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今節の見どころ

勝ちきれなかった試合から中2日でのニッパ球。同級生監督の采配合戦も

 

ここ2戦は「勝たなくてはならなかった」と感じさせる内容で1分1敗。要因のほとんどは決定機逸に尽きる。悔しい思いを抱えて前節から中2日で乗り込むアウェイはニッパ球。つい先日、横浜FMに0-4で屈したスタジアムだ。

 

10月10日の苦い記憶を塗り替えろ

横浜を拠点とするJリーグ3クラブの試合が開催される、ニッパツ三ツ沢球技場。片野坂知宏監督も毎年、この敵地で戦ってきた。2016年J3第15節・YS横浜戦(0●1)。2017年J2第26節・横浜FC戦(2◯1)。2018年J2第40節・横浜FC戦(1●3)。2019年J1第18節・横浜FM戦(0●1)。
 
ここまで1勝3敗という戦績からの今季。約1ヶ月前の、2020年J1第21節・横浜FM戦では0-4というスコアで敗れている。スタンドとピッチが近くアウェイ感満載の雰囲気も、風雨の影響を受けやすい環境も、難しいスタジアムだ。とは言っても、漂っている“鬼門感”など、さっさと払拭してしまいたい。
 
第21節・横浜FM戦の屈辱的な敗戦後、第22節・神戸戦以降は内容が急激に上向いている。特に第23節・G大阪戦と第25節・浦和戦は、それぞれの相手に対してその長所を消しながら短所を突く狙いをもって、非常にコレクティブな戦いぶりを披露した。主導権も握り決定機も多く築いたが、ただ、その決定機を仕留めきれずに勝点を取りこぼしている。
 
前節終了後、選手たちの狙いを合わせた戦いぶりには手応えを感じつつ、指揮官は「どれだけ内容がよくても得点できなくては勝点3は得られない」と悔しさをあらわにした。何か感触をつかんだように見えた知念慶も「2試合連続無得点は持ち帰るべき課題」と口にしている。ボールを動かして相手の守備を崩せているにもかかわらず、走り込んできたフィニッシャーのシュートが枠外やGK正面に飛んでしまうのは、指揮官が言うとおり「当事者がトレーニングから意識していくしかない」。単純な足元の技術なのか、個でタイミングを外すといったアイデアなのか、一歩二歩早く動き出せばもっと余裕をもって打てるのか、メンタル的な落ち着きなのか。それぞれの場面を振り返って細部にこだわる修正力が問われる。
 

前節、同じく決定機逸に泣いた横浜FC

前節は横浜FCも決定機で2度ポストに弾かれ、ダービーの相手・湘南に0-1で敗れた。丁寧にビルドアップする横浜FCと高い位置でブロックを組んで攻め返す湘南が互いに長所を出し、どちらに転ぶかわからない試合展開だった。0-3で敗れた前々節・札幌戦に続き、横浜FCはこれで2連敗となった。
 
前節から中2日だが、前節がBMWスタジアムでの神奈川ダービーだったため、移動疲れはない。だが、怪我明けで前節が復帰戦の中山克広ら、コンディション的に連戦で起用するかどうかわからない選手もいる。短い準備期間で対大分戦術をどう練ってくるかも予想しづらい。
 
大分と同じ3-4-2-1のフォーメーションで戦う札幌は、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が時折披露するマンツーマンプレスで横浜FCのビルドアップを阻みつつ、幅を使った攻撃で揺さぶりをかける戦法に出て、強力な外国籍選手が存在感を発揮していた。
 
横浜FCに自由にビルドアップさせない点と4-4のブロックに揺さぶりをかける点、ポイントは同じであっても、大分はまた札幌とも湘南とも異なる横浜FC攻略法を見せるはず。起用戦力については、前節出場したメンバーのコンディションも見ながらということだったが、浦和戦に絡まなかった選手たちも、前節までの2週間のブレイク期間にいいトレーニングが出来ていたと片野坂監督。戦力の入れ替えは十分に考えられる。ここ2、3試合のように緻密な準備を施して臨むと思われるが、それがハマるかどうか。ハマったらあとは決定機で仕留めるだけだ。
 
片野坂監督と下平隆宏監督の仲良し同級生対決。昨季J1とJ2の優秀監督対決でもある。いずれも伊達に優秀監督賞に輝いていない。共通点も多そうなサッカー観をぶつけあう。ニッパ球に帰った野村直輝の躍動にも期待したい。
 

試合に向けての監督コメント

■片野坂知宏監督
 
浦和戦の疲労がどのくらい残り、リバウンドがどれくらいあるか。選手によってバラバラな部分があると思うので、まず浦和戦に出た選手がどれだけ回復するかを考える。横浜FCさんも少し怪我人が出たりしているようだが、ホームでシモ(下平監督)も、短い準備期間でも練ってくる可能性がある。とにかく自分たちが思い切って出来るメンバーで、そういうサッカーをしたい。
 
この2週間のブレイク期間で、浦和戦のメンバーだけでなく他のメンバーもすごくいいプレーをしてくれていた。いろんなオプションの可能性を秘めている選手がまだいるので、そういったところを使うかは、浦和戦のリバウンドを見て判断したい。
 
ここ何試合かは勝っていないが、内容的には手応えを感じる部分があるし、戦術のところでも、こちらが分析した中で提示して、それを選手が理解してしっかりピッチで表現してくれて、ピッチに出ている11人が集中して戦ってくれている。その姿勢がすごく大事だと思うし、そういうのがないといいサッカーが出来ずいい結果にもつながらない。
 
ただ、「いいサッカー」は出来ていても結果につながっていないのが本当に申し訳ない。ファン、サポーターのみなさんや関係者にもそうだし、選手にも勝たせてあげていないので。そのへんを、あきらめずにいい部分を継続して、とにかく点を取るためにどれだけ当事者がこだわってやってくれるかというところで、チャレンジしていくしかない。
 

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