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今節の見どころ

サイドからのクロスを強みにする同士。前節の感触を浮上へとつなげたい

 

前節の湘南に続き、今節も順位の近い仙台との対戦。新体制の仙台も今季は苦しいシーズンを送っている。浮上のきっかけをつかみたい同士、この一戦で収穫を手に出来るか。

 

怪我人多発でも攻撃陣は強力な仙台

新型コロナウイルス禍の影響による過密日程で、仙台もまた、怪我人を多く抱える難しい状況に陥っている。あてにしていたであろう新戦力の長期離脱なども影響してか、現在14試合消化して2勝5分7敗の16位。昨季までチームを率い先鋭的なサッカーを植えつけた渡辺晋監督から今季はまたあちこちのチームで百戦錬磨の木山隆之監督へとバトンが渡され、サッカーのスタイルも一新した中で、戦力をやりくりしながら戦術を浸透させている。
 
前節はシマオ・マテとジャーメイン良が先発に復帰した一方で、先発メンバーに入っていた蜂須賀孝治が試合直前に真瀬拓海への変更が発表されるというアクシデントにも見舞われた。
 
中断明け以降はアンカーシステムの4-3-3で戦っていたが、第7節の柏戦で5失点したことも関係してか第8節からは中盤が正三角形の4-3-3(あるいは4-2-3-1か)とフォーメーションを変更している。今季はインサイドのポジションで出場している関口訓充がトップ下で新たな魅力を発揮しているのもポイントだ。
 
負傷離脱者の多い仙台だが、それでもクロスやロングフィードのターゲットとなる長身FWやボールを持たせると個人技で強度を醸す攻撃的なタレントは健在で、彼らに得意の形でボールを入れられれば一気にピンチになる可能性が高い。前節の鹿島戦では後半からジャーメインに代えて長沢駿を投入し、システムも変更した。そういった変化も見極めながら、対応していかなくてはならない。
 

カウンターは怖いが攻める姿勢を示したい

前節、鹿島に2点先行されながら87分に1点を返した仙台と、やはり湘南に2点先行され約80分猛追して引き分けに持ち込んだ大分。どちらもその流れを今節、いい結果へとつなげたいところだ。
 
大分もコンディション不良のメンバーが多く、日によって回復したり悪化したりがまちまちという台所事情。今節誰が出場できるのかは、チームスタッフであっても直前まで読みづらい状況だと思われる。
 
誰がどういうプランの下に出場することになっても、チームには是非、勢いのあるところを示してほしいが、得点が多く取れていない現状、カウンターを得意とする相手に対し不用意な失点を避けたいという考えも頷ける。ただ、リスクに備えるあまり攻撃のベクトルが弱まってしまっては本末転倒。ピッチに立っている選手たちには、試合の空気感や流れ、相手との力関係を読みながら柔軟に攻守のバランスを取ることが求められる。高木駿や小林裕紀ら、中盤より後ろのセンターの経験豊富なリーダーたちが不在で鈴木義宜にかかる負担も大きくなっていると思うが、片野坂知宏監督とともに今節が古巣戦となる職人タイプの島川俊郎やルーキーの羽田健人、復帰して気合十分な前田凌佑らにも、全体を見てマネジメントするリーダーシップを発揮してもらいたい。
 
球際強い仙台とどう対峙し、どうボールを運んでいくか。サイドからのクロスを強みとする同士、熱い戦いを待っている。
 

試合に向けての監督コメント

■片野坂知宏監督
 
仙台さんは新しい監督を迎えて新しいシステムでやっているので、まだまだ積み上げていかなくてはならないところが攻守にわたってあると思うが、少しずつ形になっているところもあるし、狙いの中でやられているところもある。個の部分やチームとして戦う部分でも侮れないし、簡単にはいかない。
 
昨季はアウェイ仙台戦で0-2でやられ、今季の仙台さんは昨季とはまったく違うのだが、やはりアウェイの仙台戦というのは簡単には勝てない。ホームの利というか、まだ観客の応援がないぶんマシかもしれないが、そういう目に見えないパワーが、ホームゲームではあるチームだと思う。だからやはり先制点がすごく大事になるだろうし、仙台に対しての攻守の狙いを合わせ、しっかり管理してやらないと、また難しいゲームになると思う。