2週間ぶりの公式戦。組織の完成度を高めた浦和と対峙する
2週間のブレイクを挟んでのホーム連戦となる明治安田J1第25節。チームはホームスタジアムに好調の浦和を迎える。相手は戦術浸透度を高めているが、前回対戦の雪辱を果たしたい。
2週間のブレイクで準備は万端
ACL日程との兼ね合いで第24節・FC東京戦を9月16日に前倒しで開催したため、今節は第23節のG大阪戦から2週間ぶりの公式戦。夏の過密日程を乗り越えてきた選手やスタッフたちは、ひさしぶりに心身を休めることが出来たようだ。オンライン取材に応じた島川俊郎は「意識していなくても、体だけでなく精神的にもじわじわと疲れていたと思うが、一週空いたことでみんなフレッシュになり、意欲をもって試合に臨める」と笑顔を見せた。
第23節のG大阪戦は、相手のハイプレスにハメられることなくボールを動かし、狙いどおりのかたちで好機を量産すると主導権を握って試合を進めたが、数々の決定機を逸するうちにセットプレーで失点し、0-1で敗れた。非常に悔しい結果となったが、一方で、ピッチに立つ全員が共通認識の下に一体感をもって組織的に戦えた手応えも大きく、今後に向けて期待が膨らむ内容でもあった。
一度は怪我から復帰してトレーニングしていた香川勇気がトレーニング中に再び負傷し、全治3ヶ月と診断されたことは痛手だが、長らく別メニュー調整を余儀なくされていた小林裕紀が元気に戦線復帰するなど、好材料もある。野村直輝もこのブレイク期間は個人的に2部練習に励みコンディションを上げているようだ。異例のシーズンとなった今季の残り10試合を、少しでも良好なチーム状態で戦いたい。
組織の完成度を高めて好調の浦和
第13節、アウェイでの浦和との前回対戦では開始早々に狙いのかたちから三平和司のゴールで先手を取ったが、個々の力量の高い浦和は徐々に大分を圧倒すると、立て続けに失点して1-2で逆転負けを喫した。それでも組織の完成度では浦和を上回っており、内容と結果がともなわないまま試合を終えた印象だった。
ホームで戦う今節こそは前回の雪辱を果たしたいところだが、片野坂知宏監督は「前回のようには行かない」と厳しい表情で話す。ここ最近の浦和は、大槻毅監督がコツコツと浸透させてきた戦術が組織的に表現されるようになっており、それが試合結果にも表れている。
前々節の仙台戦には6-0で大勝。前節は堅守のC大阪から3得点を奪って逆転勝利している。レオナルドや興梠慎三ら優れたストライカーに加え、汰木康也やマルティノスが存在感を高めつつ周囲と組織的に絡んで厄介な攻撃を繰り出すようになった。
その華やかな攻撃を支えるのは、しっかりとオーガナイズされた守備だ。特に前線からの連動したプレッシングは相手のビルドアップを阻み、リズムを作らせない。切り替えも早く、攻守の表裏一体感が、浦和の好調の象徴のようだ。
大分としては浦和の攻撃を防ぎつつ、ハイプレスをかいくぐって攻めることがカギとなる。前の試合の相手であるG大阪とは攻守それぞれに一味違うが、こちらも組織力を発揮して戦えば、好ゲームが期待できるはずだ。
大分のサポーターにとっては、西川周作と岩武克弥の2人の生え抜き、また昨季期限付きで在籍した伊藤涼太郎との再会も楽しみのひとつ。浦和サポーターの来場にも心躍る一戦だ。どうか素晴らしい週末になりますように。
試合に向けての監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
この2週間のブレイクで、まずはこれまでの連戦の疲労を取り、切らさずにコンディションを万全にすることに重きを置いた。また、試合に出ている選手と出ていない選手、試合数や時間によってコンディションがバラバラで、出ている選手はある程度戦術の狙いは感じているが、出ていない選手も残り10戦に向けチームとして同じように戦えるよう、狙いを合わせてやれるようにトレーニングし、チーム内での紅白戦で競争を促した。
浦和は前回アウェイで対戦したときよりも大槻監督のやりたいサッカーを、攻守両面で選手が90分間しっかり戦っている。メンバーも若干変わっているし、選手層や個人のところでは間違いなくわれわれよりも格上の相手。もともと個の能力の高い前線の選手がたくさんいて、ポジションでの特性を攻守で生かしている。90分のマネジメントの中で交代選手を含めてパワーを持っている選手、得点力のある選手が途中から出たりして、クオリティーと攻撃力、強度が落ちないゲームが出来ている。そういうところで自信をつけているところが、いまの強さにつながっているのではないかと思う。
■MF 4 島川俊郎
浦和は個人個人の能力がすごく高く、すごく難しい相手。相手がどういう形で来るかわからないが、こちらもトレーニングどおり、チームのやり方をみんなが全うできれば、勝つチャンスは増えてくると思う。初めて戦う相手でもないし、みんなそれぞれにイメージしながら練習していると思うが、試合までしっかり詰めていきたい。
シーズンの前半戦はチームとして苦しんだぶん、残り10試合は内容だけでなく勝点も取っていかなくてはならない。やっとチームとして一人一人の力を発揮できるようになってきたので、それを今後爆発させられるように頑張っていきたい。
■MF 10 野村直輝
怪我からの復帰後、コンディションはまだ100%ではないが、徐々に上がってきている。あとは味方と合わせられるかどうかというところ。その部分はまだ全然納得がいくほどではない。相手が毎試合変わる中で、狙いも多少変わりながら、臨機応変さがまだ足りていないと感じている。
試合のラスト10分などで相手が引いて守っているときには、ミーティングでコーチたちに言われたことだけをやるのではなく、自分たちのアイデアや勝負をやりきるところ、強引さをもうちょっと出していってもいいのではないかと、ピッチに入ったときに感じた部分もある。