不調に喘ぐ中、どちらが覇気を感じさせるか。最下位・湘南との差は紙一重
9月の7連戦の2戦目の相手は、今季ルヴァンカップ開幕戦で対戦した湘南。湘南もまた今季のレギュレーションに苦しみながら、浮上のきっかけを掴みに、昭和電工ドーム大分へと乗り込んでくる。
前節、連敗を止めた湘南は浮上を狙う
新型コロナウイルス禍による今季の特殊なレギュレーションに、湘南もまた、苦しい日々を送っている。大分と同様、J1の中で突出したストライカーを擁することなく、外国籍選手はタリクのみ。浮嶋敏監督が細やかに組織的なスタイルを構築しているが、連戦続きでメンバーも頻繁に入れ替わり、戦術を十分に浸透させる余裕なく次々にやってくる試合に臨んでいる点でも、大分と似た状況だ。加えて夏場の連戦でハードワークが魅力の“湘南スタイル”も存分に表現されていないように思える。
そんな状況で湘南は現在、1勝2分10敗で最下位に沈む。ただ、第7節からは6連敗を喫したが、第13節の鳥栖戦がコロナ禍のため延期となり(新たな開催日は10月21日)、2週間の準備期間を得て戦った前節は神戸と1-1で引き分けて連敗をストップした。公式発表はなかったが第7節以来負傷していた坂圭佑が第12節のFC東京戦から復帰していることも前向きな材料だ。今節の大分戦で勝利して、なんとか浮上のきっかけを掴みたいところだろう。
システムは3-4-2-1と3-5-2を使い分けているが、直近3試合は3-5-2。ルヴァンカップ開幕戦で対戦したときは岩崎とタリクでスタートしたが、ここ最近は岩崎と石原直樹の2トップで固定。2列目の山田直輝、齊藤未月、松田天馬らと入り乱れながら0トップ的な攻撃を繰り広げており、守る側の的を絞らせにくい。
坂が不在の間、3バックのセンターを務めていた大岩一貴が右CBに戻り、大野和成とともに長い距離を走って攻撃参加してくる。台風一過で少し涼しくなったこともあり、湘南本来のアグレッシブさを出させたくない。
最下位・湘南と得失点数に差はない
大分は現在、3勝3分8敗で14位。湘南より順位こそ上ではあるが、苦しい状況は同じだ。第13節の浦和戦、第14節のFC東京戦と連敗を喫しており、3連敗は避けたいところ。特に今節はホーム連戦。ホームで連敗を喫することになれば、精神的にも影響が大きい。
勝点では湘南と7差だが、得点と失点の数では実は開きがない。大分のほうが1試合多い状態で、得点は大分が12、湘南が11。失点は大分が22で湘南が24だ。大分のほうがまとめて失点しており、守備で粘って勝点1を拾っているが、その差は紙一重と言える。
チームスタイル上、シュート数が少ない傾向にはなるのだが、それにしても前節のFC東京戦のように2本に抑えられては厳しい。湘南のほうが遠目からも積極的にゴールを狙う姿勢を見せるぶん、こぼれ球のチャンスも増えてくる。丁寧に崩すことも大事だが、ここぞというときに勝負をかける判断を放棄してはならない。そういう意味で、今節は、苦しい状況の中でどちらが戦う気持ちや覇気を表現できるか否かの勝負にもなってくるのではないか。
前節は攻撃の起点・長谷川雄志がコンディション不良でメンバー外だった。負傷者が相次ぎ、戦力のやりくりに苦心する中、やや強行ではあったが前田凌佑が復帰したことはうれしい。
大分は第7節には当時最下位だった清水に2-4と大敗している。最下位との対戦に弱いチームでは、ありたくない。
試合に向けての監督コメント
■片野坂知宏監督
今節はまたホームで戦えるので、前節の悔しさ、足りなかったところを、湘南戦では出してもらいたい。ホームではやはり勝たなくてはならない。湘南さんもわれわれと同じように苦労している部分もあるし、湘南、仙台と順位の近いチームとの戦いが続く中で、この2チームから勝点3を取ることが出来れば、また思い切ってプレーできるようになるかなと期待している。
湘南さんもFC東京さん同様、つねにハードワークする激しいチーム。それを上手く剥がして得点チャンスをうかがえるように準備していきたい。