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今節の見どころ

相手は戦い方が、こちらはチーム状態が前回とは違う。第7節のリベンジを

 

9月の怒涛の7連戦を3勝1分2敗で終え、上向いてきた調子が結果に表れはじめた。ひさしぶりに1週間の準備期間を得ての今節は、昭和電工ドーム大分に清水を迎えての一戦だ。アウェイでの屈辱をリベンジしたい。

 

前節の鹿島戦に続き今節も前回対戦の雪辱を期す

新型コロナウイルス感染拡大防止のための入場制限が緩和され、今節から昭和電工ドーム大分は1万4000人の観客を迎える。応援の仕方にはまだ制限がかけられているが、スタンドの密度を回復できることは喜ばしく、チームにとっても心強い。
 
前々節の髙澤優也に続き前節は長谷川雄志も戦線復帰を果たしたが、9月30日には香川勇気、前田凌佑、小林成豪の3名の負傷離脱が公式発表。負傷ではなくとも過酷な7連戦を終えて「選手個々の疲労度、コンディションがバラバラになっている」(片野坂知宏監督)。1週間の準備期間を経て、それぞれに回復に努めたはずだ。
 
今節の相手は清水。7月26日の第7節、アウェイで2-4で敗れた相手だ。開幕5連敗、第6節でようやく鳥栖と引き分けたが最下位に沈んでいた相手に初勝利を献上したばかりか、4失点はいずれもセットプレーから簡単に奪われたという衝撃的な敗戦。雷雨にも見舞われ試合が中断するという憂き目にも遭い、その中断タイムで戦い方を変更して2点を返したことだけが収穫と言えるような試合だった。
 
その流れで結果的に5連敗と苦しんだ時期にあったチームだが、現在はすっかり立て直した。片野坂知宏監督は当時について、連戦の影響や戦力のコンディション、戦術とメンバーを合わせる上での見極めや選手への伝え方などに課題があったと分析し、「それでもブレずに貫いた戦術を選手が信じて続けてくれた。あの経験を糧にしたからこそ現在がある。チームとしての成長段階だった」と振り返る。
 
あの清水戦に続いて4失点で敗れた鹿島に、チームは前節、アウェイで2-0で勝利した。今度は清水へも雪辱を果たしたい。
 

苦戦しながら戦い方を変えている清水

大分に勝利したあと浦和に引き分け札幌に勝ち仙台と引き分けた清水だが、その後は7連敗、湘南戦での勝利をはさんで2連敗中と苦しみながら、今節を迎える。
 
敗れた試合はいずれも複数失点を喫しており、ゴール前でパスをつながれると後手に回るなど、守備での課題が浮き彫りとなっている。守備陣に多く負傷者が出て、六平光成やヘナト・アウグストをコンバートして最終ラインで起用していることも影響していると思われる。
 
ただ、得点は取れており、大分との前回対戦で4得点を挙げている他に、札幌と横浜FMからもそれぞれ3得点を奪っており、ここまで無得点だったのは4試合のみ。前回の大分戦の4得点もすべてそうだったが、26得点のうち10得点がセットプレーから、5得点がクロスから。カルリーニョス・ジュニオが7ゴールを挙げてダントツのチーム得点王となっており、データからも個の強さを生かしたしたたかな戦い方が見えてくる。
 
セットプレーで強度を生かせる選手や外国籍選手が複数出場する清水に対しては当然、粘り強い守備対応が求められるが、今節はホームでもあり、得点して勝ちたいのも山々なところ。清水は球際激しくガツガツ当たりに来るので、それをどうかいくぐってボールを運び攻めるかが準備の焦点となりそうだ。清水は開幕以来4-3-3システムを基本としてきたが、ACL日程との兼ね合いで9月16日に開催された第24節・横浜FM戦は3-4-2-1、その後の3戦は3-5-2でスタートしている。8月のルヴァンカップ第2節・名古屋戦で採用した3-5-2はトップ下を置く形だったが、直近3試合はアンカーシステムだ。清水のフォーメーションがどうなるかによって、こちらの攻め方も変わってくる。
 
残念ながら福森直也は右足関節滑膜炎により離脱中だが、後藤優介は3-5-2のインサイドハーフで出場を重ね、得意の細やかな駆け引きでボールを引き出してはチャンスを作っている。昭和電工ドーム大分で彼の今季初得点を挙げられないよう、気をつけなくてはならない。
 

試合に向けての監督・選手コメント

■片野坂知宏監督
 
前回のアウェイでの清水戦は2-4。セットプレー4発で失点をして敗戦した。70分くらいに雷で中断となり、戦い方を整理して、とにかく点を取りにいくために戦って2点返すことが出来たが、そのあとまたセットプレーでやられた。まず失点の仕方というところでも、前半の入りで受け過ぎた部分があったし、攻撃もなかなか構築できなかった。今回ホームで対戦する中で、前回対戦よりも自分たちが主導権を持てるようなゲームにしたい。
 
いまの清水さんを見ていると、前回対戦したときとは戦い方が違う。システムもメンバーも若干変えてチャレンジされているので、前回の対戦が参考になるかというとまたちょっと違う。われわれの現状の立ち位置、そして清水さんも、なかなか結果がついてこず苦しんでいる。監督が今季から就任してチャレンジされ、ベースやコンセプトのところでトライされているところだと思う。前回のような形にはならないだろうが、セットプレーに関してのキッカーと中の選手の迫力、点を取れる選手が出てくるところでは、しっかりと対策を練って失点しないようにしなくてはならない。
 
前回対戦で4失点したセットプレー、そして流れの中でも鹿島戦で見せた集中力、体を張って守りきる、粘り強く戦うというところはそれがベースとなっていくと思うので、90分戦える戦力を整え、失点0で終えれば勝点は必ず1は取れる。そういった粘り強い戦いを継続していきたい。
 
■MF 8 町田也真人
 
いまは誰が出てもいいサッカーが出来ているし、何よりもみんな自分の判断でプレーできるようになってきている。それが結果につながっているのはチームの底上げが出来ているからで、いい状態だと思う。連敗していた頃とはハートの部分が明らかに違う。あの時期は監督やスタッフの僕たちに対する声かけからも「なんとかしよう」という気持ちが本当に伝わってきた。あの経験がいますごく生きていると思う。
 
清水は前回対戦でセットプレーでやられたが、それ以外でもアグレッシブにいいプレーをするチーム。ただ、今回は僕たちのホームで、サポーターも応援に来てくれる。いまの僕たちなら、清水のアグレッシブさをひっくり返す力があると思う。
 
ここ数試合は前半の入りがよく、僕が出ていた試合では前半のうちに点を取れて、より「行けるぞ!」というムードが生まれた。今節もホームなので前半からガンガン行きたい。でも、そういう展開にならなかったとしても、また前半をしっかり無失点で抑えることが大事だと思っている。
 
■GK 22 ムン・キョンゴン
 
前節は鹿島という強いチームが相手だったが、全員でやるべきことを意思疎通して臨んだ。勝ててよかった。僕は試合結果ももちろんだが、無失点で終わったことが自分の自信につながった。Jリーグデビューの第9節は緊張して周りが見えなかったが、次第に慣れて余裕が生まれてきた。相手がプレッシャーに来たとき最初はビビったが、いまは周囲を見てつなぐことが出来るようになった。
 
清水は大きい選手が多く、セットプレーに強いイメージ。前回対戦のようにセットプレーでやられないようにしっかり準備して臨みたい。大分には長身選手が多くないので、GKコーチからも僕が前に出て守備を楽にしてあげるようにと言われている。しっかり体を張って守りたい。
 
3連勝まではしたが、4連勝、5連勝と続けていきたい。まずは今節、2連勝したい。そしていまは勝点的に厳しい状況だが、最終的にはチーム目標の6位以内を目指したい。個人的には怪我なくシーズン終わりまで試合に出続け、将来的に韓国代表メンバーに選ばれることを目標に頑張っていきたい。