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今節の見どころ

ハイ・インテンシティーの山口をいなし、こちらのゲームに持ち込みたい

 

明治安田J2第15節、チームは大銀ドームに2位・山口を迎える。シーズン3分の1を終えたばかりとはいえ、結果を出している同士の首位攻防戦。“周防灘ダービー”は激戦必至だ。

 

4-3-3の山口に、どのシステムで対峙するか

 
前節の岐阜戦では、相手のフォーメーションに合わせてこちらも中盤を厚くした4-3-3システムで戦い、特に前半は中盤の連動した守備が機能して、後方でのボール回しも奏功していた。後半は運動量を落とし押し込まれたが、集中して体を張り、アディショナルタイムに運も味方につける三平和司のゴールで勝利している。
 
今節対戦する山口も、岐阜と同じ4-3-3システム。ボールの動かし方などで共通点もあるが、全体の戦術や個々の戦力のタイプは異なっている。その相手に対し、前節と同じ4-3-3で挑むのか、また別のシステムを採用するのかは、最も興味深い見どころのひとつだ。
 
トレーニングでは4バックと3バックの複数のシステムを試していたが、片野坂知宏監督は「どの形にも一長一短ある」と決めかねている様子。起用メンバーを含め、いつも直前まで頭を悩ませるため、蓋を開けてみなくてはどうなるかわからない。
 
現在、大分の勝ち点は30。2位・山口との勝ち点差は3だが、得失点差が6と離れているので、大差のゲームにならなければ今節1位と2位が入れ替わることはない。ただ、勝ち点26で3位につける福岡が8戦負けなしで追い上げてきているので、その勢いにのまれるのは避けたいところ。
 
「順位とか数字とかわからないくらい気にしていない」という指揮官は、目の前の一戦を勝ち切ることにしか興味がない様子。選手たちも「首位感はまったくない」(馬場賢治)、「余裕で勝った試合はひとつもないのでみんな『絶対勝つぞ』という気持ちが強い」(三平)と緩みは皆無だ。
 

山口に負けず大分らしい攻撃を

 
今季から霜田正浩監督が指揮する山口は、インテンシティーの高さを最大の武器にアグレッシブな攻撃サッカーを展開している。現在の得点数は27で、大分と並びリーグ首位。失点はやや多く21だ。
 
球際への激しいプレスと素早い攻守の切り替えで相手に攻撃させる時間を与えず、奪ってからゴールを目指す勢いには見応えがある。終盤まで走力を落とさないのも特長で、前節の東京V戦では、71分から怒涛の反撃で4得点を挙げて2点のビハインドをひっくり返し、4-3で勝利した。
 
左ウイングには前節は契約上出場できなかった高木大輔が復帰してくる見込み。1トップのオナイウ阿道は高い身体能力そのものが脅威で、千葉時代にチームメイトだった高木駿も「調子に乗せるとどんどん決めてくる」と警戒する。また、右ウイングの小野瀬康介は現在絶好調で、右SB前貴之との縦関係で多くのチャンスを演出している。
 
大分が3バックなら左WB、4バックなら左SBで彼らとマッチアップする可能性が高い星雄次は、この試合がプロ初の古巣戦。かつての仲間との対戦に「楽しみでしかない」と士気を高めている。これまで左の前線で先発し、献身的に守備に走ってきた馬場も、星と連動しながら山口の右サイドを抑えることを誓った。
 
山口の中盤の底を司る三幸秀稔は高い展開力で攻撃を組み立てる。右インサイドハーフに入る池上丈二は大阪体育大で伊佐耕平の後輩にあたるが、ドリブルが得意なサイドアタッカーのイメージを覆して配球役としても器用にプレーしている。彼らを抑えることも重要なカギになりそうだ。
 
球際への早い寄せをかわしつつボールを動かしていくのが片野坂サッカーの強み。山口のハイプレスをかいくぐるためには素早い判断と正確な技術が求められる。日々のトレーニングの成果を、どれだけピッチで表現できるか。
 
首位攻防戦とは言えど、まだこの時期なので、気負うことなく上位対決を楽しみたい。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
山口は監督が霜田さんになられてアグレッシブになっている。個々の能力も高い選手が揃っているし、自信を持ってチャレンジしている。チームとして戦えて成果につながっている。勢いもあるし戦い方も変えず、落ちずにアグレッシブ。戦いづらいチームになる。
 
今節も前節と同じ4-3-3の相手だが、岐阜と山口ではまたちょっと違う。山口がわれわれに対してどう出るかというのもあるが、こちらがどういう形にしたとしても、それぞれにメリットとデメリットがある。フォーメーションも人選も、どうするかは直前まで練習で様子を見て話をしてから決めたい。
 
クールごとの勝ち点目標をクリアしながら30に乗せたが、まだ目標は70、6位以内は変わらない。今後も上手く行くとは限らないし苦しい時期があると思うので、いまは積み上げられるものを積み上げたい。
 
■DF 19 星雄次
 
古巣との対戦は楽しみでしかない。山口の試合はよく見ている。今季の山口は前に行く迫力があり、全員が連動して気持ちよく動いているように見える。やることがはっきりしているのか、思い切ってプレーできているようだ。ボールの動かし方の上手さも感じる。前からプレスをかけてくるし、つねに自分たちからアクションを起こしているイメージ。いいサッカーをしていると思う。
 
まだどういうシステムで臨むかわからないが、どう臨んだとしても、状況判断してプレーすることが必要となる。山口もインサイドハーフがどんどん前に出てくるので、マークの受け渡しなどもしっかりやらなくてはならない。ブレずに一体感を持って粘り強く戦うこと。ボールを動かしてチャンスを作りたい。
 
いまは首位にいるが、ここまで楽な試合はひとつもなかった。これからも厳しい試合が続くと思う。自分たちのやるべきことを全員がしっかりやらなくては食われてしまうと思うので、練習からしっかり取り組んでいきたい。ブレずにやっているから最後にこちらにボールが転がってくるのだと思う。これからもやり続けたい。
 
■GK 31 高木駿
 
いま自分たちは首位だが、みんな特に意識していないと思う。まだまだ自分たちのサッカーが完成しているわけでもないので、つねにチャレンジし続けなくてはならない。今節の相手である山口は2位で、調子も良いし勢いがあるので要注意。いままでどおり相手の出方や状況を見ながら、その勢いをいなしつつ、自分たちからアクションを起こして戦う。相手も得点の多いチームだが、最少失点にとどめておけばこちらも得点できる。点を取れるチームは無得点に抑えられると焦りが出てきたりもするので、まずは良い守備で相手の勢いを止めることが大事。
 
山口は3トップが点を取っている。前線に勢いがあって上手くてやんちゃなヤツが揃っている感じ。偶然点を取っているからとかではなく、チームとして計算して勢いを生み出している。攻撃の流れやスピードに気をつけていい守備で勢いを止めるのが必要。攻撃では後ろから回して相手をどんどん動かして疲れさせることも有効。後ろでテンポよく回して相手の嫌がることをして、ビルドアップでテンポを作っていくのも相手の勢いを止めるひとつの手だと思う。
 

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