2週間ぶりにリーグ再開。強豪・名古屋とスタイルをぶつけ合う一戦
今季初のリーグ戦連敗を喫した後、2週間の中断期間を経て、チームは明治安田J1第15節H名古屋戦に臨む。明確なスタイルを標榜する者同士、互いにそれを表現し合う好ゲームに期待したい。
スタイルの練度を高めた中断期間
第13節H川崎F戦、第14節A東京FC戦と、好調な上位陣との対決はいずれも黒星に終わった。第12節H清水戦のドローを含め、3戦白星なしという状況で迎えた中断期間、チームはさらなる戦術の練度向上に努めた。
チーム自身がここまで好調を保ってきただけに、対戦相手から研究される度合いも高まり、最近は難しい展開の試合が増えていた。特に清水戦ではスタイルの要所を抑えられて苦戦。内容的にも乏しいゲームとなってしまった。それを受けて川崎F戦とFC東京戦にはさらに細やかな準備をして臨み、特にFC東京戦では戦術的にも新たな試みを披露したが、個々の局面での力量差を見せつけられる形で、これも今季初の複数失点で敗れた。
ストロングポイントとしてきたサイド攻撃が封じられたことも影響し、ここ最近はチーム得点王・藤本憲明がいい形でフィニッシュに絡む回数が少なくなっている。調子を上げてきたオナイウ阿道が得点を重ねはじめてもいるが、チームとしてもっと攻撃のバリエーションを増やしたいところだ。中断期間のトレーニングは主にその確認に充てられた。
ジョーが復帰してくる可能性
今節ホームに迎える名古屋も、第12節に川崎Fと引き分けた後、第13節は松本に、第14節は仙台に、それぞれ敗れ、大分と同じく今季初の連敗、3戦白星なし状態だ。
ルヴァンカップ第6節・神戸戦でジョーが負傷離脱し、前線にボールの収まりどころがなく時間を作れなかったことで、いつものスタイルを十分に表現しきれずにいた。そのジョーが、今節は復帰する可能性がある。開幕前から股関節を痛め離脱していたエドゥアルド・ネットも本格復帰しているという。U-20およびU-22代表で選手が抜けても特に影響のない選手層の厚さは脅威でしかない。
一方の大分は、右サイドからの攻撃を担ってきた岩田智輝がコパ・アメリカ参戦のため不在。代わりに誰を起用するのか、最終ラインの並びがどうなるのかが気になるところだ。中盤では、負傷離脱していた前田凌佑がコンディションを回復中。フォーメーションや組み合わせも含め、対名古屋戦術をどのように戦うかが左右されるポイントになるだろう。
名古屋も風間八宏監督の哲学の下、ブレずにスタイルを貫くチームだ。大分のスタイルとは互いの特徴が出やすい相性で、いずれが主導権を握るかの争いになることが予想される。ボールを保持し、勇敢に相手の背後を突いていきたい。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
ビルドアップではロストしたくない。ボールを握りながら相手を動かし、その変化を見て、これまでやってきたことを体現できるかどうかというところ。名古屋もボールを持つチームなので、簡単に持たせてくれるとは思えないし、守備も粘り強くやらなくてはならないが、逆にわれわれもボールを持つところで上回りたい。ボールを持たなくては得点できないし、ボールを持つことで相手の攻撃機会を削ることもできる。
名古屋はジョーがいるのといないのとで全然違う。得点のところで怖い選手だし、名古屋にとっても、攻撃の迫力で物足りなさを感じているのではないか。もちろんジョーだけでなくシャビエルもマテウスもシミッチもアーリアもいるし、前田くんも和泉くんも…あ、全部ですね(苦笑)。
どちらが主導権を持てるかというところで、やはり名古屋さんのほうが選手の技術や戦い方に関してもわれわれより上なのは間違いない。その中でも粘り強く戦うことが大事。状況によって持つべきときにしっかりボールを持てるように、どういうときにどういうところを狙うかということを選手に徹底させた。チャンスであれば得点を狙いにいかなくてはならないし、つねにゲームの状況の中で判断させながらやりたい。
■DF 5 鈴木義宜
攻撃の部分でブロックを作られたとき、いい形で相手を剥がすことをもっと増やさなくてはならないと思っていたので、この中断期間はそういうところを意識しながらトレーニングした。前節は新しい試みもあったが、もともとのベースがあった上でのプラスアルファなので、みんな共通意識をもってやれている。練習試合でもそれを意識した。相手が大学生だとどうしても手を抜きがちなところが出てくるが、自分が出ている間は意図的にそんなことにならないようチームを引き締めることも心がけた。
名古屋も連敗中だが、だからと言ってやり方を変えてくるチームではない。引かずに食いついてくるスタイルなので、そこで足元なのか背後なのかの判断を的確にし、相手のスキをどれだけ突けるか、チャンスでどれだけ決めきるかという勝負になると思う。相手もボールを持ちたいチームだが、持たせると脅威なので、自分たちの時間を長くして相手の時間を短くしたい。主導権の握り合いになる。お互いに自分たちのサッカーができるかできないかという試合になる。結果はその延長戦上についてくる。
お互いに自分たちのサッカーができるかできないかという試合になる。結果はその延長戦上についてくる。ミスを恐れて安パイなパスばかりでは相手も剥がれない。その判断や質を高めていきたい。ジョーは懐が深く、ボールを収めることができる。あそこにボールを入れられると厄介なので、どれだけ先手を取るかが大事。
■DF 4 島川俊郎
練習では名古屋戦に向けてビルドアップの確認をし、問題なく運べるイメージができた。相手はライン高くプレッシャーに来ると思うので、幅と深みを上手く使いながらプレーしたい。守備に関しては焦れず、慌てず、イライラせずに基本に立ち返ることが大事。
僕個人としては攻撃チャンスを逃しているところもあると思うが、チームとしては相手陣地に入ってからは焦れずに何度もやり直していい。J1の相手はディフェンス能力も高いので、何度もやり直して一瞬のスキを突ければと思う。
ここ3試合は個人的に気持ちの部分でアドレナリンが出てくるようなプレーができず、悔しい気持ちのままで中断期間に入った。チームの真ん中にいる自分が不甲斐ないプレーをするとチーム全体が崩れてしまう。自分にカツを入れて「うだうだ言わずやるんだよ」と、もう一度自分を表現しにいくための、いい2週間にできたと思う。