TORITENトリテン

今節の見どころ

狙いたい3連勝。攻守にアグレッシブな山口に対し、狙いの形を出せるか

 

22日に行われる明治安田J2第34節A山口戦は、今季最後の西日本でのアウェイゲーム。多くのサポーターが応援に詰めかけると見られる中、チームはそのポテンシャルを存分に発揮して戦えるか。

 

12戦白星なしの山口は勝利に飢えている

 
今週はDコートが芝の養生に入ったため、Bコートとサブグラウンドでのトレーニング。強い陽射しや雨に見舞われたが、チームは明確な狙いをもって練習メニューに取り組んだ。
 
山口とは天皇杯を含め今季3度目の対戦。リーグ前半は両軍とも好調で、第15節の大銀ドームでの戦いは首位攻防戦として注目された。点を取り合った末に2-2のドローで終わったが、互いの特長を出し合い攻め合う白熱の好ゲームとなった。こちらはターンオーバー、相手はリーグ戦の主力を多く出場させて対峙した天皇杯2回戦では、戦術浸透度や個々の力量差といった課題を突きつけられ、1-2で敗れた。
 
その後、互いにメンバーやシステムを変えながら、同じような時期に勝点を積むペースを落とし、順位を下げた。大分は3連敗を含む5試合勝ちなし状態を乗り越えて復調しつつ、現在暫定3位。山口は12戦勝ちなしで暫定12位となっている。丁寧に勝点を積み上げ、少しでも上位を狙いたい大分と、勝利に飢えている山口。いずれも譲れない一戦だ。
 

前回対戦とはメンバーもシステムも異なる

 
4-3-3システムをベースに試合途中で変化させたり、天皇杯では3-5-2を採用したりしてきた山口だが、失点の多さを解消するためか、最近はダブルボランチの前にトップ下を置く中盤の形でスタートしている。これにより守備は安定したが、自慢の攻撃力がやや影をひそめた嫌いもあり、霜田正浩監督としてもなかなか悩ましそうだ。
 
なにより7月にG大阪へと移籍した小野瀬康介の穴を埋めることができていない。夏の移籍期間には攻撃陣では高井和馬とジュリーニョを獲得し、積極的に起用しているが、彼らを生かすチームとしての戦い方にはまだたどり着いていない印象だ。守備陣もワシントンとへナンを獲得したが、2人をCBに並べた第30節・大宮戦と第31節・千葉戦はともに4失点。狙いは読めるが、といった段階で、まだ試行錯誤しているように見える。さらに三幸秀稔とともに優れたゲームメーカーぶりで貢献していた池上丈二が負傷離脱したことも、少なからぬ痛手だろう。
 
だが、攻守にアグレッシブなスタイルは変わらず、前回対戦同様、速く激しい球際へのプレスは最も警戒しなくてはならない。視野を狭められ、ときにはミスを誘われてショートカウンターの餌食になる危険性がある。山口の前線にはオナイウ阿道、岸田和人、高木大輔と実績豊富な攻撃陣が並んでおり、一瞬の隙を突かれゴールを奪われないよう気をつけたい。
 
大分としては相手のプレスに落ち着いて対応すること、スペースを使いながら柔軟に攻めることがポイントとなる。ピッチ全域での細やかな駆け引きは今節も見ごたえのあるものとなるだろう。今季山口からの初の白星を勝ち取りたい。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
今節は前節とはまた違った展開が予想されるので、今節に向けての1週間のトレーニングで選手たちに意識付けした。いまは山口も勝てておらず、もしかしたらメンバーややり方を変えてくる可能性もあるが、基本的には自分たちのスタイルを貫くチームだと思う。攻撃力がありハードワークしてくる。決定力もあるので、一瞬のところで後手に回るとやられてしまう。こちらもしっかりと狙いを合わせて戦えるかどうかが大事。
 
山口は攻撃的な守備、攻撃するための守備をしてくるので、それに対して受けに回らないようにしなくてはならない。これまでやってきたことを状況判断しながら一体感を持って遂行することが大事になる。これまでどおり我慢強く戦うが、1得点でも多く取らなくては勝点3にはつながらない。選手にもこだわらせながら、勝点を積み上げるようにしたい。
 
■DF 6 福森直也
 
山口はアグレッシブに前からボールを奪いにくるスタイル。そういう相手に対してはしっかりボールを動かして攻めたい。チャンスをしっかりものにできれば得点もできると思うが、守備では相手も三幸選手のような上手い選手や能力の高いオナイウ選手、高木選手らがいるので、個々の対応はしっかり引き締めなくてはならない。
 
攻撃に関しては最近は右サイドのアグレッシブさが目立っているが、いい意味で刺激しあって、こちらも右くらい警戒される左サイドでありたい。個人的にまだJ2で得点していないので、セットプレーも狙っていく。最近プレーが安定したと言ってもらえるのはいいのだが、もっと自分の特長を出していければと思う。残り9試合、泥臭くてもいいから勝利が大事。得点やアシストといった結果を出してチームに貢献したい。
 
■DF 19 星雄次
 
前節は得点できたがちょっとラッキーな部分もあったので、次はラッキーでなくても得点したい。山口のサッカーはアグレッシブ。前からプレスをかけてくると思うが、自分たちがこれまでやってきたことを出せれば剥がせると思う。山口は前回対戦とはメンバーが変わっていて、また違った強さがあると思うので気をつけたい。まずは自分たちのサッカーで相手を上回るようハードワークする。
 
残り試合が少なくなってきて、順位や勝点も気にならないではないが、まずは勝たなくては順位も上がらない。目の前の試合で勝てるようにしっかり準備して臨みたい。古巣戦で昨季一緒にプレーした選手と対戦するのが楽しみ。維新は好きなスタジアムで、声もよく通る。昨季山口での大分戦はトリサポがゴール裏を埋め尽くしていたのが衝撃的だったが、今季はあのサポーターが味方として後押ししてくれるので心強い。