今季残り3節。目標達成した今こそ、このチームでさらなる高みを目指す
今季目標として最初に掲げていたJ1残留を前々節に達成し、そのための目安とした勝点45も前節でクリア。シーズン残り3節にして7位に立つチームは、さらなる高みを目指せる状況を、自ら手に入れた。
残り3節でどれだけ練度を高められるか
19日には片野坂知宏監督の来季続投も公式発表され、来季もこのスタイルを継続していくことが決まった。ただ、今季のチームで戦える公式戦はあと3試合のみ。つねに「11人、18人だけでなく全員で準備してきた」(片野坂監督)チームとして、そしてプレーヤー個々の今後のためにも、最後までポジションを競い、組織としての完成度を高めていきたい。
すでにJ1残留を決めているため、精神的な部分も含め、このリスクを負う戦術の練度を高める状況は整っていると言える。急激に冷え込んだ今週のグラウンドでは、攻守にわたり、さらなるクオリティー追求が続けられた。相手の守備の状態によって臨機応変にボールを運んでいくことが出来るように、また、こちらに有利な状況を生み出すために相手を動かすことが出来るように。変幻自在に見える組織が緻密な連係によって成り立つべきことが、よく見て取れるトレーニングだった。
また、中断期間を利用して先週は、スローインなどセットプレーの確認にも時間を割いた。これらのトレーニングが試合で即座に結実すれば素晴らしいことだが、選手たちの感触は「やってみなくてはわからない」。これぞ相手ありきのスタイルでプレーしている証拠なのだろう。これまでの積み上げによって増えた引き出しの中から、状況に応じて即座に連係を繰り出せる。それこそが今季のチームの最後にたどりつきたい地点だ。
4連敗中の清水だが今節勝てば残留決定の可能性
このようにチームは充実した表情を見せていたが、それでも今節の清水戦が難しい試合になるであろうことは間違いない。清水は現在、4連敗中。順位も15位へと下がり、現在J1参入プレーオフ圏の16位・湘南とは勝点4差。自動降格圏の17位にいる松本とも勝点は5しか離れておらず、一刻も早く悪い流れを断ち切りたい状況だ。今節勝利すれば他会場の結果次第でJ1残留を確定できることも大きなモチベーションとなる。
清水の今季の戦いぶりを見ていると、悪い方にハマったり良い方にハマったりで極端なスコアになっている試合が多い。勢いづけば大量得点、立て直せずに大量失点という様相で、なんとしても勢いづかせたくない相手だ。
もとよりポテンシャルの高い戦力が多く、前線やサイドのタレントも充実している。また、前節の仙台戦で負傷交代した河井陽介が出てくるかどうかが気になる一方で、この中断期間には、第27節に負傷したヘナト・アウグストが復帰したとの情報もあり、彼が出場すれば中盤の強度は増すことになる。さらに、右肘関節を脱臼していたチョン・テセにもベンチ入りの可能性が出てきた。
前回対戦の第12節は篠田善之監督の初陣だったが、こちらの戦術の要所を抑えられ、苦しい試合展開を強いられた。今節は当時からの成長を自ら確認できる好機とも言える。熱い清水サポーターが橙色に染める美しいアイスタで、完全アウェイの雰囲気にのまれることなく、のびやかにつながるサッカーを披露したい。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
清水は前回対戦時とは若干メンバーも変わっているが、戦い方自体は、篠田監督がやりたい戦い方でトライされているのかなと思う。ただ、われわれに対してどういう戦い方で来るかというのは、2週間の代表ウィークの間に準備する時間も十分にあると思うので、おそらく前回対戦同様、何かしらの手を打ってくるのではないかと予想する。
(清水は怪我人復帰の情報もあるが)力のある選手たち。果たして出てくるかどうか。出たとして、ベンチか、スタートか。彼らが復帰してくれば強度は上がるし、チーム力というところでも若干アップしてくることになる。
アイスタはアウェイのサッカー専用スタジアムでスタンドも近い。そういった外的要因の部分では圧がかかってくると予測できるが、そういうところに目を向けずに、どれだけ準備してきたことが出せるかも大事。飲み込まれないように、相手を勢いづかせないようにしたい。
■DF 3 三竿雄斗
中断期間を利用して、先週はスローインからの練習など普段できないことも突き詰めた。スローインから得点につながることもあるし、逆に奪われて失点することもあるので、大事なゲームの要素の一つ。今日はゲームの中で、相手をどう崩すかなど、チームでの共通意識を高めた。
清水との前回対戦は対策されて上手くハメられた。自分も前半途中から出場したが、チームを上手く活性化することが出来なかった。今節は周囲の選手と上手くつながって崩せるようにしたい。
■MF 7 松本怜
清水は怖いチーム。ドウグラスや西澤くんも途中出場でも結果を出しているし、金子くんにしても、いいタレントが揃っているので、波に乗らせたくない。清水との前回対戦では対策されたが、いまはそれを回避できる選択肢も持っている。それでも先日のFC東京戦のようにガンガン来られて手こずった試合はあったが、チャレンジしていけば、前回のようにはやられないと思う。
J1残留は決めたが、それでほっとはしても、さらに高みを目指すところはつねにカタさんも言っているとおり変わらない。チームとしてまだまだ積み上げられる部分はたくさんある。監督の続投も決まり、来季に向けていろんなことを考えていると思うので、さらにここでプラスの要素を得ることが出来れば来季につながる。積み上げることが大事。個人的にも、数字での結果を1でも2でも上積みしたい。