リーグ開幕。C大阪から得点を奪い、昨季最終節のリベンジを
先週末のルヴァンカップに続き、今週はいよいよリーグも開幕。大分は22日、アウェイでC大阪に挑む。昨季最終節に力負けを喫して以来の対戦だ。
ロティーナから奪え初得点
開幕カードが決まって間もなく、それについて聞かれた片野坂知宏監督が思わず「ねえ。なんでセレッソなのか」と苦笑いしたほど、C大阪との対戦は他チームに増して難しい試合が予想される。
ロティーナ監督とのリーグでの対戦は、彼が東京Vを率いていた17・18年にJ2で4回、昨季C大阪の指揮を執るようになってJ1で2回の計6試合。大分はそのすべてで相手の堅守に阻まれて得点できず、対東京Vは2分2敗、対C大阪は1分1敗でいずれもロースコア、うち3試合がスコアレスドローに終わっている。
その後の勢いにつなげたい開幕戦だけに、いきなりこんな難敵との対戦に頭を抱えたくもなるが、だからこそ、いい内容と成果につなげたいし、つながれば大きい。18日の練習後には、片野坂監督が知念慶と話し込む様子も見られた。
18年夏に東京Vへと期限付き移籍してJ1昇格プレーオフ決勝までプレーした香川勇気も、ロティーナ監督の戦術の緻密さに言及する。大分と同じく攻守にわたり約束事が徹底され、特に守備ではゲーム形式を途中で止めながら1m、2mの修正をほどこす細かさだという。当時とはやり方が変わっている可能性もあるが、その細かさが昨季C大阪のリーグ最少失点記録に結実しているのだろう。
これまで対ロティーナのチームで得点できていないことに対し、野村直輝は「僕はジンクスは気にならない」と言ったが、これはもうジンクスというレベルではなく戦術とプレーの勝負の問題だ。だからこそ、新加入選手の力で起きる化学変化と、首脳陣による戦術のアップデートに期待したい。徳島時代にポジショナルプレーを経験している野村だから、なおさらだ。
C大阪も攻撃力向上を目指す補強を敢行
大分も得点力向上を目指して今季の補強を行ったが、C大阪もそれは同じ。昨季の堅守に攻撃力を上積みすべく、戦力を入れ替えた。
水沼宏太やソウザ、田中亜土夢らがチームを離れ、新たに坂元達裕と西川潤の2人のレフティーを獲得。サイドに特徴的な狙いの出るロティーナ監督のサッカーにおいて、左利きの人材は鍵を握りそうだ。ベルギーのオイペンから豊川雄太も加わった。
昨年5月に全治8ヶ月の怪我を負った都倉賢が復帰しており、戦況によっては強度の高い長身FWをトップに配置するロティーナ・サッカーにとっては鬼に金棒状態。昨季6得点のブルーノ・メンデスも健在で、献身的な走りに期待され昨季から最前線で起用されるようになって7得点を挙げた奥埜博亮も、引き続きさまざまなポジションに配置されそうだ。
奥埜が頂点で使われることにより、柿谷曜一朗が左SHで出場するようになったのも興味深い。清武弘嗣とポジションを争う格好だが、2人の天才は同時に出てもそれぞれに出ても脅威的存在だ。ルヴァンカップ松本戦には不在だったキム・ジンヒョンがゴールを守るのかどうか、またボランチの組み合わせは、選手交代のプランはなど、C大阪がどう臨んでくるかは何パターンも考えられる。片野坂監督もそれを想定し、プランニングには慎重な様子だった。
昨季最終節に見せつけられた力量差を、新チームで挑む今節、どう埋めることが出来ているか。しょっぱなから格別に難易度の高い相手と当たる今季だが、一戦ごとに積み上げながら成長していくスタイルのチームにとっては、むしろ好材料を多く収穫できる絶好機かもしれない。ルヴァンカップ湘南戦でも決定機は築けていた。まずは今季初ゴールを。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
ルヴァンカップが先にあったので、また切り替えてリーグ戦でいい成果が出るよう準備したい。心境としても特別なものはなく、これまでどおり目の前の試合に対して狙いを合わせ、ベストなメンバーを選んで、見にきていただいた方々に喜んでもらえたり励みになったりするよう、出来れば開幕戦に勝利してスタートを切りたい。
ルヴァンカップ湘南戦はああいう負け方をしたことは残念だったが、90分のゲームを見ても、その試合に向けて準備したことを選手たちはしっかりとやってくれていたし、内容的に決して負ける試合ではなかった。サッカーというものは一つのミス、一瞬のところで勝負が決まる。しっかりと学んで、リーグ開幕戦は自分たちがやりたいこと、やるべきことが出来るよう準備したい。
C大阪さんには昨季最終戦、ホームで敗れて悔しい思いをしている。戦術を含め非常に堅いので簡単に勝たせてはくれない。やるべきことをしっかりやり続けられるか、そこで上回ることが出来るか。それが出来れば勝点3につながるのではないかと思う。アウェイで格上の相手との厳しい試合になると思うが、思い切ってチャレンジしたい。
■DF 2 香川勇気
だいぶ慣れてきてコンディションも上がってきたし、チーム戦術も理解できてきた。ルヴァンカップ湘南戦で、ベンチからだが試合を肌で感じ、より理解できたと思う。そのイメージが残っているので、今週のトレーニングは自分のプレーと上手くすり合わせながらやれている。
押し込めば相手は嫌がると思うので、こちらがしっかりボールを持って、相手が来たところを剥がしていきたい。大分らしく引き込んで誘致カウンターのような攻撃が出来ればいいが、やはり対策されていると思うので、引いた相手をどう崩すか。個人の部分やサイドからの攻撃など、いくつか手はある。こちらも相手を見ながらやるサッカーなので、向こうの出方を見ながら戦いたい。大分もサイドで起点をつくるので、サイド勝負になるだろう。
■MF 7 松本怜
新加入選手たちも得点に飢えていると思うし、僕も得点させたい気持ちが強い。彼らの長所を引き出せるようなクロスが必要になってくる。意識してプレーしたい。キャンプでも密に話が出来たし、誰がどういう特長を持っているかはだいぶ把握できている。あとは互いの精度の問題。知念は僕が持ったときの動き出しのタイミングもわかっている。ルヴァンカップ湘南戦でもそうだったが、あとは決めるだけ。
C大阪には昨季最終節で負けてしまったので、その借りを返さなくてはならない。昨季はホームでもアウェイでも勝てていない。そういうチームに対して勝利できれば、チームにとってもすごくいいスタートになると思う。戦える集団になって臨みたい。