初めてのパナスタ。雰囲気にのまれず個の能力に負けずに実力を発揮せよ
20日に開催される明治安田J1第8節、チームはアウェイでG大阪と対戦する。日本屈指のサッカー専用スタジアムで、タレント揃いの強豪とのマッチアップ。持てる実力をどれだけ発揮できるかがカギになると、古巣戦に向かう指揮官は言った。
ゆかりあるチームとの対峙にも勝負に集中
16年J3でのG大阪U-23戦は万博での開催だったため、パナソニックスタジアム吹田での試合はこれが初めてになる。吹田生まれで子供の頃からG大阪を身近に感じて育った福森直也も、あのスタジアムでプレーすることには感慨深いものがあるようだ。
藤本憲明もG大阪堺アカデミー育ち。小・中学生の頃はトップチームの練習もよく見に行っていたという。「『藤本はガンバが育てた』と自慢してもらえるようになれたらうれしい」と言いつつ、「ここで3連勝すればウチは勢いに乗れるから」とあくまでも勝負に徹する構えだ。
片野坂知宏監督にとっても、現役時代に、そしてコーチとしても在籍した古巣戦。16年のG大阪U-23戦の際には相手サポーターからJ2復帰へのエールをもらった。あの感謝を胸に、今度はJ1での対峙だ。期するものは当然あるだろうが、やはり大事なのは勝負。トレーニングで対G大阪戦術を落とし込むことに専念した。
18日、非公開の紅白戦後は、その日が48歳の誕生日だった指揮官を選手たちが水かけで祝福。その雰囲気からも充実した練習が出来たのではないかと期待できる。
前節・仙台戦終盤に交代した星雄次のコンディションが気になるところだが、高山薫は万全で三竿雄斗もコンディションを上げており、ルヴァンカップで経験を積んでいる高畑奎汰も控えている。星が出場を見合わせたとしても、選択肢は豊富だ。
得点も失点も多い今季のG大阪
宮本恒靖監督体制2年目となるG大阪だが、今季はここまで2勝5敗の15位と、まだ波に乗れていない。FC東京、神戸と並び12得点とリーグ2位の得点力を誇りながら、16失点とこちらはリーグワースト2位。開幕の横浜FM戦、第2節の清水戦、第3節の名古屋戦、第5節の神戸戦と激しい打ち合いの試合を演じているが、第6節の広島戦は0-3、前節の浦和戦は0-1と無得点で敗れており、3連敗中、さらにホーム未勝利という苦しい状況にある。
それだけに、昇格組の大分を迎える今節、ホーム初勝利を懸けて全力で来ることは間違いない。4-4-2と4-2-3-1を使い分けて戦っているが、いずれにしても遠藤保仁と今野泰幸という屈指のゲームメーカーを中盤に侍らせる布陣は、ハイレベルな試合を作り出す。J2山口から引き抜かれたことがその後の山口低迷の一因とも見られる小野瀬康介のアグレッシブな仕掛けや倉田秋の上手さ、ファン・ウィジョの強度など、警戒しなくてはならないポイントは数えればきりがない。
気になるのは、一部で大事を取って別メニュー調整と報道が出ていたアデミウソンのコンディション。アデミウソンが横浜FMに在籍していた2015年、天皇杯で対戦したときには、2種登録選手として出場した岩田智輝が見事に対応していたが、それ以来となる今節のマッチアップはあるのかどうか。左SBで出場していた藤春廣輝が、前節の浦和戦で左鎖骨を折って全治10週間。左サイドの縦ラインがいずれも代わる可能性も高い。
いずれにしても片野坂監督は正攻法で臨む模様。「これまで4バックの相手に対して積み上げてきたものを出して戦いたい」と話している。個の能力の高い相手に対しては、これも通常どおり組織で対応するとともに、自分たちが保持する時間を増やすことで相手に攻撃権を与えないといういつものスタンスを貫く。攻撃的なスタイル同士の真っ向勝負になるか否か。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
G大阪は個人的にお世話になったチーム。選手時代もそうだし、コーチとしても西野朗さんと長谷川健太さんの下でビッグクラブでタイトルを取らせてもらったし、いま監督としてやらせてもらっている中でも勉強させてもらったクラブで、対戦はうれしいし楽しみでもあるが、自分たちのサッカーをG大阪のファンやサポーターの方々にも見ていただきたいと思う。
——48歳の誕生日を迎えて。
誕生日はうれしいお祝いの言葉をたくさんいただけてありがたい。今年1年、いろんな選手やスタッフもそれぞれに誕生日を迎えるが、いい誕生日がたくさんできるように、いいシーズンにしたい。今日の紅白戦ではG大阪戦に向けての狙いを攻守にわたり共有した。選手も整理はできたと思う。あとは実戦で相手がどういうメンバーでどう来るか。あの吹田スタジアムのアウェイの雰囲気の中で、臆することなく相手を上回ってプレーできるかどうかが問われる。
ポイントとしては、守備面では個の能力の高い選手がいて、特に前線には前を向かせると何でもできる選手が多いので、自由を与えないようにしたい。攻撃ではしっかりボールを保持したい。相手の変化を見て攻撃で上回ることにより、相手に攻撃権を与えなければ、守備の負担も軽くすることができる。あとは決定機を決めきれるかどうか。
自分たちがこれまでやってきたことをプレッシャーがある中で、質の高さがある中で、あの雰囲気の中で出せるか。特別なことは特にやっていない中で、つねにいい判断をしていいポジションを取り、相手を上回ることで攻撃が成立できる可能性が高くなる。守備では前線から後ろまで合わせてやることで、守りきれる力は十分にある。粘り強くチャレンジしたい。たとえ勝点を失ったとしても決して悪いことではない。格上に負けることはあると思うが、そこで何ができたか、できなかったかを次に生かせるようなゲームになればと思う。
■MF 4 島川俊郎
前節負傷から復帰して、早く試合がしたい。離脱していた間に外から見ていて掴んだのは、チームとしてボールを持ったときに急がず、大事にすること。甲府でやっていた感覚で大分でもやると自分のプレーがアグレッシブになりすぎてしまう。大分はCBもどんどんオーバーラップするので、自分は動き回るよりもバランスを取ってみんなのスペースを埋める役目がいいのかなと考えた。
パナスタは、甲府時代に19人目の選手として行っただけで、実際にプレーした経験はないが、お客さんの入った雰囲気はめちゃくちゃよかった。あそこでプレーしてみたいと思えるスタジアム。出場できたら頑張りたい。
G大阪とはシステムのマッチアップの優位性を生かして戦えればと思うが、G大阪は一人一人の能力が高く強烈なので、こちらが攻めているときのセキュリティーが大事。球際でも戦わなくてはならないし、あのスタジアムの雰囲気にのまれてしまったら話にならない。ボランチとCBが中心になって、戦う気持ちを忘れず取り組みたい。
■DF 6 福森直也
僕はG大阪のホームタウンである吹田出身。家から万博の光が見える距離。応援の声も聞こえる。最初にサッカーチームを見にいったのもG大阪。近所に旗も立っていた。あのG大阪と対戦するのは少なからず思い入れがある。中学時代にG大阪のセレクションも受けたのだが、当時はそこまでの力がなく3次試験で落ちた。そのタイミングでC大阪のチーム関係者が声をかけてくださって、そちらに入れた。
G大阪は攻撃的。相手のペースにのまれてしまったら何点も取られてしまいそうで、怖さのあるチームだと思う。経験値の高い選手も多い。向こうは連敗しているのでモチベーション高くやってくるだろう。でもこちらも攻撃では引けを取らないし、守備の面でも失点数はこちらのほうが少ない。自信をもっていいサッカーをしたい。
G大阪に思い入れはあるが、いま僕が生きているのは大分。しっかり勝ちたい。普段は応援に来れない人がたくさん来てくれる。J3のときは新スタではなかったので楽しみ。2年前に天皇杯決勝を見に行った。今度はそこに立てるので楽しみ。