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今節の見どころ

またも新体制初戦の相手。状況を見極め、臨機応変に難しいシチュエーションを乗り越えよ

 

前節終了後、清水の監督交代が発表された。第10節H鳥栖戦に続き、またも相手指揮官交代後初の試合となる。

 

篠田監督体制初陣という難しさ

 
清水は前節、川崎Fに0-4で敗れて3連敗となり、降格圏の17位へと転落した。これを受けてヤン・ヨンソン監督が退任し、篠田善之コーチが内部昇格して新指揮官に就任。大分にとっては第10節H鳥栖戦に続き、またも新体制初戦のゲームとなる。指揮官が代われば戦術や出場メンバーも変わり、こちらとしては相手の出方が読みづらい、難しいシチュエーションだ。
 
篠田監督は過去に福岡とFC東京で監督経験を持つ。いずれもシーズン途中からの就任で、そのシーズンはチームの立て直しに成功している。
 
片野坂知宏監督は「篠田さんはまずは戦う姿勢をチームに植え付け、ハードワークして戦うチームを作ってくる」と警戒。現時点ではリーグワーストの26失点だが、最終ラインに入ってきたファン・ソッコは片野坂監督の広島でのコーチ時代の教え子でもある。「ソッコは運動量多く球際強く、駆け上がるスピードもあっていい選手だった。鹿島や海外を経て清水で核としてやっているが、いいものを持っている。清水の守備からも得点を取れるようにしたい」と力を込める。
 
今季はやや損なわれていた清水のインテンシティーを再び高めれば、個人能力の高い選手が揃っている。特に日本代表の北川航也、元北朝鮮代表の鄭大世と、最前線のポテンシャルは高い。そこに中村慶太や金子翔太らが絡み、後ろからも攻撃参加してくる。監督交代ブーストもかかるとなればなおさら侮れない相手だ。
 

今節を皮切りにタフな連戦がスタート

 
一部報道では清水は今節に4-2-3-1で臨むという情報も出ているが、実際にそのとおりになるか否かはわからない。最近では大分のサイド攻撃を潰すために、立ち上がりは5枚のブロックでこちらを消しにきておいて、後半に勝負を懸けてくる相手も増えた。
 
だが、出方のわからない相手との対戦はこれまでも多々経験している。もとより相手の状態を見て戦い方やプレーを選択していくスタイルなので、ある意味やることは変わらない。最も対策しづらいのはメンバーが読めないことだが、選手たちは「マッチアップしてもそれほど相手を気にすることはない」と話しており、頼もしさをのぞかせた。
 
高畑奎汰に続き前節の湘南戦は長谷川雄志もリーグ戦デビュー。2人のルーキーが実戦経験を積みながらチーム戦術にフィットしていく様子は、まだこのチームに伸びしろがあることを感じさせる。
 
まずは目の前の清水戦に集中しなくてはならないが、中3日でルヴァンカップ第5節・C大阪戦も控えている。グループステージ突破のためには勝たなくてはならない決戦で、そこからさらに中3日で、好調・川崎Fとの次節を迎える。タフな連戦になるが、これまでも相手に対策されたり相手の出方がわからなかったりという難しい局面を、チームは柔軟に乗り切ってきた。その経験の積み重ねが、今節も勝利を呼び込むと信じたい。
 
余談だが、あと1ゴールでクラブJ1通算300ゴール。メモリアルゴールをゲットするのは誰か、またどんな形からのゴールになるのかも楽しみだ。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
清水は力のあるチームでタレントもいる。日本代表のFWやフィジカルが強く決定力のある選手もいて、非常にアグレッシブなチーム。簡単な相手ではない。篠田新監督はまずはハードワークして戦うチームを作ってくる。戦う姿勢をチームに植え付けてくるのではないか。これまでも清水はカウンターや速攻をストロングポイントの一つとしてきたが、そういうところも狙ってくるのではないかと思う。
 
われわれに対しては他のチームも工夫を凝らして対策してきていたので、清水さんが監督交代のタイミングでどういうふうに戦ってくるかは読みづらい。これまでもそういうことを乗り越えてきているので、選手たちも状況を見て判断し、攻守で相手の変化を見てプレーしてくれると思う。まずは自分たちがしっかりと状況判断すること。コンディションを含めて準備のできている選手を見極め起用したい。
 
■FW 45 オナイウ阿道
 
チームとしても個人としても勝利につなげられている。戦術的な理解が深まっているのが要因かと思う。パスコースを増やすことやつながることを意識しながらポジションを取っているが、いいポジションを取れていることがゴールにもつながっている。前線の選手なのでゴールはもちろん狙いたいが、ゴールにつながるようなアシストでも貢献できればと思う。

いまはシャドーで出ているが、浦和でも経験がある。少しやり方は違うが、組み立てを求められるポジション。積極的にボールを受けて、ミスしたら自分で取り返してということを繰り返しながら、どんどんよくしていければと思う。試合に出ていることで体得してきたものも大きい。
 
前節の湘南戦もそうだが、相手が激しくプレスに来たときにはロングボールを使うなど、臨機応変にいろいろな形で戦えるようになっている。我慢する時間帯にはしっかり我慢できていた。柔軟にやっていきたい。ここからまた連戦。チームの総合力が問われる。一戦ごとに集中してみんなで頑張っていきたい。
 
■GK 1 高木駿
 
必ず点が取れるのでしっかり守ろうという意識が出てくる。ゲームの進め方やボールの回し方など攻撃がしっかり整理されているので、自分たちからバランスを崩したり悪い流れにしてしまうことがあまりない。それが守備の安定にもつながっていて、自分たちの戦いができているのではないかと思う。昨季はバタバタした場面もあったが、今季はそれが修正されて、いいゲームができている。
 
清水はパワーのある選手や上手い選手がいるし、守備陣をかき乱すような動きもしてくる。相手の出方を見ながらノリ(鈴木義宜)中心にゴール前ではしっかり体を張って守りたい。そうやって進められれば必ず得点はできる。相手を見ながら戦いたい。個人的にアシストも狙っている。相手DFラインの高さを見ながら、攻撃起点になりつつ守備で無失点を達成したい。