グループステージ突破のために必勝の一戦。かつてのミスターとの知将対決も
チームは8日、JリーグYBCルヴァンカップ第5節H神戸戦を戦う。Cグループ最下位の現在、プレーオフステージ進出のためにはもう負けられない状況だ。
相手にも自分にも勝たなくてはならない一戦
グループステージ4戦を終えて1勝1分2敗。Cグループでは最下位となっている。首位のC大阪が勝点7、その下に名古屋と神戸が勝点5で並んでおり、残り2節で2位以上に入ってグループステージを勝ち抜けるためにはもう後がない状況になっている。
片野坂知宏監督は「コンディションのいいメンバーを起用して勝てるゲームをしたい」と引き締まった表情。ルヴァンカップはリーグ戦に絡んでいないメンバーが公式戦でアピールするチャンスでもあり、チームの総合力を高めるためにも大事な戦いだ。「自分の成長とチームの成長とをとらえることができれば今後にもつながっていく」と指揮官はメンバーに期待をかける。
第4節のH名古屋戦で手応えをつかんだ感のある庄司朋乃也は「ここまで失点が多いのでDFとしては無失点に抑えたい」と話した。活躍が待たれる小林成豪はフィットしてきた感触を確かめながら「得点に絡むプレーを増やしたい」と古巣戦に備えている。
これまでルヴァンカップに出場していた高畑奎汰が4日のリーグ戦にフル出場しており、さらなるメンバーのアピールが待たれる。戦力の選択肢は多く、勝利が必要とされるこの一戦を指揮官がどうプランニングするかも注目ポイントだ。
かつての「ミスター」が敵将として帰ってくる
神戸は4月17日にファン・マヌエル・リージョ監督との契約を解除し、吉田孝行監督体制へとシフトしている。現役時代には大分でも主力として活躍し、片野坂監督ともともに戦って「ミスター・トリニータ」と呼ばれていた時期がある。指揮官として大分のスタジアムにやってくるのは初めてだ。片野坂監督との知将対決も、古くからのファンやサポーターにとってはたまらない見どころだろう。
前回対戦の第3節はリージョ監督体制だった。吉田監督体制初のルヴァンカップとなった前節はC大阪と戦い、前半は日本人選手11人でスタート。後半からウェリントンや西大伍を投入して流れを引き寄せたが0-1で敗れている。就任以後、公式戦でまだ勝点を取れておらず、今節はグループステージ突破とともに初勝利も懸けて臨んでくるだろう。
リーグ戦との選手起用の兼ね合いも気になるところで、負傷中のポドルスキや4日のリーグ戦にベンチ外だったイニエスタがメンバー入りする可能性もゼロではない。スタープレーヤーの姿をリーグ戦より一足早く拝めるかどうか。
出場メンバーは読めないが、神戸はしっかりとポゼッションするスタイル。こちらも自分たちのスタイルを表現できれば好ゲームになるはずだ。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
——吉田監督とは大分でも現役時代にチームメートだったが。
神戸の現状ではいろんなことがあり、途中での就任でいろいろ大変な状況だろうと思う。見ているぶんにはリージョさんと(吉田)孝行とでやり方がそれほど大きく変わったようには感じられないが、選手の使い方は少し違うのかなと思う。ただ、リーグ戦も勝っていないし、怪我人の状態も関係して、このミッドウィークのルヴァンカップにどんなメンバーで来るのかが予想できない。
ウェリントンはつねにルヴァンカップとリーグ戦のどちらにも出ているので、タフな選手なのだと思う。若い選手も能力の高い選手がいるが、リーグ戦の札幌戦では三田くんとか郷家くんとか宮くんとか橋本くんとか、前回ルヴァンで対戦したときのメンバーも出ていた。神戸も予選突破のために勝点3を取りにくるだろうし、その辺のバランス、また怪我をした外国籍選手をリーグ戦に合わせていくのかルヴァンカップに出すのかもある。イニエスタやポドルスキが来たら実際に見てみたいし、リーグ戦でなくては対戦できないような相手とルヴァンカップで対戦できれば選手たちにとってもいい刺激になると思う。
予選突破に向けて勝点3がとれないと厳しい状況で、もう負けられない。選手もそれはわかっていること。ホームで勝点3にこだわるようないいゲームができるか。前回神戸と対戦したときよりも自分たちがまた成長していることを見せることが大事。自分の成長とチームの成長とをとらえることができれば、今後にもつながっていく。
まずは守備のところでしっかりとコンパクトにしながら、狙いを持って合わせてやらないと、時間とスペースを与えると仕事のできる選手が何人もいる。自由を与えないようにチャレンジさせたい。攻撃は相手の形によって狙いを合わせて戦えればと思う。
状態を見極めて、若い選手でも準備ができていれば起用したい。神戸に対して狙いがうまく合う、戦術に合うメンバーを選考する。勝たなくてはならないので勝てるゲームを準備したい。
■MF 25 小林成豪
吉田監督はいつも練習から調子のいい人や勢いのある選手を使っていた。でもいまは組み合わせの関係もあるし変わっているかもしれない。神戸の若手選手は一人ひとり技術が高くて上手い。
出場したら得点に絡むプレーを増やしたい。チームのやり方にも慣れてきて、徐々にしっかりやれている。後ろからつなぐサッカーなので、ボールがないときのポジショニングを意識している。
チームに合わせることも大事だが、その中で自分の特長も出していきたい。誰と組んでも合わせられるようになってきた。まだまだできると思うので、コンディションを上げて試合に臨み、いいプレーを見せたい。ルヴァンカップで活躍しなくてはリーグ戦にも絡めないので頑張りたい。
■DF 39 庄司朋乃也
神戸とは前回も対戦したが、そのときとは監督も替わっているのでよくわからない。スカウティングに基づいた監督からの指示を受け、その中で自分なりに考えてプレーしたい。そのときどきで頑張れるようにしている。ルヴァンカップで失点が多いので、守備陣としてはそこが気になる。神戸戦に出場したら無失点に抑えることが、DFとしてのアピール。予選突破のためには勝つしかない状況だが、僕としては無失点で抑えれば前が点をとってくれると思っている。チャンスがあればセットプレーからの得点も狙いたい。
いままでこういうサッカーをしたことがなかったので新鮮で楽しい。最初に比べればチームにもフィットしてきた。攻撃時のポジショニングが難しかったが、そこが決まれば余裕をもってつなげるようになる。できなくて苦労することもあるが、個人的に楽しくやれている。