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今節の見どころ

J1残留は達成した。残り4試合、さらなる上を目指しクオリティー追求へ

 

前節の結果をもって今季目標として掲げてきたJ1残留を達成したチーム。だが、0-2で敗れた前節も多くの課題を突きつけられた。今季残り4試合、最後まで成長の余地がある。調子を上げているG大阪を迎え、どれだけ自分たちの狙いを表現できるか。

 

朗報続きのチームが迎える相手は今節も強豪

 
「まずは今季はJ1残留。そしてJ1に定着し、いずれはACL圏やタイトルを狙えるチームに」
 
片野坂知宏監督もそう言って挑んだ2019シーズン、クラブにとっては6年ぶりのJ1。特に折り返し後は苦しい試合も多かったが、粘り強く勝点を積み上げてきたことで、第30節を終え4試合を残して残留目標を達成した。
 
「みんなのおかげ」と指揮官から伝えられた選手たちは今週、ほっとした表情を見せた。ここからはプレッシャーから解放されて、のびのびとさらなる上を目指すことが出来る。指揮官は新たな目標として「2勝1分1敗の勝点50」を示した。さらには岩田智輝がU-22代表に招集されたのに続き、オナイウ阿道が自身初のA代表に選出されるという朗報も続いた。
 
そんなチームがホーム連戦となる今節、昭和電工ドーム大分に迎えるのは最近、調子を取り戻しているG大阪だ。シーズン序盤は持てるポテンシャルを結果に結びつけられずに苦しんでいた強豪だが、じりじりと勝点を積みながら順位を上げ、現在勝点38で9位につけている。8位の大分とは勝点5差で、まだ降格の可能性は0ではないものの、J1参入プレーオフ圏の16位・湘南とは7ポイント離れており、現実的に考えればほぼ安泰だろう。むしろ本来の力量にふさわしい順位へと、ひとつでも上を目指すべき立場にある。宮本恒靖監督の来季続投も決まっており、現在の上り調子をつなげたいところだ。
 

経験をどれだけ主導権へと還元できるか

 
G大阪の復調は3-5-2システムがハマったあたりから。全域に能力の高いプレーヤーを並べ、それぞれのポジションと役割が試合ごとに選手の特徴とマッチしている印象だ。
 
今節もその形で臨むと予想されるが、片野坂監督は前回対戦の経験を踏まえて「どう来るかわからない」と予断を許さない。第8節のパナソニックスタジアム吹田でのG大阪は、当時スタートダッシュに成功していた大分に対し3-4-2-1のミラーゲームでスタート。ブロックを構えて前半を無失点でしのぎ後半に勝負を懸けるプランだったようだが、オナイウが先制点を挙げると、後半頭から4バックにシステム変更し、G大阪らしい激しいプレスで大分に襲いかかると、遠藤保仁の同点弾をねじ込んだ。
 
結果は1-1だったが、あの試合の後半に受けた猛攻は記憶にあたらしい。前節のFC東京に続き“強豪”と呼べる相手を前に、チームが積み上げてきた経験をどれだけゲームの主導権へと還元できるかが問われそうだ。攻守両面での立ち位置や切り替えを細かく確認したトレーニング終了後も、グラウンドの至るところで選手たちが連係を確認する姿が見られた。
 
今節を含め、ホームゲームは残り2試合。「応援・支援してくださった方々への感謝を表現する試合に」と指揮官は選手たちに求めた。チームとしても、選手個人としてもこの先へとつながるものを得たい。それを端的に象徴するのは勝利という結果だ。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
ミーティングでは残留目標をみんなのおかげで達成できたと伝えた上で、目標の勝点45を超えるだけでなく、残りの4試合を2勝1分1敗で勝点7プラスして50を目標にしようと話した。あくまで目標であり、残り4戦を4連勝できればもっと高みを目指せる。やはり終わり方、特にホームでの2試合はファン、サポーターに喜んでもらえるゲーム、勝てるゲームをしなくてはならない。選手もそういうモチベーションになっていると思うし、これまで同様、目の前のゲームに対してしっかり準備してやっていく。苦しいときもファンやサポーターの方々がトリニータ愛をもって応援してくれていたので、それに応えるための4試合になる。
 
G大阪は3-5-2での攻守がしっかりと整理されてきていて、それに合う選手をツネ(宮本恒靖監督)がしっかり選んだ中でやっている。もともとポテンシャルやレベルの高いタレントがいる中、上手くマネジメントしていると思う。やはり強いチーム。
 
G大阪がどういう形、どういうメンバーで来るかはわからない。怪我人が復帰すれば状態のいい選手を使ってくると思うので、また若干メンバーが変わる可能性もある。その出方を見て自分たちが狙いを合わせて出来るか。状況や展開に合わせてプランを考え18人を選びたい。
 
■MF 50 田中達也
 
個人としてもドリブルで行けた、突破できたで終わっていてはダメで、結果を出すことが課題。もっと結果につなげなくてはならないと痛感している。ゴールを決めるチャンスもあったし、シュート本数も増えてきた中で、それも続けて決めきれなくてはならないが、僕のポジションはチャンスメークを求められる割合が大きいので、味方のシュートにつながるようなクロスにこだわっていきたい。やはりクロスの質が不足すると相手守備も「上げさせてもいいよ」という状態になってしまう。クロス本数に対するシュートにつながった本数は全然もの足りていない。シュートにつながるクロスを上げなくてはならない。
 
G大阪には技術が高い選手が揃っているし、前を向いたら一発で背後を取られるような精度の高いボールを蹴ってくる選手も何人もいる。特にヤットさん(遠藤保仁)や矢島慎也はそういうところを狙ってくるので、遠いサイドにボールがあるからといって油断できない。自分がG大阪にいた時もいいボールをくれていた。
 
(小野瀬)康介は一緒にやっている頃から能力の高い選手だと思っていた。中でも外でもプレーできるし、シュートも上手く、ボールを運べてキックが上手い。前を向かせないことが大事になる。走力も高いので走り合いの勝負になると思う。
 
■MF 7 松本怜
 
前節は自分たちで招いた失点でもったいなかった。勝ちたかった。思っていた以上に速かった部分もあるかもしれないが、あそこで落ち着いて回せるようになればもう一段階上に行けると思うので、そこが課題。
 
G大阪の勢いを受けるのではいけない。自分たちはJ2から上がってきた身なので、下から這い上がる気持ちでぶつからなくては足元をすくわれる。まだまだひとつでも上を目指したいので、相手にガツガツ来られても、上手く剥がしたい。G大阪もそれほどボールを保持するチームではなく、パワーでガツガツ来てカウンターを狙うチーム。FC東京戦ではそういうチームにちょっとやられてしまったが、どんなプレッシャーが来ても上手く剥がせるようなトライをしていければと思う。
 
うちはドリブルやシュートが数値的にも少ない。フィニッシュでもうひとつ仕掛ける選択肢を全員が持って、相手を一人剝がして周囲とつながる意識を増やせれば、もっとゴールに近づけると思う。