ここに来て調子を上げてきた仙台。迫力満点のカウンターは要警戒
10日のルヴァンカップ第3節A神戸戦を終えたチームは、14日に行われる明治安田J1第7節H仙台戦に向けて準備を進める。公式戦連勝中の相手を迎え、ホームチームらしい戦い方を表現したい。
公式戦2連勝中。勢いに乗りたい仙台
開幕5戦勝ちなし、第2節から第5節は4連敗とスタート時は躓いた感じの仙台だったが、ルヴァンカップでは全勝、リーグ戦も前節は鳥栖に3-0と圧勝している。3-4-2-1と3-5-2の2つのシステムをを併用して戦う中で、勝てない時期には戦力の組み合わせをさまざまに変えながら試行錯誤してきたが、前節はハモン・ロペスとジャーメイン良を前線に並べた3-5-2で結果を出した。この試合で3バックのセンターを務めたのは、17年夏に大分に期限付き移籍加入し、シーズン終了まで在籍した常田克人だ。大宮生まれの青森山田高校OB。大分でも公式戦出場の機会はなかったが、187cmの長身、左足からのフィードは伸びやかで気持ちよかった。カウンターの起点としてもうってつけで、2トップの存在を生かすことができる。ちなみに今季はイメージチェンジして坊主頭だ。
3バックの右には、前節はベンチスタートだった大岩一貴が復帰しそう。左WBには引き続き俊足の石原崇兆が入ると思われるため、大分のスピードスター・松本怜とのマッチアップは見応えのあるものになりそうだ。いずれのシステムにしても2列目で出てくるであろう兵藤慎剛はインテリジェンスが高い選手としておなじみだが、それとともにラストパス供給元としての吉尾海夏も気になる存在だ。
2月の練習試合では個に圧倒されたが
守護神シュミット・ダニエルが最後の砦となる守備は、今節の仙台がどのようなメンバーでどのような戦い方をしてくるかによって、そのありようも変わってくる。引いたとしても前から来たとしても、基本的に球際に強く手堅いイメージは変わらない。相手の状態を見ながらテンポよく正確にボールを動かし、相手を剥がさなくてはこじ開けるのは簡単ではなさそうだ。
仙台が3-4-2-1か3-5-2かによって、こちらとしても狙いどころや守備対応が変わってくるが、相手の中盤の形が蓋を開けるまでわからなくても万全の準備はできていると、ボランチの前田凌佑は言う。J1での戦いはレベルが高く、これまで以上に予測や反応、ポジショニングの精度が厳しく問われるそうだが、チーム内の激しいポジション争いの中で自身を高めていきたいと話した。
プレシーズンの2月2日に仙台と行ったトレーニングマッチでは、互いにチームの未完成なことが見えた中で、ハモン・ロペスやジャーメイン良の個の能力に圧倒された。今節の戦いでは、この2ヶ月半の間にどれだけチームの成熟度を高めることが出来たかを確認することもできる。状況判断力がものを言う大分のサッカーで、並居る強豪たちとの戦いを乗り越えていきたい。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
ルヴァンカップと両方にメンバー入りしている選手もいるので、コンディションの見極めが大事。
仙台は公式戦2連勝して自信を持ってやってくるだろう。プレシーズンにはトレーニングマッチもしているので手の内はわかるし、分析もしてくると思う。仙台は4連敗しているときにはメンバーも変えながら試行錯誤していた。われわれに対してアウェイでどういう90分の戦いのプランを持ってくるか。どういうシステムで来るかもわからない中で、どちらで来てもわれわれは相手の状況・変化を見て自分たちらしい戦いをできるようにしておきたい。
得点しなくては勝点3は取れないので、やはり得点したいが、仙台は昔からのチームカラーで、しっかりとした守備を構築してハードワークしてくるので簡単ではない。こじ開けるためにどうリスクを負うか、何が必要になってくるかをトライさせたい。相手はカウンター狙いでジャーメイン選手とハモン・ロペス選手を前線に並べているので、それも警戒しなくてはならない。
■DF 19 星雄次
仙台も3バックシステムでWBはマッチアップすることになると思うので、1対1の局面で負けないように頑張ることがいちばん。相手に引いて守られるとなかなか点が取れていないので、自分のところで状況に応じて仕掛けるなどして変化をつけていきたい。
前節は後半に押し込まれたが、守備の局面も多くなる中で寄せて奪うことができれば押し返すこともできると思うが、無理して入れ替わるとピンチになるので、我慢強く粘り強く対応していくことも求められる。
■DF 5 鈴木義宜
J1ではレベルの高い戦いが続いているが、やられるときはやられるし、止められるときは止められる。そのくらいの気持ちでいたほうがリラックスして次のプレーに集中できる。仙台は公式戦2連勝中で勢いに乗ってくるところがあるかと思うが、それでも自分たちのサッカーを90分間通してやれれば、ゲームの主導権を握れるはず。チャンスを作って決めきるところ、ピンチの回数を少なくしてそれをどれだけ防ぐかが大事になる。
6試合終えたが、勝点8を目標としている中で勝点12を取れて、勝点4を上積みできている。これからの残りの試合で心にも余裕が出てくる。でも、今後、勝点を取れないことが続く時期も来るかもしれないので、そういうときに自分たちのサッカーをどれだけできるかというところ。この6試合も出来ている時間と出来ていない時間があった。出来ている時間を多くすることが勝点を積むことにつながっていく。