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今節の見どころ

ラスボスは難敵・ロティーナ率いるC大阪。進化を続けながら今季集大成へ

 

6年ぶりに明治安田J1で戦った2019シーズンもとうとうラストゲーム。このメンバーで戦えるのもこれが最後となる。難敵・C大阪を相手に1年間積み上げてきた成果をどれだけ発揮できるか。

 

これまでと変わらぬスタンスで臨む最終戦

 
今季最終節は、アウェイ2連戦後に迎えるホーム最終戦。いろいろな思いが渦巻く時期でもある。今週は通常のルーティンとは異なり、試合前日練習も「今季最後だから」という指揮官の配慮で公開で行われた。
 
そんなふうに状況や環境が少しずつ違う中でも、選手たちはこれまでと変わらず、目の前のC大阪戦に向けて平常どおりの様子でトレーニングに取り組んでいた。特に前節の仙台戦で、これまで築いてきたスタイルの要所に蓋をされて攻めあぐね屈辱的に敗れたことからも、課題克服への意欲は強い。
 
ロティーナ監督のサッカーには、昨季まで率いていた東京V時代も、今季から率いるC大阪に対しても、一貫して手を焼いてきた。ロティーナ・スタイルは緻密な戦略により組織を動かして相手のストロングポイントを消しつつ強靭なプレーヤーを生かして得点を狙う戦い方で、“カタノサッカー”は2017と2018のJ2・東京V戦、今季のC大阪戦を通じて、リーグ戦では得点を挙げることが出来ていない。
 
今季はルヴァンカップでも同グループで、第1節は、先制されて予想どおり苦しい展開となった中、89分の丸谷拓也の同点弾を突破口に、90+2分に後藤優介が決勝点。ロティーナ監督から初の勝利を挙げた。が、第6節は0-2で敗れている。今節も難しい試合になりそうだ。
 

ACL出場の可能性を狙うC大阪

 
C大阪は、現在は5位だが4位・川崎Fとの勝点差はわずか1。4位に滑り込めば鹿島の天皇杯の結果次第でACL出場権を手にする可能性があり、その可能性に懸けて勝点3を狙ってくるだろう。前節は主導権を握りながら清水に先制を許したが、粘り強く攻め続けて逆転勝利に成功し、いい流れになっている。
 
さらに8月に負傷離脱した清武弘嗣が、前々節から戦列復帰。前節は先発している。故郷での古巣戦に、対戦相手のキャプテンとして立ちはだかる清武が、チームのクオリティーをワンランク上げる存在であることは間違いない。
 
そんな相手から得点を奪い勝利するために、今週のチームはさらなる進化を目指してトレーニングを重ねた。ここに来て新たなオプションも準備しており、もしかしたらそれを最終節で見ることが出来るかもしれない。
 
今季最初の目標であったJ1残留とその目安としていた勝点45をクリアし、チームは目標を「勝点50、一桁順位フィニッシュ」へと上方修正している。この「勝点50」を達成するためには、今節の勝利は必須だ。この試合かぎりで現役引退を表明している丸谷のためにも、また、今季かぎりでチームを離れるメンバーのためにも、怪我でリハビリ中の仲間のためにも、ピッチに立つ、そしてベンチに控える18人は、今季の集大成をきっといい成果へと結実させてくれるはずだ。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
最終戦をいい形で終われるように、最後のトレーニングを行った。どういうところがチャンスになり、どういうところを守備で気をつけるかという意識を、選手は持って準備ができていると思う。集中して、緩んでいる雰囲気もなく力んでいる感じもない。ホーム最終戦で、モチベーションも自ずと上がるだろう。これまで自分たちがやってきたことがどれだけ最後にいい形で終われるかにチャレンジしてくれると期待している。
 
C大阪は11人が隙がない。消すところははっきりしているが、粘り強いし、誰もサボらず油断しない。そのへんはさすがロティーナさんだと感じる。清武弘嗣も地元での古巣戦で気合いが入るだろうし、スタートかサブかわからないが、キヨの持っているクオリティーはやはりうちにとっては怖さがある。自由を与えずしっかりチームで管理できるようにしておきたい。
 
簡単に勝てる相手ではないので、粘り強く戦うしかない。勝ち急いでもよくない。相手には攻撃のタレントもいるので、隙を突いてきたりもする。攻守両面で粘り強く我慢強く戦うことが大事。相手がどういう形でわれわれに対して準備してくるか、どうくるかによって自分たちがやるべきことも変わってくる。そこを見極めた中で戦っていくしかない。こちらのストロングポイントを消す戦い方をしてくる可能性が高いので、そのときどきで次の手を考えながら戦う。
 
■DF 3 三竿雄斗
 
前節は出場停止だったが、今節は最後の試合。1年間の集大成ということでいいゲームをすれば来季にもつながるし、ホームでサポーターの前でしっかり勝って御礼を言えるように結果を出したい。
 
まずは簡単にボールを取られないこと。取られたとしても素早く戻る。サイドがキーポイントになる。サイドで一回止めて崩していけるかが大事になると思うので、そういうところを意識していきたい。
 
2年間あまり試合に出られていない中で大分に声をかけてもらい、今季は状況がガラリと変わった。怪我なくサッカーをやれているし、コンスタントに試合に出させてもらって、いい1年だった。そういう感謝の気持ちを最後の試合にぶつけて1年を終わりたい。
 
■GK 1 高木駿
 
最終節だが、いつもと変わらず準備して臨む。「今週でやっとこのキツい練習が終わる」と思いながら一所懸命練習した(笑)。
 
堅い相手に対してどう攻めるかということは、J2でもJ1でもずっとこのチームの課題となっている。前節の仙台戦もそうだった中で、今節に向けてどう戦うかをトレーニングでしっかり共通理解し整理されたと思う。堅い相手からも得点を奪えるようになるために、みんなでポジティブに取り組めた。ここを乗り越えていけばさらに大きな手応えがつかめる。どう上手くいくかが僕としては楽しみ。試合で成果を発揮したい。
 
リーグ戦フル出場は絶対に達成したかった目標。そこに関してはこだわっていたし、J1でこれだけ試合に出られて経験値を得ることができた。自分の自信がプレーにもつながってくる。安定して試合に出続けられれば、いろんな人に見てもらえるし、大分のスタイル的にもGKが注目されやすいのですごく楽しかった。またさらに研究対策されてくるだろうが、どんどんそれを上回れるようにしたい。守備の部分でも充実感や達成感を感じている。