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今節の見どころ

過酷な夏の3連戦突入。まずはホームで堅守の栃木をこじ開けたい

 

片野坂体制初の3連敗は、それだけ相手に研究されてきた証拠とも言える。それを何度でも上回るべく、チームはさらなるブラッシュアップ中。今節、連勝中の栃木の堅守をこじ開けることができるか。

 

何度でも相手を上回るために

 
開幕以来コツコツと勝点を積み上げてきたが、ここに来て3戦足踏み中。負傷者が続出するなどしてベストメンバーを組むのが難しい状況に片野坂知宏監督も悩ましげだが、状態が万全とは言えない中でも、チームは勝利のために地道なトレーニングを重ねている。
 
灼熱の陽射しに照りつけられた今週のグラウンドでは、ポジショニングやボールの動かし方など、これまで以上に細やかな戦術確認が徹底された。特徴的なスタイルゆえに相手にとっては研究のしがいがあり、研究されればさらにそれを上回るべく戦術に磨きをかけていかなくてはならない。昨季も夏場に一度足踏み状態が訪れたが、そこから細かいオプションを増やし、それを臨機応変に使い分ける力を体得しながら、シーズン終盤まで粘り強く戦い続けた。
 
今季は昨季以上にリーグ全体のレベルが上がっており、また各クラブの戦術も加速度的に細かく高度になっている。現在の混戦状態を見ても、どのチームにとっても容易いリーグでないことが見て取れるはずだ。
 
片野坂監督の下で3シーズン目を迎えた松本怜は、シーズン中に一度は陥るこの足踏み状態を乗り越えるために必要なことを問われ、「監督を信じ、チームが一丸となって戦術を遂行すること」と答えた。試合に出ている/出ていないの別なく、温度差なく全員がファイティングポーズを取り続けることが大事だ。3連敗という難しい状況からずるずると落ちていくのか、踏みとどまって再び上を目指すのか。この3連戦で、チームの底力が試されている。
 

ウノゼロ勝負が得意な栃木をどう攻略するか

 
開幕戦にアウェイで対戦したときには4-2で勝利した栃木だが、現在は組織の成熟度も上がり、当時とはまったく別のチームになっている。
 
第8節から6戦負けなしと波に乗った感もあったが、第13節からは9戦勝ちなしで第16節からは6連敗。試行錯誤していた様子だったが、ここに来て5枚のブロックで守備を固める戦術を徹底することにより、町田、山形という難しい相手に連勝を遂げた。今節は今季初の3連勝を目指して意気込んでくるはずだ。
 
徹底してスペースを消し、寄せる球際では激しい栃木の堅守をこじ開けるのは簡単ではない。ここ最近の試合を見れば、負けるときもほとんどが1点差。リーグ屈指の攻撃力を誇る東京Vが3得点、甲府と水戸と金沢が2得点したのみだ。逆に栃木はセットプレーや少ないチャンスでの得点でウノゼロの勝利を得意としている。それを決めきれる選手がいることも警戒ポイントと言えるだろう。
 
今節の栃木は西河翔吾が累積警告により出場停止だが、これまでにも西河を起用せずに戦った試合も多く、それほど影響はないものと見られる。大分はエース・後藤優介が負傷から復帰するかどうか、長期離脱となった刀根亮輔の穴を誰が埋めることになるのかなど気になる点が多い。指揮官以下コーチ陣の選択と選手たちの奮起に期待したい。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
今節は準備期間が1日短いが、栃木戦に向けて狙いを合わせてやることが大事。ゲーム形式の練習では組み合わせと攻撃のアイデアで刺激を入れた。試合前日まで突き詰めていきたい。選手たちのコンディションもそうだが、共有して戦えるようにそれぞれの戦術理解度も見極めが必要になる。
 
栃木とは開幕戦で当たったが、いまは全く違うチームになっている。守備が堅いのでマッチアップした中でどうやってこじ開けて点を取るか。栃木がどう出てくるかはわからないが、自分たちも変化して狙っていかないと、ガチンコでやって簡単に点の取れる相手ではないと思う。チームで狙いを合わせて攻略していきたい。
 
栃木はサッカーがシンプルで徹底していて勝負強い。セットプレー、ロングスローで押し込むはっきりした戦いがあるので、同じ土俵に乗らずに自分たちの土俵に引き込んで上回りたいが、そんなにうまく運べる相手ではない。点を取らないと勝点3は取れない。2点くらい取れる攻撃をしたいが、我慢強くバランスを崩さずにメリハリつけて一体感をもって戦いたい。
 
■DF 6 福森直也
 
復帰戦となった前節は怪我の状態や長期離脱による体力や試合勘など不安な部分があったので特に立ち上がりは集中しようと思っていたのだが、自分のクリアミスをカットされて失点につながってしまった。判断ミスではなく足元のミスとはいえ、試合の入りについては片さんからも言われていたし、やられたのはあの1本だけだったので、もったいないゲームだったと反省している。ただ、思ったよりはボールタッチの感覚も悪くなく、プレッシャーの中でも前を向いて配球できたので、思っていたよりは悪くなかった。
 
これまでは構えられるとなかなか崩せない攻撃をしていたが、前節は新しい崩しのパターンも増えて、引いた相手に対して今までよりもやれるのではないかという手応えもある。栃木は開幕戦で戦ったときよりも数段堅いチームになっている。どう来るかはわからないが、いま自分たちがやろうとしているサッカーを貫けば上回れると思う。
 
■DF 3 那須川将大
 
前節はひさびさの先発で結果を出したかったが、運動量の部分でもっとやらなくてはならないと感じた。攻撃に切り替わったときの走りでも上回らないと数的優位が作れない。いつ走るのかなども突き詰めていきたい。本当はもっとサイドを変えて動かしながら前進したかったのだが、前半は相手のプレスにハメられ、無理な体勢や時間がない状況で縦パスを入れることが多くなって、相手に奪われ速く攻め返されてしまった。後半は距離感やパスコースを作る動きが少しよくなってボールを動かし、相手がずれたのでクロスを入れることができた。
 
栃木は大黒さんが仕留めてくるので警戒しなくてはならない。大黒さんとは東京V時代に1年だけ一緒にやって特徴を知っている。「攻撃のときはまず俺を見ろ」と徹底して言う人だったので、栃木の選手も奪ったらまず相手にとっていちばん怖い大黒さんを見ていると思う。大黒さんも怖いところに走ってくるので、そこは頭に入れておきたい。
 

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