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今節の見どころ

降格圏でもブレずに戦う難敵・熊本に対し、積み上げてきた地力を発揮できるか

 

前節・福岡戦に続き明治安田J2第32節も熊本との九州ダービー。下位に沈んでこそいるがコンセプトを貫きながら細やかに仕掛けてくる難敵との戦いだ。

 

得点機は意地の見せどころ

 
今節に向けて、チームは今週、攻撃のクオリティーを高めるためのトレーニングを重点的にこなした。ここ3試合無得点、2連敗。とはいえ、どの試合も狙いの形でゴールまで迫ることはできている。相手の好守に阻まれたりわずかに精度を欠いたりして得点できていない。
 
前節は劣勢だった前半から修正を施し、後半は主導権を握ってチャンスを多く構築したが、結局得点できず、アディショナルタイムにカウンターから相手の外国籍選手に個人技でゴールを割られ惜敗した。試合後には「好勝負を分けたのは選手のクオリティーの差」との見立ても多かったが、こちらにもプレーヤーとしてのプライドがある。そう言われるまま引き下がるわけにはいかない。
 
そういう意味でも今節は意地の見せどころだ。結果を出せる選手であるところを、存分に見せつけてもらいたい。
 

熊本は安柄俊が出場停止

 
熊本は現在、7勝5分19敗で21位に沈んでいる。千葉に次いで58点と失点数が多く、-20の得失点差が足を引っ張っている状態だ。
 
ただ、今季から指揮をとっている渋谷洋樹監督は、結果がついてこなくともブレることなく目指すスタイルを貫いており、相手のウィークポイントを押さえた戦い方も得意な嫌らしいチームを育てている。相手によって3-5-2と3-4-2-1のシステムを使い分けており、ゲーム中にも細やかに変化して、対戦相手にとっては厄介だ。
 
今節はFW安柄俊が出場停止。ここまで9得点のストライカー不在は攻撃力に影響しそうだが、トップスコアラーの皆川佑介や、前節はメンバーを外れていた巻誠一郎らも控えており、高さと力強さは十分にまかなえる。
 
熊本の攻撃を支えているのは左右WBを務める田中達也だ。スピードに長け、好守に勢いをもたらす。ここ最近は左WBでスタートすることが多いが、今節もそうなればこちらもスピードスター・松本怜とのマッチアップ。見応えのある駆け引きが繰り広げられそうだ。ちなみに逆サイドWBに入るのは黒木晃平である可能性が高い。
 
熊本の守備がアグレッシブに奪いに来るかスペースを消してくるかは蓋を開けてみなくてはわからないが、最近はいずれの相手でも崩すことができている。こちらもこれまでに積み上げてきたものをフル活用しながら臨機応変に変化しつつ、チームの地力を発揮して勝利を手にしたい。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
熊本もどういうふうに来るかわからないが、いろんな準備をして臨みたい。得点を取らないと勝てないので、得点できるようチャンスの数を増やせるよう、選手たちには粘り強く突き詰めてもらいたい。攻撃練習では細かいところを意識させるようにした。フィニッシュに関しては特効薬はないので、自分たちの狙いの中で判断させながら積み上げていく。
 
熊本がいろんなことを仕掛けてくる中で、チームとして意思統一して戦うことが大事。熊本は順位や失点数はあまり関係なく、いま勝点3にこだわる戦い方で、内容的にもいいゲームをしている。下位だから簡単に勝てるという展開にはならない。勝点3を得るために、焦れずに粘り強く戦い続ける。
 
■FW 18 伊佐耕平
 
最近は先発出場が続いているが、楽しくプレーできている。個人的にシュートを打つとリズムが出るので打っていきたい。練習でもシステムをいろいろと変えているが、相手によって使い分けている。ここのところ得点できない試合が続いているが、誰が打とうとシュートまではいけているので大丈夫。ゴール前ではきれいに崩すだけでなく、少し強引に勝負する意識を持ってもいいと思う。前節も課題は最後の部分だけ。シュートを打つ人だけの問題ではない。
 
前々節、前節と連敗したが、あと11試合で勢いに乗ったチームが上位に行ける。ここからのシーズンの終わらせ方が大事。ここから連勝できれば上に行けるので、ネガティブには考えていない。大卒ルーキーで加入して以来、大分でプレーでしているが、シーズン終盤に毎年ちょっと落ちる時期がある。毎年そこから上がっていくチームが強い。プレーオフにしても自動昇格にしても、上げ方が大事になる。
 
■MF 7 松本怜
 
(田中達也選手とマッチアップする可能性が高いが?)彼はいちばん結果を出しているし、いちばんの熊本のストロングポイント。抑えなくてはならないし、攻撃で先手を取ることでも封じたい。熊本はパスも回すし安易に飛び込めば背後を突かれるしと、難しさもある相手だが、しっかり意思疎通して対応したい。
 
相手は降格圏だがブレずにやっているし、こちらは上位にいるが連敗中という状況。ただ、残り11試合はもう相手ではなくこちらの問題。チームとして臨機応変に戦う力がついて相手を崩せてはいるので、あとは本当に最後に決め切る力のところ。個々の調子も関係してくるだろうが、狙いにいく姿勢で攻め続ければ、そこでつかめるものもあると思う。