一戦ごとに増しているように見える。戦力が大幅に入れ替わった中で最も大事なポイントのひとつであり、連戦下の総力戦でその部分が底上げされていくことは、長期的視点での大きな収穫だ。2種登録の屋敷優成もリーグ戦デビューを果たし、今後への期待が高まる。
特徴あるプレーヤーが今季は異なる配置に
連戦のラストにホームに迎えるのは、スタートから好調の広島だ。リーグ戦はここまで5試合を終えて2勝3分と無敗で勝点を積み上げている。
昨季まで片野坂知宏監督の大分と城福浩監督の広島は3-4-2-1同士のミラーゲームで、ガチガチの堅いゲームを演じてきた。だが、今季から広島は「変幻自在の攻撃」を目標に掲げ、攻撃時の前線の厚みを増すために4-4-2システムを採用。攻撃時は両SBが積極的に攻撃参加し、守備でも前線からボールを奪いに行くなど戦い方に変化を見せている。
堅守は健在で、第2節の横浜FM戦では3得点3失点で引き分けたが、仙台、札幌、鹿島にはいずれも1失点。前節の清水戦は今季初の無失点勝利を遂げた。
連戦下でやはり戦力を入れ替えながら戦っている中、開幕から2戦連続得点したジュニオール ・サントスは第3節以降はベンチスタートと欠場。2トップの一角には浅野雄也が入っており、生え抜きの鮎川峻と組むこともある。昨季までは左WBで脅威となっていた柏好文が右SHで起用されていたりと、システム変更にともなう選手の配置転換も興味深いところだ。ちなみに今節、大分戦で得点が生まれればクラブのJ1アウェイ通算600得点目となる。
前節・清水戦の翌日には川辺駿と佐々木翔がA代表に、さらにその翌日にはU-24代表に大迫敬介が選出されるなど明るいニュースが続いた相手。だが、昭和電工ドーム大分で今季ホーム初白星を狙うこちらにも譲れないものがある。無敗・広島の勢いを止めて、スタジアムに歓喜をもたらしたい。