リーグ戦7連勝中の首位・川崎Fに、4連敗中のチームが挑む
明治安田J1第9節、チームはアウェイで川崎Fと対戦する。今季無敗、中断明け後7連勝中で首位を走る相手に、どのような戦い方で挑むか。
ルヴァンカップ出場メンバーの回復にも期待
リーグ戦4連敗中で、直近3試合で11失点と、ここ最近のチームは悪い流れの中にあった。新型コロナウイルス禍による過密日程と交代枠5人制のレギュレーションの下、今季のチーム戦術の浸透が思うように進まず、悶々とする試合が続いた。
そんな中で、メンバーを総入れ替えして臨んだYBCルヴァンカップ・グループステージ第2節・G大阪戦で、チームはひさしぶりに攻守にアグレッシブな姿を披露する。リーグ戦とは試合の狙いもメンバーも異なっていたが、GKからのビルドアップや前線3枚のコンビネーションなど、大分のスタイルの“原点”を表現。リーグ戦で上手く行かずに生じていた迷いを吹き飛ばすような戦いぶりだった。
引き分けには終わったが、その躍動感を評価して、片野坂知宏監督は中2日でのリーグ・川崎F戦に、ルヴァンカップ・G大阪戦出場メンバーからも起用したい意向を見せていた。ただ、怪我から復帰したばかりの戦力が多く、ここで無理を強いて長期離脱ということにでもなれば、今後の連戦にも響いてくる。リーグ前節・鹿島戦のメンバーも含め、どれだけ試合のダメージから回復しているか次第だ。
今節は川崎Fから期限付き移籍中の知念慶が、契約上出場できない。ここまで攻撃の主軸として出場を重ね、自身は1得点のみだがそれ以外の部分で大きく貢献していただけに、1トップに誰が入るのかが気になるところ。チーム得点王の髙澤優也になるのか、ルヴァンカップで献身的な守備や周囲との連係を見せた伊佐耕平か。あるいは渡大生が頂点で出場するか。ルヴァンカップでは終盤、井上健太も頂点でスピードを生かした。
その他のポジションも含め、どのメンバーが選ばれるかは、選手個々のコンディションと、対川崎Fのゲームプランによるところになる。指揮官たちコーチングスタッフがどのようなプランを練るか。
サイドの裏をどう突くか
開幕戦は鳥栖とスコアレスドローだったが、中断明け後の第2節からは7連勝と絶好調の川崎Fは、並みいる強豪たちを抑えて首位に君臨。堅守の相手からも軒並み複数得点を挙げており、第5節の横浜FC戦ではPKからの2点を含め5-1と大差で勝利。ここまで21得点と、ゴールへ向かう矢印の明確な攻撃的スタイルを、結果へと結びつけている。
フォーメーションは4-3-3で、負傷などによる若干の入れ替えはあるものの、概ね安定したメンバー。左WGは長谷川竜也が負傷離脱した後、三笘薫が個の仕掛けで存在をきらめかせ、旗手怜央も食い込んできた。右WGは家長昭博がコンビネーションで崩してくる。1トップはレアンドロ・ダミアンか小林悠か。
中盤はボール奪取能力に長けた田中碧をアンカーに、パスや連係でチャンスメイクする大島僚太と脇坂泰斗がその前に並ぶ。前線から連動した守備の締めに谷口彰悟とジェジエウにゴール前を固められると、そこをこじ開けるのは至難の業だ。
いずれにしても両SBの登里享平と山根視来が攻撃参加したときに生まれるスペースは狙いどころになると思われるが、大分がどういうやり方でそこを突くか。スタイルの特徴とするサイド攻撃が読まれて封じられがちになっているいま、読まれていてもそれを上回る田中達也のスピードで突破するのか、三平和司や小塚和季のトリッキーなコンビネーションで侵食するのか。
鬼木逹監督の采配も冴えており、それも踏まえてゲームプランニングは難しそうだ。絶好調の王者を相手に、片野坂監督は「思い切って開き直ってチャレンジさせたい」と話した。
試合に向けての監督コメント
■片野坂知宏監督
準備期間が2日間しかないので、とにかくG大阪戦に出た選手が2日間でどれだけ回復するか。そのダメージを見てメンバー構成も考えなくてはならない。川崎Fさんは強い。再開後負けなしだし、どのチームも対戦してポイントを落としている。われわれはもう「当たって砕けろ」ではないが、とにかく勝点1でももぎ取ってくるとか、アウェイでジャイアントキリング的に勝点3を取るとか、そういったことが出来たらいいなと。思い切って開き直ってチャレンジさせたい。そのためにも短い中でどれだけ準備できるか。フレッシュな選手、状態のいい選手を見極めて、回復した選手を含めメンバーを組んでいきたい。