台風10号が接近する中、やってくるのは名古屋を倒した鹿屋体育大
超大型の台風10号の速度と進路が気になりつつ、現在のところは予定どおり開催されるはずの天皇杯3回戦・鹿屋体育大戦。若くアグレッシブなチームを相手に、貫禄の試合展開へと持ち込みたい。
3連戦だが移動がないのはアドバンテージ
明治安田J1第22節H神戸戦から中3日、同第23節H鹿島戦まで中2日。強いチームを相手にタイトなスケジュールでの連戦だが、天皇杯2回戦で鹿屋体育大が名古屋を下して勝ち上がったことで、昭和電工ドーム大分での3連戦となった。移動の負担がかからないのは幸いだ。
芝の養生が終わりいつものグラウンドに戻っての練習とはいえ、暑さは非常に厳しい。12日のトレーニングはミーティングを終えて出てくるのも早く、時間も短かったが、練習後の選手たちの汗はとどまるところを知らなかった。
この日、囲み取材に応じた片野坂知宏監督は難しい表情。「大学生だからといって甘く見ず、バラバラにならずに戦わなくてはならない」と空気を引き締めた。
二つ目のジャイキリを狙う鹿屋体育大
鹿屋体育大は現在、九州大学リーグ1部で首位・福岡大と勝点で並び2位の好位置につけている。5月26日の天皇杯1回戦でSR広島を下すと、7月3日の2回戦では名古屋を3-0で撃破するジャイアントキリングを演じてみせた。
雨の中、試合序盤から押され気味ながら積極果敢にゴールを狙い、前半こそフィニッシュの精度を欠いて0-0で折り返したものの、後半立ち上がりに伊藤龍生の思い切りのいいシュートがディフレクションで先制弾となる。67分には途中出場直後の根本凌がペナルティーエリア左から追加点。81分にも藤本一輝が3点目を奪った。
名古屋のシュートがクロスバーに弾かれるなど運に助けられた場面もあったが、鹿屋体育大のほうが多くの球際で上回っていた試合。失うものがない立場の強さや、夏場でも走りきることのできるスタミナがプレーの強度をもたらした。九州大学リーグ第10節の福岡大戦から中2日ながら、粘り強い守備とゴールへ向かう勢いが見事な戦いぶりだった。
今回、大分に対してどういう戦い方をしてくるかは蓋を開けてみなくてはわからない。名古屋戦のように球際激しく寄せてくるようならば、落ち着いてそれをいなしていきたいところだ。
連戦中の天皇杯でひさしぶりに出場機会を得るメンバーも見込まれる。戦力の入れ替わりがあった中、リーグ戦出場へのアピールも兼ねて、いいパフォーマンスを見せてもらいたい。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
鹿屋体育大はわれわれに対しても名古屋に対してのように球際激しく来るだろう。大学生は恐れを知らない若さが脅威。こちらはどれだけ自分たちがやるべきことに集中して出来るか。甘く見ず、バラバラにならずに戦わなくてはならない。
天皇杯はノックアウトの公式戦、相手は大学生。リーグ戦とは雰囲気もガラリと変わる。勝ち上がるには点を取らなくてはならない。そういう準備を全員でしっかりした中で、天皇杯を勝ち上がればまたさらに高みを目指せるし積み上げも出来る。残りのリーグ戦にもこの天皇杯を生かせるような戦いにしたい。
■DF 41 刀根亮輔
暑い。どこに行っても暑い。だが、大学生は多分、勢いをもってアグレッシブに来るだろう。思い切りよくプレーすると思う。自分はビルドアップには自信があるほうだが、周囲との距離感や連係が大事なので声を出していきたい。
相手は名古屋を3-0で下しているので、それだけの力があるということだが、だからと言ってそれを受けてはダメ。もちろん(大学生相手で)やりにくさはあるが、プロである以上は勝つのが普通。いつもどおり練習でやっていることを100%出したい。
■FW 27 三平和司
まだ映像は見ていないが、鹿屋体育大は名古屋に対してカウンターで3点取っているようなので、ビルドアップのところでミスをせず、何度もやり直しながら我慢強くやりたい。やはり前から奪いに来ると思う。相手がどうやってくるか次第でプレーを選択したい。連係面は問題ない。
相手がどう来るか、フォーメーションや、どこを抑えてくるかを想定して練習しているので、それなりに対応はできると思う。ただ、相手もこちらに対してスカウティングしてくるので、なかなか上手くいかないこともある。
調子が上がってきて試合に出られるのはいいことだが、最近は90分間プレーしていないので、個人的にもコンディションを整えたい。昨季もそうだったが、試合に出られない期間に自分がどれだけ成長できるかを突き詰めることが大事だし、それをやった結果、いま試合に出られているのだと思う。もしまたメンバーを外れたとしても、やることは変わらない。1年間通してしっかりやりたい。