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今節の見どころ

今季5度目の対戦は天皇杯。チームの成熟度を示したい

 

リーグ戦とルヴァンカップでそれぞれ2回対戦し、この天皇杯準々決勝で今季5度目のマッチアップ。ここまで1勝2分1敗の神戸と、ノックアウト制の大会で決着をつける。

 

5度目の対戦で今季の決着をつける

 
劇的な幕切れに歓喜した明治安田J1第29節A浦和戦から中4日でのアウェイ連戦。チームはコンディション面に留意して、スケジュールにしっかりとリカバリーとオフを組み込んだ。日程面で言えば、神戸は1-3で敗れたリーグ・FC東京戦から中3日。ただし、ホーム連戦で移動の負担はない。
 
リーグ戦とルヴァンカップでの4回にわたる対戦では、ファン・マヌエル・リージョ監督、吉田孝行監督、トルステン・フィンク監督と3人の敵将と対峙した。今回はフィンク監督体制で3度目だ。
 
フィンク監督は3-5-2システムを基本形に、戦力の特長を生かす戦術を浸透させてきた。ただ、戦いぶりは決して安定しているとは言い難い。世界的プレーヤーを含む個々の能力の高いタレント揃いのチームで、ハマった試合では圧倒的なポテンシャルを見せつけるのだが、J1第28節A広島戦のように退場者を出した後のフォローが出来ず大敗したり、攻撃力の高い相手から複数得点を挙げられて大味な試合になったりもする。ポドルスキやイニエスタ、ビジャらの負傷離脱も多く、戦力的にも不安定さがある。
 
そんな神戸が、この試合でどの選手を起用してくるかが気になるところだ。8月に大分から移籍した藤本憲明も、怪我が癒えて戦列復帰している。特徴の明確な選手が多く、誰が出てくるかによって、こちらとしてもそれに対していかに優位性を保つかの戦略が変わってくる。
 

チームの力量は少しずつだが着実に向上

 
一方、こちらも夏に加入した嶋田慎太郎、田中達也、小林裕紀の3人が、規約上出場できない。ただ、直近のリーグ浦和戦に、契約の関係で出場できなかったオナイウ阿道と伊藤涼太郎は戦力として戻ってくる。チーム得点ランク首位のストライカーと天皇杯2戦連続弾のアタッカーが選択肢としてあることは、チームにとって心強い。
 
さらに、リーグ浦和戦で予定より早く負傷から復帰した岩田智輝に続き、同時期に代表活動で負傷していたティティパンも完全合流している。強度の高いティティパンが実戦に対応できる状態ならば、こちらも有効な選択肢となりそうだ。
 
相手の出方やメンバー、試合展開なども影響してくるだろうが、リーグ浦和戦の戦いぶりを見るかぎり、チームの力量は間違いなく向上している。大卒ルーキーながらエヴェルトンの寄せを逆利用してスペースを作る動きを繰り返す機転をきかせた長谷川雄志は「相手がどう来るかがわかっていたわけではないので特に準備していたことでもないのだが、自然とそれが出来るようになっていた」と話した。ブレずに日々重ねてきた地道なトレーニングの成果が、試合中、随所に見られるようになった。
 
相手はリーグNo.1の強化費を誇るクラブ。こちらはリーグ最少予算で戦ってきたチームだが、ここまでは互角に渡り合えている。決して臆することなく、日本サッカーの頂を目指して、堂々と戦いたい。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
神戸はフィンク監督のやり方が浸透してオーガナイズされ、5-3-2がハマっている。タレントが多く、前線にはスピードと決定力のある選手が多い。しっかりと守備を整えた中から速い攻撃を狙ってくる。サンペール、イニエスタ、ビジャという攻撃的な3人はボールを持って決定機を作れるので、そこが機能すれば強い。ただ、外国籍選手も5人しか起用できないので、相手がどう来るか、誰を使ってくるか。
 
天皇杯はレギュレーションが異なるが、特別なことはミーティングでも言う必要はないと思った。もちろん延長やPKがあったりもするが、リーグ戦と同じ公式戦の一戦として、粘り強く、ピッチに出ている11人が切らさずに合わせてやることを求め続けたい。勝ち上がれるチャンスは自分たちで勝ち得たものだし、神戸戦も強度をもって最後まで切らさずに戦えれば、ベスト4進出も自分たちでつかみ取れる位置に来ている。選手は出し切ってトライしてひとつでも上を目指してほしい。
 
決勝まで行ければ新国立競技場のこけら落としで素晴らしい環境の幸せを感じながら戦える。ACLという可能性も高みを目指してチャレンジできる。だが、まずは神戸戦で勝てるよう、準備してきたことを表現できるように持っていきたい。
 
■FW 45 オナイウ阿道
 
出場できなかったリーグの浦和戦はDAZNで見ていた。みんなで試合に向けて練習してきた以上のことも出せていたと思うし、後半に押し込まれてもゴール前で継続してしっかり体を張れていた。見ていてすごく頼もしく、僕も負けていられないなという気持ちになった。
 
いまは天皇杯を勝ち進んでいくためのモチベーションでいる。リーグ戦の間にあるのでチームとしてもコンディション調整の難しい状態にあるかもしれないが、僕自身はリーグ戦に出ていないのでいいコンディションで臨める。しっかりとチームを牽引できるように、得点という形で勝利で終われるように頑張りたい。
 
まずはチームで狙っていることをやりながら、個人のところでも負けないようにして自分の特長を出したい。90分で決着のつかない試合になるかもしれないが、ひとりひとりが勝利にフォーカスして結果を残したい。神戸はビルドアップの上手い選手も多いので、簡単にフリーにさせないように厳しくプレスしたい。攻撃では相手に寄せてこられたらその背後を使いつつ組み立てていく。
 
■DF 29 岩田智輝
 
リーグ浦和戦の後半は押し込まれる時間が長かったが、あそこで押し返す力が今後も問われる。リーグ戦で勝った勢いのまま天皇杯も勝ち上がって、決勝まで行きたい。神戸はボールを大事にするチームで、個の能力が高いので、組織力で対応しなくてはならない。チャレンジ&カバーでゴール前は粘り強く、一発でかわされないように守る。神戸とは前回対戦で引き分けているので決着をつけたい。
 
藤本選手は背後に抜けるのが上手いし、ゴール前での動き出しも嫌なので、ボールウォッチャーになることなく、つねにしっかりと視野に入れておきたい。イニエスタ選手が出てきたら、パスを出すふりをしてドリブルするなどが上手い選手なので警戒したいが、そこだけに気をとられると他の選手が動き出したりする。組織で連係して対応しなくてはならない。
 

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