勝利に飢えた相手の勢いに飲まれるなかれ。落ち着いて自分たちの戦いを
チームは10日、ニンジニアスタジアムで明治安田J2第18節の愛媛戦に臨む。6日の天皇杯2回戦・山口戦と中3日での連戦になるメンバーもいる中で、どれだけのパフォーマンスを発揮できるか。
愛媛は新体制での初勝利を狙ってくる
天皇杯2回戦・山口戦からの連戦となるメンバーの疲労も考慮して、8日のトレーニングはいつもとは異なるメニューで行われた。一部メンバーが入れ替えになる可能性が高く、紅白戦(非公開)でいくつかの組み合わせを試したようだ。練習後、片野坂知宏監督は連係面について「悪くなかった」と評価した。
愛媛は現在、2勝5分10敗の21位。最下位・22位の讃岐とは勝ち点で並び、得失点3差でわずかに上回っている。20位の京都との勝ち点差は4だ。降格圏脱出のためにはひとつひとつ勝っていくしかない。
5月15日には間瀬秀一監督を解任し、その後任としてU-18を指導していた川井健太監督が引き継いだ。レディース監督の経験もある。初陣となった第15節の京都戦に1-2で敗れ、第16節・東京V戦はスコアレスドロー、第17節・町田戦は1-2と、まだ新体制での白星はない。さらに今季はホーム未勝利で、チームもサポーターも勝利に飢えている状態だ。今節、首位の大分をホームに迎えるにあたり、必死で勝ちに来ることは間違いない。
受けに回らず落ち着いて試合を運べるか
川井監督にバトンタッチしてからの愛媛は、システムは変わらず3-4-2-1のままだが、縦に速い間瀬監督のサッカーから変化して、ポゼッション率を高めている。片野坂監督は「攻守にわたり整理されていて、攻撃はしっかりつないだ中でトライする。守備は一体感を持って連動している。チームとしてオーガナイズされているのが感じられる」と分析。「難しいゲームになる」と覚悟の弁を述べた。
今季の愛媛の守備の要であった安藤淳が負傷離脱したのに続き、林堂眞も欠場中。復帰がいつになるかはわからないことに加え、新監督に代わって間もないことで余計に、西岡大輝、前野貴徳、山崎浩介、池田樹雷人、玉林睦実らの中から最終ラインがどういう組み合わせになるかが読みづらい。
1トップには西田剛や有田光希らが入ると見られ、シャドーでは“古巣キラー”で特に大分戦では燃えまくる河原和寿が虎視眈々とゴールを狙う。近藤貴司とのコンビはこなれているが、前節の町田戦では左WBに入った丹羽詩温も、前線からワイドまでのどこで絡んでくるかわからない。スピードに長け、警戒が必要な選手だ。他にも力量の高い戦力が揃っており、何かがハマれば不調から抜け出して本来のポテンシャルを発揮しそうなので油断ならない。
大分としては、アグレッシブに奪いにくる相手を落ち着いていなしながらいつもどおり戦えるかがカギとなる。勝利に飢えて死に物狂いの相手の勢いにのまれることなく、積み上げてきたものをきちんと表現することが、勝利へのいちばん確実な道筋だ。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
天皇杯を90分戦った選手は、個々によってはまだ若干疲労が残っていたようだが、よくトレーニングしてくれた。
愛媛は特にホームで勝っていないので、勝ち点3を取りに必死でチャレンジし、ひたむきに最後まで戦ってくると思う。難しいゲームになることを覚悟しなくてはならない。愛媛は監督が替わって攻守にわたり整理されている。攻撃はしっかりつないだ中でトライする。守備は一体感を持って連動している。チームとしてオーガナイズされているのが感じられる。
甲府、熊本に続いて今節もミラーゲームが予想される中で、練習や公式戦で積み上げてきたことを意思統一してやることが大事。われわれも愛媛同様、チームとして最後まで粘り強く貫き、愛媛に対しての狙いを合わせて勝ち点を積み上げたい。愛媛の前線にも特長のある選手が多いので、選手にインフォメーションしてしっかり管理し、後手に回らないようにしたい。
■DF 5 鈴木義宜
相手も勝てていない状況で死に物狂いでやってくると思うが、受け身にならずに自分たちのサッカーで向き合いたい。前から来る相手に対してボールを上手く回して背後を突けるかどうかがポイント。守備では毎回、クロス対応がカギになるので連係して対応したい。
シーズンの半分近くが終わるが、出来ている部分と出来ていない部分がある。それをみんなで意識してブレずにやることが大事。いま首位にいるが、周囲のことはまだ気にならない。42節終わった時点でもこの位置にいたい。崩しや両ゴール前での質を上げ、失点を減らしてもっと勝つ試合を増やしていく。
■FW 9 後藤優介
愛媛は思い切って来ると思うので、そこで自分たちがどれだけ落ち着いてプレーできるか。相手の勢いを自分たちの良い形に持っていけるよう意識できればボールも回せるし相手の嫌なところを突いていけると思う。愛媛は監督交代してから勝っていないが、そういうところは気にせずに戦いたい。
前線のコンビネーションは悪くない。あとはどれだけ自信を持ってやれるかというところ。3人目の関わりなどもっとアイデアを出し、ミスを減らすようクオリティーを高めてシュートチャンスを増やしたい。天皇杯の山口戦は、三幸選手が引いて受けて組み立てるところにあまりプレッシャーをかけることが出来ていなかった。もっと後ろも押し上げられるように、前線3人の追い方は大事になってくる。カウンターも生きてくると思う。