TORITENトリテン

今節の見どころ

3連勝で味スタへ。引き出しの多い東京Vに臨機応変に対応できるか

 

18日、チームはアウェイで明治安田J2第29節・東京V戦に臨む。戦術家・ロティーナ監督率いるタレント揃いのチームに対し、判断よく戦えるかが問われる。

 

3-5-2のさらなる可能性を見出せるか

 
15日にキャプテン・竹内彬の讃岐への期限付き移籍が発表された。チームは大きな精神的支柱を欠くことになったが、そこは大人の集団。互いの活躍を誓いながら、目の前の試合に向けて準備を重ねた。
 
フォーメーションを3-5-2に変えて以来、3試合10得点1失点で3連勝中と結果が出ている。選手同士の距離感がよくなり、どのポジションでも互いにサポートやカバーをしあいながら攻守に連動できていることが、好結果につながっていると思われる。関わりが増したぶんプレーの選択肢も増え、崩しのバリエーションも多くなった。これは相手との駆け引きに実に有利に運ぶ。
 
結果が出ている反面、またもメンバーが固定気味になっていることは懸念材料だ。選手のコンディションも考慮し、今週はこのシステムで異なる戦力の組み合わせも試された。非公開の紅白戦後、片野坂知宏監督の表情は冴えなかったが、ここを乗り越えなくてはシーズン終盤まで乗り切るのは難しい。まずは東京V戦にどのように臨むのかが楽しみなところだ。
 

戦術的引き出しの多い東京V

 
現在、東京Vは12勝9分7敗で暫定6位。第11節から4連敗で6戦勝ちなしと苦しんだ時期もあったが、第18節からは4連勝。その後2連敗をはさんで第23節からは5戦無敗。ただ、前節は山形に2-1で敗れ、連勝は3でストップしている。
 
14日には、第15節を除くリーグ戦全試合に先発出場してきた畠中槙之輔の横浜FMへの移籍が発表された。4-3-3の中盤で安定的に出場を重ねていた渡辺皓太はU-21代表メンバーとしてアジア大会に参戦中で、今節はここまでの主力2人を欠くことになる。
 
この2人の穴を単純に別の選手で埋めるだけなのか、あるいはその影響がもっと大きな戦術的変化をもたらすのか。戦術家のロティーナ監督は、システムで言えば4-3-3と3-5-2を使い分けながら、戦況によって3-4-2-1や4-4-2を織り交ぜてくる。チームはアグレッシブな守備を強みとしているが、前節の山形戦のようにブロックを構えることもある。
 
戦術的な引き出しが多い上にタレント揃いの東京Vに対しては、とにかく相手の変化を見ながら共通意識をもって戦っていくしかない。勢いと技術の高い相手中盤との主導権争いや、アラン・ピニェイロとドウグラス・ヴィエイラら強力な攻撃陣への対応がポイントになりそうだ。
 
かつてのチームメイト・上福元直人が守るゴールをこじ開けようと士気を高めるメンバーも多い。岩田智輝は自身のJ2初ゴールを狙っており、「カミくんから取る運命だと思っている」とまで豪語。大学時代からライバルだった高木駿も「お互いに相手よりいいプレーをしようと思っている」と闘志をのぞかせた。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
攻撃ではつねに相手の出方を見て状況判断し、狙いを合わせてプレーすることが大事。相手のシステムが予想しづらく、われわれに対してもいろんなことが想定される。少なくともCB1枚と渡辺くんのところはメンバーが変わるので、どういうメンバーでどういうやり方になるか。こちらもいろんな準備をしておかなくてはならない。
 
ロティーナ監督は戦況を読める人。戦略家で、われわれに対しても怠らず準備してくるだろうし、HTで人を替えて修正するなど、つねに変化してくる。いろんなシステム、いろんなやり方ができるので、こちらも相手の変化に対応した戦いをしないと後手に回ったりうまくいかなかったりすると思う。頭を使わなくてはならない。
 
■GK 31 高木駿
 
大学時代からライバルだったカミ(上福元直人)には負けたくない。絶対にお互い意識していて、相手よりいいプレーをしようと思っているはず。前回対戦は0-0で決着がつかなかったが、どちらもGKからボールをつなぎながら攻める、似たような特長を持つチーム。向こうがいいプレーをしたら負けじとこちらもという気持ちになる。カミのほうがこちらの選手をたくさん知っているぶん、プレッシャーが大きいのではないか。みんなカミから点を取る気満々でいる。カミにドヤ顔をさせたくない。
 
東京Vの外国籍選手はクオリティーが高いし、簡単には止められないので、守備陣全員でコミュニケーションを取ってうまく抑えたい。中盤には元気な選手がたくさんいて、攻守にわたって走ってくる。相手もメンバーやポジションが変わっている可能性があるので気をつけなくてはならない。
 
■DF 29 岩田智輝
 
自分の中では調子は悪くないつもりだが、試合に出て初めて見えてくる課題もあり、いいことだと思っている。今季はみんなが戦術理解の下に共通理解できているのでサポートも早いし、パスの出しどころもたくさんあって困らない。自分も理解できていると思うが、細かいところはまだまだ突き詰めたい。片さんのサッカーをやっていれば勝てるという自信がある。そこも強みだと思う。
 
外国籍選手に対してビビることはない。フィジカルの差はあるが負けずに自信をもって戦いたい。でもやはり個人より組織で守ったほうが強いので、チャレンジアンドカバーを徹底したい。ノリくん(鈴木義宜)が前に出て潰してくれるのでラインも下がりすぎずにいられる。
 
いまは引いて守る相手にも崩せるイメージがある。相手守護神がカミくん(上福元直人)なので、カミくんから点を取りたい。僕のJ2初ゴールはカミくんからいただきます、と言いたい。そういう運命だと思っている(笑)。チャンスがあれば得点に絡みたい。相手は畠中選手が移籍し渡辺選手が代表で抜けているが、戦力的には落ちないので警戒したい。