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今節の見どころ

前回対戦の雪辱を果たしたい。7連勝中の強豪・鹿島に挑む

 

ハードだった9月の7連戦も今節で最後。チームは敵地で鹿島と対戦する。シーズン序盤は新たなスタイルへの転換で出遅れていた強豪だが、めきめきと調子を上げて目下7連勝中だ。

 

7連戦ラスト。起用可能な戦力は

明治安田J1第19節で、怒涛の9月が終わる。7連戦を6試合終えて、3勝1分2敗。J1での3連勝は、クラブとしては2009年以来、片野坂知宏監督体制では初だった。うち2試合は完封勝利。また、2試合でそれぞれ3得点を挙げている。
 
指揮官はその快挙の要因のひとつをチーム状態の向上と位置づけていた。だが、再び複数名の負傷者が出て、対相手戦術の中で起用したい戦力をチョイスできなかった前節の広島戦に、0-2で敗れる。前々節から中2日での堅守の相手とのミラーゲームが塩試合になることはもとより想定内だったし、シュート0本で終わった前半も、相手のこともシュート1本に抑えておりプランはそれなりに遂行できたと言えるのだが、そこからのシフトアップにおいて、負傷離脱者がなく戦力が充実している相手に上回られたのが直接の敗因だった。
 
町田也真人や野村直輝の復帰により上向いたチームに、また暗雲が立ち込めるのか。明るい材料としては前節、髙澤優也が第12節・柏戦以来の復帰を果たしたことが挙げられる。一方で、特に懸念されるのはボランチの選手層だ。長谷川雄志は第13節以来メンバー外。小林裕紀は第5節を最後にメンバー入りしていない。前節、前田凌佑が接触プレーにより負傷交代しており、起用可能な戦力が限定されると厳しい。疲労が溜まっている最終ラインと守護神の状態もどれだけ回復したかが気がかりだ。
 
今節の相手・鹿島に対しては、そのスタイルの明確な特徴を突いていきたいところ。ただ、遂行できるゲームプランは戦力のチョイス次第で変わってくるだろう。
 

新スタイルが浸透し柔軟性を増した鹿島

今季からザーゴ新監督の下、新たな姿を見せている鹿島。GKを含め後方からビルドアップするスタイルを導入したが、その浸透に時間を要し、開幕4連敗というスタートを切った。ただ、鹿島がスロースターターなのはよくあることで、今季もしっかりと調子を上げ、現在破竹の7連勝中で暫定5位にまで浮上している。
 
当初は慣れないポゼッションに意識が向きがちだったが、次第に奥行きある視野を確保できるようになったことが上昇へとつながったのか。後ろでボールを動かしながら相手の背後へとロングフィードを適宜送ることでエヴェラウドの強度が生かされるようになり、コンスタントに複数得点を挙げて勝ち続けてきた。
 
前節の湘南戦は中盤の要・三竿健斗が累積警告による出場停止で永木亮太が代役を務め、前々節の負傷により土居聖真も欠場して遠藤康が先発。だが、新スタイルが上手く機能せず、湘南に攻め込まれる場面も多かった。その時間帯を沖悠哉のファインセーブなどでしのぎ切ったことで、途中出場のファン・アラーノによる90+4分の見事な切り替えからの劇的決勝弾で1-0で勝利。こういう試合でも勝ち切るあたり、スタイルは刷新しても鹿島の魂は変わっていない。そこからのホーム連戦。相手の状態は良好なはずだ。
 
大分としてのポイントは、エヴェラウドが起点となる攻撃をいかに抑えて攻め返すかということになる。前節はアバウトなボールの処理でドウグラス・ヴィエイラに上回られて失点し、塩分濃度高くも粘り強く保ってきた均衡を崩したが、今節は相手にいい状態でボールを収めさせたくない。エヴェラウドが落としたセカンドボールへの対応も重要で、荒木遼太郎や和泉竜司が斜めに走り込んでくる前にマイボールにしたい。
 
長いボールと前線からの圧で押し下げられ、中盤と前線が分断されてしまう可能性も大いに考えられる。そうなったときに長所を発揮できるのがスピードに乗って抜けるのが得意な伊佐耕平や田中達也だが、起用可能なメンバーがどうなるか。90分間を見通したゲームプランで勝負どころをどこに置くかもカギになる。
 
7連戦も最後ということで、疲労を振り絞って出場するメンバーもいるかもしれないし、思い切ってフレッシュな戦力に切り替える選択もあるかもしれない。いずれにしても、1-4で敗れた前回対戦の記憶を払拭するような一戦に期待する。
 

試合に向けての監督コメント

■片野坂知宏監督
 
鹿島さんの特徴は、球際で戦うハードワーク。切り替えも早いし、こちらのビルドアップを狙って前から来る可能性が高いと思う。そういう中でしっかりと自分たちがボールを持ってつなぐことが出来ないと、また相手の攻撃も、クオリティーが高くバランスもよく、激しく来る。なんとか太刀打ちできるような形を作っていきたいと思う。