調子を上げて連勝中の強豪・大宮。強力な攻撃陣をコレクティブに迎え撃つ
前節の町田戦から中4日。チームは明治安田J2第12節、ホームに大宮を迎える。並み居るタレントを擁する相手に対し、攻守にわたって組織的に戦いたい。
過密日程のなか、メンバー構成が気になる
前節・町田戦のフィードバックを済ませ、チームは中4日で迎える今節・大宮戦に向けて意識を切り替えた。芝の養生期間のため、先週に引き続きBコートでのトレーニング。強い陽射しの下、引き締まった雰囲気をもって短い準備期間を過ごしている。
今節は前節に続くホームゲームだが、次節は中2日でアウェイ新潟戦。大宮戦を終えた翌日にクールダウンするのが精一杯で、その翌日にはもう新潟へと移動しなくてはならない。この変則的で厳しい日程の中、前節29分に負傷交代した後藤優介をはじめ、選手たちのコンディションは気になるところ。とはいえ、メンバーを入れ替えるならそれはそれで、フレッシュな戦力が出番を待ちながら準備している。
大宮との対戦は2015年J2第41節以来。2点を先行しながら立て続けに3点を奪われて逆転負けを喫し、その結果をもって大宮はJ2優勝とJ1昇格を決め、こちらはJ2・J3入れ替え戦に回ることが決定的となった一戦だ。当時とは互いに監督も選手も替わり、双方ともに違うチームになっているが、大宮が個の能力の高い戦力を揃えていることは、いまも同じだ。
守備が安定して連勝中の大宮
今季J1からの降格組である大宮は、3シーズンぶりのJ2に苦戦しているのか、開幕からしばらくは調子が出ず、町田や松本には3失点を喫して中位以下に沈んでいた。だが、第10節の新潟戦、第11節の東京V戦と今季初の連勝。特に前節は、これまで無敗の東京Vについに土をつけている。
2試合連続クリーンシートでの連勝には、開幕前から負傷離脱していたCB河本裕之の復帰が大きく影響していると思われる。菊地光将とのCBコンビについて片野坂知宏監督も「経験豊富で安定感がある。攻撃では良いフィードも入れてくる」と警戒。守護神・笠原昂史も好セーブを連発して無失点勝利に貢献している。
攻撃の軸となるのはロビン・シモヴィッチ。昨季名古屋在籍時の対戦では途中出場からゴールを割られた苦い思い出がある。鈴木義宜は「高身長で足元も上手く何でも出来る選手。起点を作らせないようにしたい」と昨季の印象を語った。そのシモヴィッチと2トップで良好な関係性を見せるのが大前元紀。仕留める力を持っている嫌な存在だ。
そこに両サイドから機動力のあるドリブラーが絡んでくる。レフティーの嶋田慎太郎も怖いが、今季アカデミーから昇格したルーキーの奥抜侃志も注目すべきポテンシャルを感じさせる。途中出場してひと仕事を遂げるマテウスも怖い。さらにそこにSBも参加して、その攻撃は分厚い。
堅守を取り戻し決定機を確実に仕留めたい
「目の前の選手に一人一人が負けないことと、組織的に守ること。これまで出来ていたことを継続して90分間続けたい」と鈴木。明治大の先輩・笠原との守護神対決に臨む高木駿も「良い守備が出来ていたときの状態に立ち返り、大宮にJ2の粘り強い守備の厳しさを見せたい」と堅守復興を期す。
大宮は攻撃力だけでなく守備力も高いチームで、球際も激しいが、こちらもこれまでの積み上げを生かしながら恐れることなく攻めたい。カギとなるのは守備から攻撃への切り替えだろうか。「ボールを持たれる時間が多くなるかもしれないが、焦れずに戦うことが大事」と、松本怜は健闘を誓った。決定機は決して多くないかもしれないが、確実に仕留めて先制したい。指揮官は「出来るだけ拮抗した試合にしたい。90分集中を切らさずに戦うことが勝ち点3につながるか、1につながるか」と相手をリスペクトしつつ、周到な準備を突き詰める。
敵将は鹿島の血を引く石井正忠監督。昨季終盤から堅実なスタイルを築きはじめ、それがようやく結実してきたところだ。われわれが今後、J1昇格を目指す上で間違いなく“壁”となるべき相手。ここでみすみす勢いづかせるわけにはいかない。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
守備と攻撃の狙いをゲームの中で確認して、規律をもって出来るよう意識づけした。大宮がわれわれに対してどういうメンバー、どういうやり方で来るかわからないが、自分たちの戦いが出来るように準備して臨みたい。
大宮には決定的な仕事の出来る選手が前線に多いので、隙を与えてはいけない。個人での対応を粘り強くやることも大事だが、組織としても良い守備をしなくては痛い思いをする。集中して合わせていくことが大事。攻撃に関しても狙いを合わせ、相手の長所短所を意識してやれば、数は少ないかもしれないが決定機を作れるかもしれない。判断と質が求められるが、チャレンジしたい。
■DF 5 鈴木義宜
前節は緩んだつもりはなかったのだが、どこかに甘さがあったから3失点を招いたのだと思う。相手が人数が少なくなり、割り切った戦い方がなおさら顕著になった中で、あれだけチャンスがあったのに早く4点目を取らなかったこともひとつの要因。ピッチでどれだけ厳しく4点目を取りにいこうとしたかという点は、反省しなくてはならない。
大宮は個々のレベルも高いしチームとしても調子を上げているという怖さはあるが、自分たちも負けていないので、気負うことなく自分たちのサッカーをすれば、勝機もあると思う。守備のポイントは、目の前の選手に一人一人が負けないことと、組織的に守ること。これまで出来ていたことを継続して90分間続けたい。シモヴィッチは昨季名古屋戦で対戦したとき、高身長で足元も上手く何でも出来る選手だという印象が残った。起点を作らせないようにしたい。
■MF 7 松本怜
大宮は個々の上手さが一段階上のランク。ボールを持たれる時間が多くなるかもしれないが、焦れずに戦うことが大事。厚みのある攻撃をしてくることもあり、組織的に守らなくてはならない。これまでも試合ごとに狙いを持って戦った中で、チームとしての連係は取れている。
■GK 31 高木駿
前節からしっかり切り替え、ピリッと引き締めてトレーニングしている。大宮は選手がフィットして内容が良くなり良い結果が出るようになると、どこまでも強くなるチームだと思う。そういう相手の長所を出させないようにしなくてはならない。気持ちよくプレーさせず、相手の流れにしないことが大事。
相手に大きな選手がいるし、CBもセットプレーが強いが、前節できなかったセットプレーやクロスの対応もしっかり守り切りたい。最近は得意としていた部分でもあったので、そこでやられたことが自分でももったいないと思っていた。守備範囲広く守り、攻撃にもどんどん参加して、僕のところからチャンスを作るくらいのイメージでやりたい。