中2日でのアウェイ連戦だが、強豪を相手に前回対戦の雪辱を
わずか11日前の前回対戦はスコア以上に地力の差を見せつけられるゲームになった。変則的な日程で立て続けに戦う今節は、アウェイだが前回よりも好感触を得たい。
前節までの勢いを維持して臨む一戦
前節の仙台戦は6試合ぶりの勝利。片野坂監督体制下でのJ1初の3得点で、無失点快勝。結果のみならず内容的にも攻守両面での積極性や選手起用と配置が有機的に結びつき、試合の流れを引き寄せていくものとなった。三平和司の先制点は狙いとしていたサイド攻撃からの会心の一撃。知念慶の今季2得点目のあとには、選手たちがもみくちゃになりながら全員でゴールを喜びあうなど雰囲気も上々だった。3点目を挙げた田中達也は右WBからシャドーへとポジションを移しながら試合終盤までスプリントの勢いを落とさず、シャドー起用の意図がハマった好機と得点を演出した。他の選手たちも各自の長所を発揮し、のびのびとした戦いぶりでその力を組織へと還元できていた。
2点のビハインドから猛追してドローにまで持ち込んだ前々節・湘南戦の後半から、戦意が前面に表れるようになっている。今季の特異なレギュレーションの下でともに苦しんでいる湘南や仙台との力関係も影響しているかもしれないが、戦う気持ちはありながらそれが外側から見えづらかった試合とは異なり、何かが噛みあった感があるのは好感触だ。
堅い試合になりがちなFC東京戦でも、それを継続できるか。懸念材料は相手が強豪であることだけではない。第3節・広島戦での怪我から復帰して以降、左シャドーで細やかな組み立てに関わり、自身も積極的にフィニッシュに絡んでいた町田也真人が、前節途中で負傷交代したことがひとつ。もうひとつは、ユアスタから中2日での味スタという敵地連戦の厳しいスケジュールだ。7連戦のちょうど真ん中、4戦目にあたる今節は、疲労も蓄積しているはず。それでも上手くチームのポテンシャルを発揮できるよう、プレーヤーもチームスタッフも一丸となって準備していることだろう。前回対戦のようなもどかしい内容にならないよう、持てる力がピッチ上に表れるゲームに期待したい。
ますます層が厚くなっているFC東京
ACLやルヴァンカップとの兼ね合いで怒涛の15連戦を戦っているFC東京は、前節は神戸戦。両軍に外国籍タレントが入り乱れた一戦は、24分に安井拓也に先制を許したが、50分、58分にアダイウトンとディエゴ・オリヴェイラがそれぞれ得点して逆転。タフなスケジュールの中で今季初の4連勝を遂げるかと思われたが、そこに手の届きそうだった90+3分、アンドレス・イニエスタのFKからダンクレーのヘディングで追いつかれてしまった。
それでも8月15日にスタートした15連戦の10戦目を迎える今節まで、敗れたのは8月26日に行われた第26節の鹿島戦のみというのはすごい話だ。引き分けも第11節の広島戦と前節の神戸戦のみで、あとはきちんと勝ちきっているあたりに、やはり勝つことにこだわる長谷川健太監督の采配の巧みさが見て取れる。
スタッフの手腕に支えられつつ未曾有の連戦でこの戦績を叩き出す中で、計算できる選手層がさらに厚みを増している点も、FC東京が強豪であり続けるポイントだろう。大分との前回対戦では、橋本拳人移籍後に代えのきかない存在となっていた高萩洋次郎がまさかの欠場。プロ3年目で生え抜きの品田愛斗がアンカーポジションに入ったが、期待以上の安定感と強度を見せ、システムの要部分を見事に補強していた。
ただでさえピッチに入りきれないほど抱える外国籍タレントたちに混じって、原大智や内田宅哉も主力へと成長している。すでに結果を出し居場所を確立している安部柊斗に続き、その存在感は見る見る増幅中だ。
前節3得点の大分が、森重真人と渡辺剛が率いるFC東京の堅守を、今節はどう攻略するか。前回対戦よりも攻撃のバリエーションや厚みは増している。仙台戦では先に積極性を出して主導権を握り相手に攻撃権を与えず、相手の時間帯には集中して粘り強く守ったが、好調な強豪・FC東京に対しても、果たしてそういう戦い方が出来るのか。
厳しい日程での強い相手との、地力が試される一戦。前回対戦よりもいい内容で戦い、勝利すれば、間違いなく今後への自信となる。
試合に向けての監督コメント
■片野坂知宏監督
前節から中2日で強いFC東京との対戦。もちろん相手も中2日なのだが、またたくさんタレントがいて、パワーのある強いチームが相手なので、まずは仙台戦のあと選手たちにどれくらいのリバウンドがあるか。どういう準備を選手がしてくれているかによって考えなくてはならない。
前回対戦のリベンジが出来ればいいが、相手は強いチームなので…。まあ出来ればお互いベストなコンディションでベストなメンバーで戦えると面白いのだが、コンディションは中2日同士の連戦だし、こういう状況。でも前回はシュート2本しか打てなかったところを、なんとか一泡吹かせたい。