中断明け3連戦の3戦目。戦力のチョイスとコンディションがカギを握る
今季はスケジュール的にもマネジメントの難しいシーズン。予期せぬ中断からのリスタート後いきなり3連戦という難易度の高さで、両軍がどう戦うかが非常に興味深いシチュエーションだ。
全員が上手く稼働して総力で戦いたい
今節からスタジアムに観客が戻ってくる。上限5000人という制限付きで応援禁止という特殊な条件も課せられているが、また一段階、“日常”へと近づく大きな一歩だ。
世界的な災禍によるイレギュラーな中断からの再開後、チームは鳥栖、広島と堅守の2チームからそれぞれ2得点を挙げて2連勝中。難しい状況での“2度目のシーズン序盤”にはミスやアクシデントが頻発しがちで、チームは前節も10分にロストからの失点を喫し、前半最後には町田也真人の負傷にも見舞われたが、崩れることなく粘り強さを発揮して徐々に流れを引き寄せ、5人目の交代選手としてピッチに立った髙澤優也の87分の得点を皮切りに90+4分の三平和司の追加点で、見事な逆転勝利を演じてみせた。
直接の結果を出したのは交代選手だが、先発した選手たちが劣勢の中でもメンタル強く戦えたこと、またゲームプランがその筋書きを導いたことも、成果の要因だった。
中断明けからのいきなりの3連戦となる今節は、戦力のチョイスが気になるところだ。鳥栖戦とそこから中3日で迎えた広島戦を、GKと最終ライン、ボランチは同じメンバーでスタートした。いずれもタフなゲームだったが、今節は広島戦から中2日というさらなるハードスケジュール。卓抜した安定感を誇る中盤より後ろのメンバーが、本来のポテンシャルを発揮できるまでに回復しているかどうか。ただ、前節は小出悠太が途中出場した他、今季はまだ試合に絡んでいない新旧戦力も数多く控えている。調子のいいメンバーも複数いるとのことで、上手く全員を稼働させていきたい。
九州アウェイ2連戦の神戸は戦力の入れ替えも示唆
神戸は第2節、ホームで広島に0-3というショッキングな敗戦を喫したが、前節はアウェイで鳥栖に1-0の勝利。主導権を握りながらなかなか得点できず、決して好調な内容とは言い難かったものの、やはり個々のタレントの力量は圧倒的で、ハマった局面では感嘆を禁じ得ないプレーを見せつけられた。
鳥栖に続いて今節は大分と、神戸にとっては九州アウェイ2連戦。中2日だが新型コロナウイルス感染対策のルールに基づいて、2戦とも試合当日に移動する形を取る。第2、3節の疲労に移動の負担も重なれば良好なコンディションを保つのは難しい。トルステン・フィンク監督は鳥栖戦前に、鳥栖戦に勝利した場合は大分戦では戦力を入れ替え、若手にチャンスを与えるプランも示唆していた。
アンドレス・イニエスタやセルジ・サンペール、西大伍、山口蛍らがメンバー入りするか否かも大きいが、若手と言っても神戸には俊英と呼ぶべきプレーヤーが揃っている。また若手ではないが、大分にとっては特別な存在である藤本憲明も、体力を温存しているはずだ。
個々の能力が高いぶん、より特徴的なプレーが組織に還元されているので、誰が出てくるのかによって対策は大きく変わってくる。神戸は第2節と第3節は先発メンバーを1人入れ替えたのみだったが、第2節は3-5-2、第3節は4-3-3とシステムも変えており、予想もなかなか悩ましい。
中断明けでいきなりの連戦とあって、どのチームもいつも以上にシビアな情報戦を戦っている。その繊細な駆け引きも含めて、サッカーの洗練された楽しみ方だ。主導権を握るスタイルのチーム同士がぶつかり合うとき、ピッチで何が起きるかを、わくわくしながら見守りたい。
※今節はスケジュールの都合で練習後の監督・選手コメントはありません。ご了承ください。