このタイミングでのアルウィン。雰囲気にのまれず、アグレッシブさを奪還せよ
チームは16日、明治安田J2第19節A松本戦に臨む。今節からナイトゲーム。夜のアルウィンで戦うのはクラブ史上初だ。雰囲気にのまれずに戦い、自信を取り戻したい。
どうなるボランチの人選
天皇杯2回戦・山口戦に続きリーグ前節の愛媛戦にも敗れ、公式戦2連敗中。外から見た感じ、大敗した第16節の甲府戦以後、チームはその戦い方にやや積極性を欠いているような印象を受ける。
それは片野坂知宏監督や戦っている選手たちも感じていたようだ。愛媛戦後のミーティングでは、主に守備の積極性について修正したいという声が多く上がったという。愛媛戦では失点したくない相手の慎重な戦い方につきあってしまったが、本来はもっと高い位置から奪いに行くアグレッシブさが、このチームの信条とするところだ。
今週は中3日の準備期間。ゲーム形式のメニューで、愛媛戦のフィードバックをピッチでも確認するとともに、戦力の組み合わせもいくつかのパターンを試した。
今節は、ここまでコンスタントに出場を重ねてきた宮阪政樹が、期限付き移籍元との契約の関係で出場できない。代わりにボランチをどういう組み合わせにするかが注目される。また、前節までコンディション不良で離脱していたメンバーたちが、今節はどの程度まで実戦に復帰できるかも、様子を見ながら進められた。
タレント揃いの前線の組み合わせは
松本は現在、8勝7分3敗で5位。シーズンの立ち上がりはエンジンがかかるのが遅く、22チーム中最後まで白星がなかったくらいだったが、第7節で大宮に3-2で勝利すると、その後は順調に勝ち点を積み上げてきた。第14節で金沢に5-0と大勝して以後、4勝1分と好調だ。
なにより、ホーム・アルウィンでは負けなしの強さ。そう思えばシーズン立ち上がりに負けが込んだのも、寒冷地ならではのアウェイ連戦の影響だとしか思えない。
開幕から2試合は3-5-2だったが、その後は3-4-2-1スタート。反町康治監督の築いてきたスタイルが、細部のニュアンスは変えながら定着している。前線にタレントが多く、大分でも2015年に数ヶ月間プレーした永井龍や、前節はメンバー外だったが今節は復帰してきそうな高崎寛之、直輝と大然の前田コンビ、中美慶哉とタイプも多彩だ。セルジーニョは負傷離脱中なのか、ここ2節はメンバー外となっているが、反町監督が大分に対してどういう組み合わせを選ぶかが注目される。
最終ラインに負傷者が出ており、安川有との対戦は残念ながら可能性が薄そう。DFリーダー橋内優也の姿も見えず、前節はボランチを本職とする岩間雄大が3CBの真ん中を務めていた。ボランチは藤田息吹とパウリーニョのコンビが定番となっている。
まずは順位よりも“らしさ”の奪還を
好調の強豪・松本とのアルウィンの対戦となれば、ゲームとしての難易度はノーマルに高い。アウェイであることを考えれば勝ち点1でもしたたかに取って帰りたいというのが、客観的な見方かもしれない。
だが、松本に勝利するという以前に、いまこのチームが成し遂げなくてはならないのは、まずは自分たち本来の戦う力を取り戻すことだ。馬場賢治は「上位にい続けるとつい、負けたくない気持ちから悪い意味で守りに入ってしまうことがある。いまうちはその状態なのかもしれない」と分析した。甲府戦の大敗後、割り切るところは割り切ろうと話したことが安パイな選択肢へと流れ、スタイルの表現も中途半端に終始して何も得るものがないような戦いになっている。
このタイミングでの、アルウィンでの一戦だ。アグレッシブに戦えるかどうかは今後の戦いをも左右してくるので、勇気をもってトライしたい。
とは言っても、ビルドアップ時の相手のハイプレスにはくれぐれも注意。なんせ前田大然は水戸でプレーしていた昨季の対戦で、初めて“勉強代”を献上した選手だ。
勝ち点3差で得失点で並ぶ相手は、順位逆転を狙って勝ちに来る。こちらは目の前の一戦に、自分たちらしさの奪還をテーマとして臨みたい。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
前節の敗戦からは切り替えが出来ていて、ゲームも気合が入っていた。公式戦で連敗しているので、選手たちも危機感を持ってやってくれていると思う。
——甲府戦後、少し積極性を欠く印象を受けるのだが。
ああいう大敗をすると簡単に立ち直るのは難しい部分もあると思う。その中でも熊本に対してチャレンジし、結果が出たのは良かったが、そのあとなかなか上手くいかない。松本に対して良いゲームをして、結果ももちろんだが、どれくらい自分たちの戦いが出来るかが大事。攻守で意思を合わせ、どれだけ相手を上回れるか。迫力あるプレーに対してこちらも負けずに戦わなくてはならない。
アルウィンはお客さんがたくさん入って完全アウェイな独特の雰囲気。松本も上位浮上のため勝利を目指して来る。雰囲気にのまれないよう良い準備をしていく。アウェイの厳しい雰囲気の中で松本のような強いチームに対しても自分たちの戦いにトライし、90分の中でどれくらい出来るか。後半戦に向けても大事な一戦になる。
■MF 7 松本怜
今節からナイトゲームになるので涼しくて助かる。アルウィンでは昨季ゴールを決めたので個人的に良いイメージがある。相手も調子が良いが、こちらも今のところ連敗がないのでこの順位。敗戦から切り替える力は持っている。
うちのサッカーはこれからも研究されてくる。そこでワンランク上に行くためにチャレンジしなくてはならない。ここ数試合の研究されてる感はすごいので、ここでもう一段階レベルを高める正念場だと思う。今節はバズ(宮阪政樹)が出場できないが、また違う選手が入ることによって新しい戦い方が出来るとともに、良い競争が生まれれば収穫。
■GK 31 高木駿
結果にも出ているように天皇杯や愛媛に負けたりして、上手く勝ちを拾っていた時期から一段落した。シーズン中にはこういう時期が必ずある。まだ夏前だが、みんなの動きが重くなったりしてミスも増え、メンタル的なものも影響してさらにボールの動きが遅くなったりする。そういうものも含めてチームの流れが出来ていく中で、ネガティブな要素を払拭するには勝利しかない。まずは自分たちの生命線であるボール回しをテンポ良くやらないと、自分たちの勢いや流れを取り戻すことは難しい。最近ボールの流れがあまり良くないので、スムーズにスピードアップできればまた良くなると思う。
今節は(宮阪)政樹が出場できずメンバーが変わる。新しい選手が入ることでテンポが変わったりもするのでそのへんも期待したい。
松本もプレッシャーに来ると思うので、スピードを上げていかなくてはならない。前田選手の迫力は外から見ていても伝わってくる。GKにも寄せてくると思うので、全員が良いポジションを取って、楽しむくらいのつもりでやりたい。奥までプレッシャーに来てくれたらひっくり返すチャンスでもある。