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今節の見どころ

今季開幕はルヴァンカップで新生・湘南との対峙。リーグ戦につながる好スタートを

 

2月16日、リーグ戦に先駆けてルヴァンカップグループステージ第1節からの開幕。チームはアウェイで湘南と、今季最初の公式戦を戦う。

 

日程とレギュレーションが難易度を高める

今季はルヴァンカップがリーグ戦より先に開幕する。リーグ開幕戦まで1週間空くこともあり、このルヴァンカップ開幕戦をどのように位置付けるかのスタンスはチームごとに異なるだろう。また、ルヴァンカップには21歳以下の選手を1名以上先発に含めるルールがある。
 
現在所属する21歳以下の選手は高畑奎汰と高橋祐翔のみだったことから、チームは14日、U-18から4名の選手を2種登録した(GK勝木翔也、MF弓場将輝、DF工藤宗大、FW平川絢大)。なお、同日に今季のJFA・J リーグ特別指定選手承認と来季加入内定が発表された福岡大4年のMF井上健太は、今年7月に22歳の誕生日を迎えるため21歳以下の対象とはならない。
 
今季は東京五輪開催により日程のイレギュラー度合が高く、特にシーズン序盤はレギュレーションの異なる大会がタイトなリーグ戦の合間に挟まれて首脳陣のマネジメント手腕が問われるが、片野坂知宏監督は「ルヴァンカップも公式戦なので、しっかり戦っていい成果になるよう準備する。カップ戦も勝ちきりたいし、勝つことによってリーグ戦につながるところもある」と話す。今週のトレーニングではオールアウトでもさまざまな組み合わせを試し、プレシーズンに浸透させた戦術を入念に確認した。
 

22人out、14人inの新生・湘南はいかに

湘南は昨季10月から指揮を執る浮嶋敏監督の2シーズン目。山根視来が川崎Fへ、杉岡大暉が鹿島へ、菊地俊介が大宮へ、山崎凌吾が名古屋へ、野田隆之介が京都へと完全移籍し、秋元陽太も町田へ期限付き移籍と、曹貴裁前監督が長期にわたり築き上げた“湘南スタイル”を支えてきたプレーヤーを含め22人もの選手がチームを去った。
 
入れ替わりに仙台から石原直樹と大岩一貴、大宮から茨田陽生、山口から三幸秀稔を獲得。また、川崎Fから馬渡和彰、札幌から岩崎悠人をレンタルし、14名の新戦力を加えている。
 
この陣容に今季はスタートから陣頭に立つ浮嶋監督の目指すスタイルが見えてきそうだ。山根と杉岡が抜けて3バックからアグレッシブに攻め上がるスタイルがどう変化するかという点もだが、特に気になるのは中盤の構成。かつての湘南にはあまり見られなかった、茨田や三幸、福田晃斗らボールを持てるタイプが加入している。さらに前線に加わった石原や岩崎は、昨季までの山崎や野田隆之介らとは違うタイプの細やかさを持つ。ノルウェー代表で実績を持つタリクは初めてのJリーグだ。
 
合宿もスペインで行われ、情報は少ない。ただ、シーズン序盤に互いに探り合いで戦う試合が続くのは例年のことだ。ここで体制5年目の長がものを言うはず。練習後に話を聞いたどの選手も「チームとして臨機応変に戦える力はついている」と答えた。新加入選手も揃ってプレシーズンの手応えを口にする。
 
複数のオプションとプランを準備して乗り込むBMWスタジアム。今季最初の白星を、まずはルヴァンカップでつかみたい。
 

練習後の監督・選手コメント

■片野坂知宏監督
 
大きな怪我人も出ておらず、順調にいい準備ができている。選手も開幕に向けて状態よく準備してくれていると思うし、新加入選手と既存選手との連動・連係も深まっており、いよいよ公式戦がはじまるという気持ちでいる。
 
(リーグ戦前のカップ戦だが?)どういう形でもやはり公式戦なので、まずは勝ちにこだわるゲームをしたい。ルヴァンカップの目標としても、昨季は残念ながら予選敗退だったので、まずは予選突破を目指す。アウェイで厳しい試合になだろうが、いい形でリーグ開幕戦につなげられればと思う。大事な一戦として、いいスタートを切りたい。
 
やってみなくてはわからないところがあるが、戦力的には昨季より上積みできていると思うし、いろんな面でいい準備が出来ている。公式戦のプレッシャー、ホーム/アウェイのプレッシャー、いろんなものがある中で、戦術の狙いを切らさずにやってほしい。あとは怪我人が出ないことがいちばん。多くの戦力を維持して戦えるようにしたい。特に前半戦は連戦が多いので、ルヴァンカップとリーグ戦を併用していい成果につなげるためにも離脱者を出さないようにしたい。
 
■MF 10 野村直輝
 
プレシーズンは味方の癖やチームのやり方を早く理解することに注力した。自分の中で「こうなったらこうする」というイメージも出来てきている。対戦相手が変わる中で自分たちの出場選手や立ち位置といったやり方も変わってくると思うので、これから積み上げていく中で、プレシーズン1ヶ月間の成果を求めたい。
 
やってみなくてはわからない部分もあるので、楽しみ。ネガティブなイメージや不安は一切ない。自分たちにベクトルを向けて積み上げてきているものがあるので、自分も早く試合をこなしながらフィットして、いいパフォーマンスを発揮し、少ないチャンスを仕留められるよう準備したい。
 
J2のチームは90分間必死でやり続けるが、J1のチームはメリハリがしっかりしているというイメージ。頭を使ってプレーしなくてはならないが、自分の準備も含めてやることも変わらないし、あまり意識はしていない。相手のやり方によって自分たちのやり方が変わるという部分だけ整理しておけばやれると思う。チームとして臨機応変に対応できる力はある。フォーメーションの併用も出来るようになっている。あとはスタッフが相手をどう分析して選手に落とし込むかによって個人戦術も変わってくる。自分も相手の映像を見ながらスタッフの言うことを落とし込み、自分なりに解釈してプレーする中で出る課題をクリアする。それを繰り返し積み上げていけば大丈夫だと思う。
 
■MF 8 町田也真人
 
昨季プレーした松本では最終節で湘南と対戦した。そのときとは今季はちょっと違うイメージ。新加入選手も多く、読めない部分もあるが、湘南スタイルは継承されているのかなと勝手に思っている。
 
今季の湘南はハードワークできそうなメンバーがいる中で、ちょっとボールを持てたり散らせたりする選手が中盤にいる。より味のついた湘南というイメージを勝手にしている。湘南は前から来るイメージを持っているのだが、あまり自分が裏へ裏へと行きすぎると他の選手が行けなくなってしまうので、そこを上手く見ることが大きなポイント。味方を見ながら、そのときどきで最高の判断が出来るようにしたい。
 
このチームはひとりひとりの選手が頭がいいし、臨機応変な対応力もある。まず戦術がしっかりしていて、その戦術をもとに個々の判断が求められるのだが、既存の選手はそれがしっかり出来ているし、新加入選手はそこにそれぞれ違った味を出せると思う。