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今節の見どころ

強敵・千葉とのフクアリでの対峙。強い気持ちで自らの戦いを全うせよ

 

連勝は5でストップしたが、チームは切り替えて次の試合への準備を続けた。21日に行われる明治安田J2第38節A千葉戦は、目標を達成するために負けられない一戦だ。

 

幸福なプレッシャーとの戦いが続く

 
決定力と試合運びの課題が出た前節・町田戦。前半は主導権を握って試合を進めたが、2-2で迎えた後半は相手の勢いに圧されるまま、すっかりペースを明け渡してしまった。勝たなくてはならないというプレッシャーのかかる大分と、今季はJ1ライセンスを持たずノープレッシャーの町田との差もあったかもしれない。
 
今節対戦する千葉は、すでに6位・横浜FCと勝点15離れて14位だが、チームとしての意地も見せたいところ。もとよりJ2屈指のハイポテンシャルなプレーヤーが顔を並べるチームだ。加えて独特の迫力を醸し出すフクアリでのアウェイ戦とあって、難しい試合になることは間違いない。相性の悪さなど持ち出すまでもなく、圧倒的な強敵と言える。
 
今季残すところ5試合にして大混戦の上位争いの渦中。それは幸福なプレッシャーとの戦いだ。一昨季のJ3優勝争いを経験した福森直也は、プロ3年目で初めてコンスタントにレギュラーとして試合に出続けたシーズンと現在を比べて「あの頃は目の前の一戦に集中することで精一杯だったが、いまは周囲のことを考えるようになって少し難しくなった」と、成長にともなうメンタルコントロールの変化を語る。「でも前節の町田戦でそれも吹っ切れた」とすっきりした表情だ。昨季加入して以来、大分の選手として初めてフクアリでの戦いに臨む守護神・高木駿は「あの雰囲気はホームチームの選手にとっても結構なプレッシャーだったけど」と苦笑いしつつ、「チームみんなでその雰囲気を楽しめれば」と統率を誓った。
 

まずは相手の形を見きわめて共有を

 
千葉は前々節・熊本戦と前節の山形戦で連勝中。試合ごとに多少の変化をつけながらハイライン・ハイプレスの独自のスタイルを貫いてここまで来た。大量得点や大量失点のゲームも多く、片野坂知宏監督も「勢いがつくと止められないチームで、どっちに転ぶかわからない。調子に乗らせると強さを発揮するし、こちらが上回ることができれば勝てるゲームができるのではないか」と試合展開を読む。
 
シーズン前半には3バックシステムを採用したこともあったが、折り返し以降は4-3-3と4-2-3-1、4-4-2を使い分けている。最近では指宿洋史が頂点に入る試合が多いが、ラリベイや船山貴之ら迫力あるFWが並ぶ。町田也真人や矢田旭らテクニックの高い攻撃陣も多く、もちろん為田大貴と清武功暉の実力も知ってのとおりだ。
 
船山のトップ下や茶島雄介の右SBなども、フアン・エスナイデル監督独特の、ちょっと意表を突く起用法。右SHで定着している町田も、以前まではセンターでプレーしているイメージが強かった。まずは熊谷アンドリューを軸とする中盤の形を見きわめ、ボールの動かし方をチームで共有したい。
 
今季の大分は昨季に比べ、対相手戦術における奇襲要素が少ない。それは戦術がより深く浸透し、チームとしての地力が養われてきた証拠ではないか。最後までその完成度を追求するべく、これまでの積み重ねを存分にピッチで表現したい。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
前節は上位対決で悔しい敗戦を喫し勝点を取ることができなかった。内容的には取らなくてはならないゲームでもあったと思うが、自分たちで招いた結果なのでしっかりと受け止め、残りの5試合に向けて教訓として生かしていくしかない。選手たちは切り替えてやっていると思う。
 
千葉はおそらく自分たちのスタイルでチャレンジしてくるだろう。守備はアグレッシブで、攻撃は個人のクオリティーも高く決めきれる選手が多い。簡単には勝てない、厳しい相手。前節の町田戦で出たのと同じ課題が今節も出る可能性があるので、同じようにならないようにチャレンジできるようにしたい。
 
■DF 6 福森直也
 
前節は勝ちたい思いが強すぎるあまり相手の勢いを受けてしまった。2-1の時間帯にもっとガツガツ行って3-1にしておくべきだったのに腰が引けてしまった。そういう部分もチームで合わせていく。今節もプレッシャーのかかる試合になるが、前節の反省を生かし、ゲームの展開や運び方を修正したい。
 
千葉もハイプレスハイラインのイメージ。まずはしっかりスペースを使って得点したい。相手が背後をケアしながら前から奪いにくるようなら逆サイドが空いてくるので、素早く判断してボールを動かせれば、今度は対応できると思う。千葉はクロスからの得点が多いので、簡単に自陣で背後を取られてフリーでクロスを上げさせないようにしたい。サイドを崩されたら中の対応が重要になってくるので、WBも含めてしっかりクロス対応し守りたい。
 
■MF 32 前田凌佑
 
前節は前半に得点機をものにできなかったことで相手に勢いを与えてしまい、後半はその勢いにのまれてしまった。相手のサッカーにハマってしまって自分たちのサッカーができなかった。まずはもっとボールを大事にして自分たちの形を作れればうまくいったと思うが、そこができなかった。気持ちの面で押されていたので、今日の練習でも球際で戦うことを意識して取り組んだ。
 
個人的にはプレッシャーは全然感じていない。残り5試合全部出場して楽しみたい。僕らよりサポーターのほうが楽しみにしていると思うので、その人たちを笑顔にできるように、もっといいプレーをみんなに見せたい。千葉はうまくて強い人が前線にいるし、中盤にも技術の高い選手がいる。それに対しても自分たちのサッカーをしっかり出せるようにしたい。混戦でここからは本当に負けられないので、まずは千葉戦で勝てるよう、決定機で決め守るべきところで守ってアウェイでも勝点3を取りたい。昨季のフクアリでの試合はベンチで見ていたが、向こうのサポーターが雰囲気を作る、いいスタジアム。チームで一緒に、あの雰囲気も楽しめたらと思っている。