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今節の見どころ

世界的プレーヤーに元大分のチーム得点王。並みいるスターに組織で立ち向かう

 

世間がお盆休みに突入した10日、チームは明治安田J1第22節H神戸戦に臨む。クリムゾンレッドのスター軍団は順位浮上を目指し、積極的な補強を行っている。こちらは積み上げた組織的サッカーで満を持して迎え撃ちたい。

 

15位の神戸は積極補強を敢行中

 
いよいよ世界的プレーヤーを昭和電工ドーム大分に迎えることになりそうな、明治安田J1第22節H神戸戦。夏休み真っ盛り、お盆休み突入と重なって、チケットの売行きはすでに九州ダービーを超えている。ちょっとしたお祭り状態でもあるが、チームが目指すのは勝利のみだ。
 
神戸は6勝4分11敗の勝点22で15位。前節はG大阪に2点ビハインドから追いついたが、その前は4連敗しており、なかなか波に乗れていない。
 
ルヴァンカップでも同グループだった神戸との対戦は今季4回目。3回目までは毎回、監督が異なったためスカウティングが難しい状態だった。4回目の今回は3回目と同じトルステン・フィンク監督だが、今度はプレーヤーのほうが積極補強によりだいぶ顔ぶれが変わると見られる。
 
神戸在籍期間の長い三原雅俊が柏へレンタル、三田啓貴が自身の育ったFC東京へ完全移籍。守護神キム・スンギュが母国のクラブ蔚山へ。代わりにジョアン・オマリとトーマス・フェルマーレン、飯倉大樹と守備陣を獲得し、最新で大分からストライカー・藤本憲明を引き抜いた。
 
彼ら新戦力が出場するかどうかは、話題性も含め気になるところ。一部報道によると元バルセロナ所属のベルギー代表DFフェルマーレンの出場は濃厚なようだ。飯倉はすでに前節から出場している。藤本もいきなりの古巣戦出場の可能性があり、そのフィニッシュの力量を熟知する大分としては、イニエスタのスルーパスへの警戒をさらに強めなくてはならない。
 

新競技規則適用下でハイプレスをいなせるか

 
ほかにもウェリントンやセルジ・サンペールら外国籍選手だけでなく、小川慶治朗や田中順也、古橋亨梧、山口蛍、初瀬亮ら、日本人にも力量の高い選手が揃っている神戸。
 
片野坂知宏監督はフィンク監督体制の神戸を「アグレッシブにやっているし、守備もしっかりとオーガナイズされている。攻撃も個の能力が高い選手がたくさんいる。簡単には勝てない相手」と警戒する。
 
アウェイでの前回対戦の第16節は、ミスから2失点したが2度とも追いついてのドロー。89分に、古巣戦に途中出場した小林成豪の豪快なシュートで劇的に勝点1を積み上げた。
 
その試合ではハイプレスを受け、苦しい展開となった。今節は新競技規則の影響もあり、また前から奪いにこられれば前回以上にリスクを負うことにもなりそうだ。ミスなくしっかりつないで戦いたい。神戸もポゼッション志向の強いチームなので、流れを見ながらの判断になる。
 
藤本が抜けた穴をどう埋めるかは目下の課題。オナイウ阿道も戦術の中で高い決定率を叩き出している。前節は後藤優介と三平和司も出場し、三平は例年どおり夏から調子を上げている様子。7日からトレーニングに合流した嶋田慎太郎も戦術理解は早そうで、今節にも出場が可能だ。
 
相手に対策されて戦術的成長も求められる中、チームはまたひとつ、変革期を迎えている。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
神戸がどういう形で来るかはわからないが、ピッチに出ている11人が狙いを合わせて戦うことが大事。強い相手であることは間違いない。ホームで勝点3取れるように準備したい。サポーターの方も対神戸ということで注目されている。われわれもピッチでしっかり合わせて戦えば勝点3を取れる試合ができると思う。
 
前回アウェイではイニエスタ選手は出なかったが、今回はおそらくいい準備をしてくると思う。われわれにとって脅威で、相手にとっては心強い選手。出せるし、持てるし、ゲームコントロールもできる素晴らしい選手。いいボールが出てくるので、チームとしてしっかり管理しなくてはならない。
 
■MF 32 前田凌佑
 
古巣に対する特別な気持ちはもちろんある。前回対戦は悔しい試合をしてしまったが、今回はホームで戦えるし、観客もたくさん来てくれると思うので、勝ちたい。
 
相手のフォーメーションやメンバーが予想できないチームとの対戦が多くなっているが、自分たちのサッカーは変えずに貫こうと、みんなで考えている。シーズン序盤は相手も僕らのことをわからずに戦っていたので勝てていたが、2回目の対戦となると相手も対策してきて難しくなる。それでも自分たちのサッカーを貫くのみ。最近はボールを持つ時間も少なくなっているので、もっと相手がイライラするくらいボールを保持して相手に攻撃させないようにしたい。
 
■MF 37 嶋田慎太郎
 
合流初日から、監督の目指しているサッカーを練習で体感できた。みんなが意思統一してやっているので、非常にいい練習だったと思う。ミーティングでも細かくポジショニングのことなどを言っていて、いいなと思った。僕もユースの頃からそういうことをやってきたので懐かしかった。
 
大分のサッカーはボールを保持しながら試合を優位に進めていくところや、チームで連係して相手を剥がしながらボールを運んでいくところが魅力的。僕自身もそういうサッカーに合うと思っていたので、移籍の話をいただいて、悩んだ末に決めた。
 
間で受けて狭いところでターンするのも自分の特長。ターンしてからカットインからのシュートを出せるようにしたい。後ろからつないで剥がして空いたスペースで受けて切れ込んでシュートもパスも出来る。守備もある程度はする。