シーズン前半戦最後の一戦は、赤い強豪と。細やかに立ち回り組織で対抗せよ
6年ぶりの浦和との対戦だ。浦和は26日にACLラウンド16第2戦・蔚山戦で第1戦からの大逆転勝利を収め、チームとして勢いに乗っている。シーズン前半戦最後の今節、大分は満を持して赤い強豪を迎え撃つ。
ACL・アウェイ蔚山戦から中3日の浦和
ACLのスケジュールの関係で、明治安田J1第17節H浦和戦は当初の予定から変更され、30日開催となった。26日にアウェイ蔚山戦を戦った浦和は、ホームでアウェイゴールを献上して敗れ背水の陣を敷いたが、見事3-0で圧勝してラウンド16を勝ち上がった。チームの雰囲気は上々のはずだ。
浦和は5月28日にオズワルド・オリヴェイラ監督との契約を解除し、ふたたび大槻毅監督が指揮をとることになった。システムは3-5-2から3-4-2-1へと変更され、起用戦力も変化。片野坂知宏監督はこう分析している。
「若い選手を使ったり、ACLとも併用している中で競争を促しながら戦っている。ACLで次に進出したことがチームにとってプラスになっていると思うし、その勢いでくるのか、3日間しかない準備期間の中で状態のいいフレッシュな選手を使ってチャレンジし、さらに競争を促すのか」
3-4-2-1同士のミラーゲームが予想されるだけに、なおさら相手選手の顔ぶれが気になるところだ。特に個々の能力が高くインテンシティーの高い相手との対戦が続いたここ数試合は、勝点3を取るまでには至っていない。
今節はオナイウも不在。果たしてメンバーは
さらに今節は契約の関係で、浦和から期限付き移籍中のオナイウ阿道と伊藤涼太郎が出場できない。特にオナイウは最近、藤本憲明へのマークがキツくなる中で得点を重ねているだけでなく、激しい守備や攻撃の組み立てでも存在感を発揮している。大分の中では突出して個の強度を誇るプレーヤーだ。
岩田智輝と小島亨介は28日の昼頃にコパ・アメリカから帰ってきたが、現実的に今節の出場は無理だろう。前節までに続き右CBの人選が注目される。最終ラインやシャドーはビルドアップの出来に大きく影響するポジションだけに、オナイウと岩田の不在をどうするか。片野坂監督は今週、通常よりも1日早く非公開の紅白戦を行い、対浦和において有効な戦力の組み合わせとプランを模索した。今季はまだ出場機会の少ない戦力も準備は出来ており、あるいは組み合わせそのものが大幅に変化する可能性も否めない。前節も小林成豪が69分から出場して劇的同点弾をものにし、勝点1を得ている。
その小林の劇的同点弾を呼び込んだのは、小林の個人技ももちろんだが、ゲームプランの中で立ち上がりから辛抱強くボールを保持しようと努力を続けた流れも大きく関係している。今節もそうやって90分で勝点を得るプランに向けて、それぞれのメンバーが役割を遂行することが求められるだろう。
チームは日々、組織でインテンシティーを高めるためのトレーニングを続けている。片野坂監督の目指すその地点に向けて決め手になるのは「予測」だと捉えるのは島川俊郎だ。28日のトレーニング後、「最近は少し弱気になっていた。ここからは」と吹っ切れたような表情を見せた。
浦和の守護神・西川周作、そして今季ルーキーの岩武克弥。2人の大分アカデミーOBとの対戦も楽しみな、6年ぶりの浦和戦だ。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
浦和はACLからの連戦で、どういうメンバーで大分に乗り込んでくるかが予想しづらい。相手メンバーが読めないことで、こちらのメンバー選考も悩むところがある。予想の中で組み合わせて相手とのパワーバランスを考え、90分のゲームプランをどう持っていくかを考えている。相手がどういうふうに来るかを判断しなくてはならない中で、自分たちが準備したことをしっかりと表現できるかが問われる。
紅白戦は攻守において全体の連動がスムーズに行くかということと、こちらが意図していることを選手が感じてやってくれているかということを確認した。紅白戦では浦和の強度を再現してシミュレーションできないが、やはりわれわれは個人よりもチームとしてしっかりと合わせて出来るかどうか。そこで上回る戦いをしなくては、個対個では浦和のほうが分がある。そういう戦いにならないよう、90分のプランの中で狙いを合わせていきたい。
■DF 4 島川俊郎
ミラーゲームになりそうなので、どれだけ勇気をもってボールを持てるかが問われる。強いチームはボールを持たれることに慣れていない。少しでもメンタル面に働きかけて相手に迷いを与えることができればと思う。
ビルドアップでやり直すところと剥がしにいくところで、個人的には少し弱気になってしまっていた。それは選手個々の意識の問題で、そこがバラバラになってしまうとよくない。トレーニングで統一してよくしていきたい。前節の神戸戦に関しては自分のところで全部解決できたと反省している。あの試合は全部後手後手になってしまい、自分に対して「なんで、出来るのに」という悔しさがあった。最近は反省ばかりだったが、そろそろ頑張ります。
■MF 14 小塚和季
順調なときは得点できていたが、いまは点が取れていない。メンバーが代わったこともあってビルドアップが上手くいっていない部分もある。一人ひとりが距離感を考え、もっと開くときは開いてもいい。いいときよりも距離感がよくないのかなと思う。
だが、点が取れていないからといってそれほど慌てることはない。距離感よくボールを動かしながら、じわじわと相手を痛めつけるという意識を僕は持っている。前節、終盤に相手が疲れていて、僕らも疲れている中で最後に同点弾を決めたが、それは前半の動かしがあってこそそういう結果につながったと思うので、焦らず90分間で仕留めたい。
浦和には特に強度の高い選手が多い中で、僕らはチームとしてしっかり勝っていかなくては、個人の部分ではどうしても勝てない部分も多い。全員で戦っていきたい。