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今節の見どころ

2度目の師弟対決。ミラーゲームにおいて、いかに強度を発揮できるか

 

13日に開催される明治安田J1第19節H札幌戦。片野坂監督にとっては2度目の師弟対決となる。攻撃的スタイルを貫く両者のぶつかり合いは、エキサイティングな熱戦になりそうだ。

 

さらなる強度が求められている

 
チームはいま、乗り越えなくてはならない壁に直面している。好調に勝点を積み上げたシーズン序盤から一転、相手からのスカウティングが進み、苦しい試合展開を強いられるようになった。トレーニングでは日々、もう一度それを上回るための対策と、それを表現するための技術や連係を高める取り組みが続いている。片野坂知宏監督はここ数試合、勝利へのポイントを「勇気を持ってボールを受け、トライすることが出来るかどうか」だと説く。
 
雨の続いた今週前半は比較的涼しかったが、週の3日目からは晴れ、蒸し暑くなった。今節の札幌戦は3-4-2-1同士のミラーゲームになることが予想される。パス&コントロールやポゼッションのメニューには、対札幌の狙いを反映したアレンジが加えられた。
 
負傷者やコンディション不良により大事を取る選手が多かったが、そのうちの何人かは復帰。ミーティングで今節に向けての狙いを共有し、グラウンドでそれを確認した。別メニューのメンバーが多かった週の前半には細かく組み合わせを変えながらゲーム形式のメニューを重ねたが、その中から新たな起爆剤が生まれるかどうか。
 
相手とのパワーバランスにおいてさらなる強度を求められている現在、指揮官の口からは厳しい言葉も聞かれた。
 
「90分のゲームで90分フルに戦える選手と、90分出来なくてもある程度の時間の中であればJ1のレベルに達しているプレーのできる選手と、まったくそこに入れない選手との差が、ここまで戦ってきて見えてきた感じもある。どこを伸ばすのかを考えると、勝点を取るために出来る選手を継続させ、短い選手は出来るだけ長い時間戦えるようにトレーニングしていかなくてはならない」
 

チャナティップかトリプルタワーか

 
札幌は、チャナティップの負傷により、ここ2試合はジェイを頂点に、その下に鈴木武蔵とアンデルソン・ロペスを並べるトリプルタワーで試合をスタート。彼らをターゲットにしながらスペースも突いてくる、脅威的な攻撃を展開している。前々節は仙台のハードワークに前に敗れ、前節は決定機をものに出来ずに松本と分けたが、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の下、狙いの形を表現している。チャナティップが復帰している情報もあり、前線のメンバー次第で対応を変える必要も出てくるかもしれない。
 
連動したハイプレスによる守備も厄介だ。前回対戦の第4節は、立ち上がりにその背後を突いて幸先よく2点を先行すると、その後は相手の修正に遭い一方的に押し込まれたが、なんとか逃げ切って勝利した。2度目の対戦となる今節、指揮官がどのような戦い方を準備しているかが楽しみだ。
 
いまなお進化を続ける“ミシャ式”と、それを源流として生まれ独自の理論を描こうとしている“カタノサッカー”の対決ふたたび。攻撃的スタイルを標榜する両軍が、激しくぶつかり合う。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
全体の狙いを合わせていくところでは選手たちはしっかりやってくれている。強度といってもただがむしゃらにやればいいというものではなく、ちゃんとポジションを取るとか判断するとか、守備も粘り強くやり攻撃も関わっていくことを90分切らさないことが「強度」。しっかり判断して考えながらやるように指示した。
 
選手もJ1でのゲームの負荷、マッチアップしている相手とのパワーバランスをわかってきている部分もあると思う。ただ、自分たちの積み上げでは、すぐによくなるものではないので、いま自分たちが持っている最大値を出さなくては勝点にはつながらない。一人でもそれを出せずに落ちたりすると、勝点を取れないゲームになるということをわかってほしい。
 
札幌とはミラーゲームになり、強度の高い試合になる。チームとしての狙いを合わせていかなくてはならない。準備ができている選手の見極めが大事になる。戦う強度を維持しながら隙のないチームを作らなくては痛い思いをする。そのへんの見極めの厳しさは、自分も考えながらやらなくてはならない。やはり札幌は強いので。個の能力もあるし、ミシャさんの戦術も浸透している。その中でホームで勝点を挙げるにはどうしても得点が必要。取り方も工夫しなくては、簡単には取らせてもらえない。擦り合わせて準備したい。
 
■DF 3 三竿雄斗
 
最初は考えながらプレーしていたが、いまはそれほど考えすぎずに体が自然に動いていいポジションを取り、いい状態でやれている。ただ、2回目の対戦となると相手も対策してくるし、その中で自分たちも対策している。練習でやっていることを試合で出せるよう、メンタル的な部分も整えていかなくてはならない。最近は少し自信を失っている部分もあるが、自分たちは18位からのスタートながら、いま5位という位置についている。悲観することなく自信を持ってプレーしたい。
 
相手がプレスに来る中でもJ1で戦える喜びを感じながら自分たちのサッカーをやるだけ。ミスしてもいいのでもっともっとチャレンジしていきたい。
 
札幌には強力な3トップがいて、左からのシンプルなクロスをファーで折り返してというイメージがある。自分は身長もないしヘディングも強いほうではないが、先にコースに入ったり上手く体をぶつけたりして自由に競らせないようにしたい。いままでもヘディングの強い相手にはそうやって対応してきた。
 
■FW 45 オナイウ阿道
 
今日はいろいろとメンバーを入れ替えながらゲームを行なったが、チームとしてやることは誰が出ても変わらない。自分のいちばんの役割は結果を出すこと。そのために戦術をどこまで表現できるかということと、個人対個人のところで負けないことが大事になってくる。
 
最初の頃よりも戦術やポジションの役割を理解できて、自分の特長も周りに理解してもらえてきた。自分から周囲に発信していくことで、自分が動きやすいように動けるようになってきている。シャドーをやるようになってから、後ろの選手や相手のボランチの選手のことを気にするようになった。もっと細かくポジションを取り、しっかり止める/蹴るを出来るようにすれば、もっと相手の嫌なプレーができるようになると思う。