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今節の見どころ

今季ラストスパート。タフな5連戦の初戦は調子を上げている仙台と

 

新型コロナウイルス禍に悩まされた今季もいよいよ大詰め。そしてここに来てその影響による過去最高の過密日程に挑むことになった。中2日を3回挟む5連戦の初戦は、調子を上げている仙台との一戦だ。

 

心臓破りの5連戦の初戦

試合前日の5日に、仙台のトップチーム選手1人が新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受けたが試合は予定どおり開催されることが発表された。第3波到来によりいつ誰がどこで感染するかわからない状況となりつつある中、陽性判定を受けた選手の1日も早い回復を願いつつ、集中して試合に臨みたい。
 
11月14日に予定されていた明治安田J1第27節A柏戦が、これもコロナ禍で12月9日に延期されたため、チームはこの未曾有のシーズンラストに5連戦を戦うことになった。試合間隔は中2日が3回とスケジュール的にも厳しい上に、A柏戦と12月16日のA湘南戦はいずれも19時キックオフ。これだけの過密日程で12月のナイトゲームは未体験ゾーンで、片野坂知宏監督も「何が起きるかわからない」と緊張した面持ちを見せる。
 
今節は、その5連戦の初戦だ。残りホーム2試合のうちの1試合でもあり、最終節まで乗り切るための勢いをつけたいとともに、この状況でも感染対策しながらスタジアムに駆けつけてくれるファンやサポーターたちと喜びを分かちあいたい。
 
直近の3連戦は川崎F、C大阪、名古屋との上位対決だったが、トータルで勝点4を加えることが出来た。攻守両面で対相手の狙いがよく表現され、内容的にも手応えの感じられる3試合だった。その経験値も積み上げるかたちで今季の集大成に向かうべく、チームは隙なく準備しているはずだ。1日にはひさしぶりの2部練で、午後からライフキネティックも実施。多角的にコンディション向上を図った。
 

システム変更後、調子を上げている仙台

今季から木山隆之監督が指揮を執るようになった矢先にコロナ禍に見舞われ、昨季までとは異なるスタイルを浸透させるのに手間取った仙台。もとより特長的な戦力も揃っており、試合内容も悪くはなかったのだが、今季のレギュレーションで厳しさを増したJ1で結果を出すまでには至らず、長らく苦しい時期を過ごしてきた。
 
だが、シーズン終盤になって歯車が噛みあった感触が見えている。システムをそれまでの4-4-2から4-3-3へと変更し、起用戦力も若干変えて臨んだ第27節・G大阪戦で、好調な強豪を4-0で下すと、以後は試合内容も上向き。守備の安定に加え、今季鳴り物入りで獲得しながら負傷で長期離脱していたイサック・クエンカが復帰後フィットしてきたことや、G大阪戦でハットトリック以降4試合連続得点でチームに貢献した長沢駿をターゲットとするサイド攻撃がハマってきた。
 
第16節の前回対戦は大分が3-0で勝利したが、後半は仙台の修正に遭い苦戦。スコアほど大勝したイメージはない。11月8日に行われた第11節、アウェイで仙台に3-0で勝利した鳥栖が、その17日後の第29節にはホームで0-1で敗れており、いまだ最下位に沈んではいるが、油断の許されない相手だとわかる。
 
ただ、ホームに柏を迎えた前節の仙台は、ネルシーニョ監督の的確な“ストロングポイント潰し”の前に得意のサイド攻撃を封じられ、0-2負け。長沢の連続ゴールも封じられてしまった。
 
長沢とはG大阪のヘッドコーチ時代にともに戦った片野坂監督も、そのストロングポイントを出させないように戦いたいとコメントしている。ネルシーニョ監督とは異なるやり方になるだろうが、大分がどのように仙台を封じ、仙台から得点するかが楽しみだ。
 

試合に向けての監督コメント

■片野坂知宏監督
 
強い上位との3連戦を1勝1分1敗。川崎F戦と名古屋戦で勝点を取ることが出来たし、選手も集中して戦う姿勢をもって狙いを合わせてやってくれている。いいパフォーマンスを維持してくれていると感じている。守備の狙いをチームとして持っていて、それを思い切ってアグレッシブにチャレンジできている。迷いなくやろうと選手に伝えているし、選手もよくチャレンジしてくれている。上位のチームはボールのつなぎも上手く個の能力に長けた選手も多いので、簡単にボールを奪うことはできない中で、守備の狙いを合わせていかなくてはならない。選手がよく理解してくれている。
 
仙台は今季から木山監督が就任していろんなチャレンジをされている。システムもゲーム中でも変化したり、怪我人も状況もありながらやりくりして、いま調子自体は悪くない。勝点を積んでいるし、G大阪には4-0で勝利した。ようやく戦術が少しずつ浸透しているように見える。順位的には仙台は18位だが、簡単に勝てる相手ではない。上位との対戦でやってきた姿勢を、どういう相手にも切らさずやっていけるようにしなくてはならない。
 
長沢駿はG大阪で僕も一緒にやったが、サイドからの攻撃で彼の長所を生かせていると感じる。クロスから得点も量産している。彼のストロングを出させないようにしたい。守備も4-3-3でやられている中で連動しているし、攻撃も長沢選手の良さを引き出して得点し、勝点を積み上げてきている。それ以外の選手でも、クエンカ選手がフィットしたり、中盤の人数を増やして守備を堅くしながら攻撃で上回ってボールを運び、構築している。やはり木山監督が目指すサッカーが具体的になってきた部分があるのかなと思う。
 
ホームゲームは残り2試合しかないので、勝てるゲームをして、試合後に一緒に喜び合えるようにしたい。この終盤に5連戦で中2日が多いのは、初めての経験。選手がどのような状態になるか予想ができないが、これまでどおり目の前の試合にいい準備をすることに尽きる。しっかりと選手の状態を見極め、対戦相手によってメンバー、戦い方を明確にしながら、少しでも上に行けるよう厳しい相手の5連戦だが勝点を積み上げたい。