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今節の見どころ

3連勝中の甲府とのミラーゲーム。先手を取って相手を動かしたい

 

26日の明治安田J2第16節、チームは山梨中銀スタジアムで甲府と対戦する。今季J1から降格してきた相手は出足は鈍かったものの、監督交代も経て3連勝中と上り調子。1年でのJ1復帰に向けてギアを上げている。

 

今節は正攻法でのミラーゲームか

 
前節の山口戦は、互いの攻撃的なスタイルをぶつけ合い、2-2で勝ち点1を分け合った。激しくプレスをかけられる中でプレー精度を欠いたり的確な判断を誤ったりと課題も出たが、目指しているスタイルの完成度を測れる試合にもなった。
 
土曜開催の今節は、準備期間が1日短いアウェイ戦。雨が降ったかと思えば翌日は強い陽射しが照りつけるなど、コンディション調整にはやや気を遣う環境となった。
 
フォーメーションをどうするかでギリギリまで悩んだ前節、前々節とは異なり、今節の片野坂知宏監督は「ミラーゲームになるんじゃないですかね」ときっぱり。選手起用についてはいつもどおりギリギリまで悩みそうだが、今節は真っ向勝負で挑みそうだ。
 

上野監督就任で上向きの甲府

 
今季J1から降格してきた甲府は、現在5勝6分4敗で暫定8位。前節の岡山対東京Vが落雷で中断され結果を再開試合に持ち越されたため暫定順位となっている。
 
6シーズンぶりのJ2で開幕以来なかなか波に乗れずにいたが、11戦終了後に2勝5分4敗で16位という戦績を鑑み、吉田達磨監督を解任。後任には、昨年5月まで山口を率い、アグレッシブな攻撃的スタイルを構築した上野展裕新監督が就き、第12節から指揮を取って、3勝1分と一気にチームを上向かせた。ただ、上野監督が甲府でどのようなサッカーを展開していくのか、その輪郭はまだ明確には見えてこない。
 
システムは3-4-2-1。守備の意識が高く引いて守るところはしっかり引いてスペースを消す。一人一人のフィジカルが強くハードワークするチームという印象だ。特にミラーゲームでマッチアップする両ウイングバックは、右の湯沢聖人も左の松橋優も、パワーとスピードを武器とする。そういう相手に対し、チームコンセプトを表現する形でボールを動かしてゴールに迫ることが出来るかが、今節の課題となりそうだ。ちなみに07〜08年に大分でプレーした松橋は、マッチアップする松本怜の早稲田大の先輩でもある。ついでに大分ゆかりと言えば守護神の河田晃兵も、大分市生まれで大分鶴崎高校OBだ。
 
8得点を挙げている甲府のチーム得点王ジュニオール・バホスは負傷離脱中だが、代わりに1トップで出場している金園英学も好調で、積極的に組み立てに参加しては得点を狙っている。シャドーに並ぶ小塚和季と堀米勇輝はインテリジェンスが高く厄介な存在で、決定機に絡む仕事を量産する。上野監督が山口時代の教え子でもある小塚の長所を引き出すことは間違いない。
 
ボランチは、前節は負傷欠場していた新井涼平が戻ってくるかどうか。相方の島川俊郎も積極的に攻撃に絡む。最終ラインに入るエデル・リマは頻繁に攻め上がるので、こちらがボールを奪ったら相手の陣形が整う前に攻めたいところ。いずれにしても的確な判断とプレー精度が問われる一戦だ。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
今週は準備期間が1日少ないが、甲府戦に向けて狙いを意識付けしている。向こうもファストブレイクを狙ってくると思うので、こちらも良い奪い方をすれば突きどころを突ける。スペースや変化を見てテンポ良く判断良く動かしていけば、チャンスは作れると思う。あとはしっかり決めるべきところで決めるなり、攻撃を最後まで成立させることが大事。
 
小塚くん堀米くんはボールを受けられるし出せる。シャドーのところは出入りが多いので、しっかりとDFラインと中盤のラインでコミュニケーションを取って対応しなくてはならない。
 
リンスはG大阪時代に一緒に仕事をしたが、前を向いてなんぼの選手なので前を向かせない、ゴールに向かわせないような守備で、自由に右足に持たせないようにしたい。金園くんはクロスに入るタイミングもいいし、迫力もある。前線で体を張って起点を作り、守備でも貢献できる選手。簡単にやらせないようにしなくてはならない。
 
■DF 19 星雄次
 
上野監督には山口で1年半くらいお世話になったので、頑張っている姿を見てもらいたい。シーズン途中に就任したばかりなので対戦は難しさもあると思う。コヅ(小塚和季)はのびのびプレーしているときは相手が想像もつかないようなプレーをして、それがゴールに直結するので気をつけなくてはならない。ああいう選手は球際にガツガツ行くと嫌がると思うので、そういう守備をして上手く仕事をさせないようにしたい。
 
マッチアップする湯澤選手は勢いがある。毎試合そうだが、対面の選手には負けないように戦いたい。行ける状況であればどんどん前に出ていきたい。僕たちからどれだけ良いボールを入れられるかもポイントになる。
 
■MF 7 松本怜
 
松橋さんはあの年齢になってもハードワークしてガツガツ来る人なので、嫌な相手の一人。でも(早稲田大の)先輩だからといって負けていられないので、しっかり先手を取りたい。甲府の両ウイングバックはパワーとスピードがある。守備では引くところは引くが、真ん中でだけ回しても崩せないと思うので、相手に引かれても怖がらずにサイドで起点となり仕掛け、試合を作っていきたい。逆にそれが出来れば相手は出てこれないので、そこがカギになると思う。小塚選手はパスを出してゲームを作れ、昨季山口で対戦したときも嫌な選手だった。かなりケアしなくてはならない。
 
J1降格組の選手たちは、細かい部分では上手いかもしれないが、これまでの2チーム(大宮と新潟)はまだJ2に慣れていない感じもあった。ただ、甲府はいま調子も良く、つかめてきている感じがあるので、あなどってはいけない。