7試合ぶりの本拠地での試合。優勝争い中の強豪に対し、前回対戦の雪辱を
ラグビーW杯の影響でしばらく使えなかった昭和電工ドーム大分に、今節は7節ぶりに戻ってくる。新しく張り替えられたピッチで迎え撃つのは、優勝争い真っ最中の強豪・FC東京だ。
7試合ぶりの昭和電工ドーム大分
ラグビーW杯の影響でホームゲームを代替会場の大分市営陸上競技場で開催したり、アウェイゲームが続いたりしていたが、今節は明治安田J1第23節H鹿島戦以来、リーグ戦7節ぶりに、慣れ親しんだ昭和電工ドーム大分で試合をすることが出来る。
とはいっても、ラグビーW杯のために新たに張り替えられたハイブリッド芝でプレーするのは初めてのこと。激しいラグビーの戦いに耐えたピッチのコンディションも気がかりだ。少しでも芝の回復を促すために、事前にドームでトレーニングしてピッチ状態を確認することは回避したようだ。
そんなホームに迎えるのは、隙のない守備と鋭く力強い速攻を武器に上位をキープし続け、いまも優勝争いの真っ最中にあるFC東京。第20節・清水戦、第21節・C大阪戦、第22節・仙台戦で3連勝を遂げたが、その後は連勝がなく、2勝2分3敗とやや失速している。好調の鹿島に首位の座を明け渡し、3位の横浜FMにも勝点1差にまで迫られており、いまはなんとしても勝点と得点を積み上げたい状況だ。ただ、前節の神戸戦では完璧なまでの相手対策を施し、神戸の攻撃の要所を潰して3-1で圧勝している。
屈辱的に敗れた前回対戦のリベンジを
第14節、FC東京とのアウェイでの前回対戦は、その堅守をこじ開けるために変則的な立ち位置を取る新オプションを準備して臨んだ。それが機能して作った立ち上がりの決定機を守護神・林彰洋にことごとく阻まれると、その後はじわじわと個の力量差を見せつけられ、相手ペースに。後半途中からシステムを4-4-2に変更してリスクを負って攻め、なんとか1点は返したが、終了間際に痛恨のミスからさらに失点を重ねて3-1で敗れた。
「プレーのスピードやクオリティー、判断の部分などあらゆる面で相手が上だった」と、片野坂知宏監督はG大阪コーチ時代の恩師である長谷川健太監督の率いるチームとの戦いを振り返る。天皇杯準々決勝の神戸戦でも、同様の力量差を突きつけられた。リーグ前節の浦和戦も、勝利こそしたが後半は相手に押し込まれる展開となっている。
個人技に長けた外国籍選手や代表クラスのプレーヤーを多く擁し、その個々の局面で力強い相手に対し、細やかな組織力で上回ることを目指してきたチームは、現段階で足りない部分を強化しようと日々地道なトレーニングを続けている。今週のオールアウトも、試合の強度を想定した設定で行われた。
それらの成果は少しずつではあるが積み重ねられており、試合の随所に結実を見ることが出来るようになった。今節は不甲斐なかった前回対戦からの成長の手応えを感じたい一戦だ。生え抜きの東慶悟がキャプテンとして率い、森重真人が堅守を束ねる強豪を前に、臆せず自分たちのサッカーを披露できるか。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
ここまで勝点を積み上げてきたが、まだ目標の45には達していないので、これまでどおり目の前の試合に対していい準備をし、90分の戦いにしっかりトライすることが大事。その中で1ずつでも積み上げて、出来るだけ早く45を突破したい。
FC東京さんのストロングは速い攻撃と堅守。隙のない守備をされて上位で戦っている。前回対戦はわれわれも上位で戦っている中で、なかなか自分たちのやりたいことをやらせてもらえず、逆にいいプレーをされて悔しい敗戦をした。今回ホームでどれだけ前回対戦よりも上回って、自分たちが表現したいことを表現し、自分たちの時間を増やすことができるか。強い相手に対してどれだけ自分たちが出来るかを選手には思い切ってチャレンジしてほしい。残り5試合、大事なゲームになるので、積み上げられる、成長が感じられる試合にしたい。
ひさしぶりに昭和電工ドーム大分で戦える。アグレッシブないいゲームを期待されてたくさんの人が応援に来てくれると思うので、そういう方々の励みになるようなゲームが出来るように、出来れば勝てるゲームが出来るように。ラグビーW杯で盛り上がった大分の、その盛り上がりを消さないように、少しでも上に行けるよう、シーズン最後にいい形でみなさんと喜び合える状況を作れるよう、しっかり準備して戦いたい。
■FW 18 伊佐耕平
個人的にはコンディションは万全。前節の浦和戦は後半はほぼ負けていて、ラッキーなゴールで勝つことができたのだが、天皇杯の神戸戦は試合をとおして浦和戦の後半のような感じでやられていたので、どうにか修正しなくてはならない。
FC東京戦は、向こうも勝たなくてはならない状況。カウンターが速いイメージがあるので、みんなでリスクマネジメントしなくてはならない。もう一度自分たちの思い描いているようなサッカーをしたい。相手が前から同数でハメに来たのを受けてしまうとダメ。全体の押し上げや、シンプルに裏を狙って押し返すプレーを入れていかなくてはなかなか厳しいと思う。
■DF 5 鈴木義宜
天皇杯は敗退してしまい、リーグだけになった。やれている部分とやれていない部分がはっきりしているので、みんなが自分たちに目を向けてやり続けることが大事。神戸戦では前半は特に50:50のボールを相手ボールにしてしまっていた。気持ちなのか、芝なのか、いろんな要因があると思うが、FC東京もそういうところが強い相手なので、際のところで上回らなくてはならない。
あとはポゼッションのところで相手の圧をどうかわすかを、みんなが考えなくてはならない。神戸戦の前半は奪ったボールをロストするのが早く、それも自陣で失うことが多かった。それがつながっていればもっともっと動かして自分たちの流れに引き寄せて盛り返すことが出来たと思う。すべてのプレーに対してこだわってやっていく。
FC東京戦はチャレンジになる。前回対戦は力負けで不完全燃焼。すべてにおいて圧倒された感が全体的にあった。目の前の相手に自分たちがどれだけ成長して戦えるようになったかということを確かめるチャンス。僕自身はそれをとても楽しみにしている。自分たちのサッカーをして、今度こそ勝ちたい。