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今節の見どころ

イバとレドミに仕事をさせず、築いた決定機は確実に仕留めよ

 

難しい試合をものにしながら4連勝と結果が出ているが、いまだ盤石な試合運びが出来ているとは言い難い。ホームで迎える明治安田J2第9節は、これまでとはまた違った意味で難しい相手・横浜FCとの対戦となる。勝ち切るために必要なものは何か。

 

高めたい両ゴール前のクオリティー

 
水戸、讃岐、千葉、京都と、特徴のある相手を下して4連勝中のチーム。それぞれの相手に対し、片野坂知宏監督以下コーチングスタッフの定めた狙いを選手たちがよく理解し、共通意識の下でそれを遂行したことで、いずれも難しい試合をものにしてきた。
 
これをさらに盤石な試合へと持ち込むためには、ワンプレーごとの判断や精度ももちろんのこと、両ゴール前のクオリティーを高めることが近道となる。
 
週の立ち上げ、片野坂監督は京都戦のフィードバックにおいて「アウェイで雨の中ああやって勝ち切ったのは、みんなが最後まで粘り強くやったから。それを続けつつ、勝ち点3を取りきるために、先制点、追加点を早く取ってしっかりと試合を終わらせるようにしよう。拮抗した試合にせず、勝てる試合は勝ち点3を取れる展開に持っていこう」と、勝者のメンタリティーを伝授。また、オールアウトは3対3で行い、フィニッシュの局面を多く演出した。
 

どのタレントがどの位置で出てくるか

 
横浜FCは現在、3勝3分2敗で10位。ここ3戦は白星なしだが、前節は試合終了間際の同点弾で福岡から勝ち点1をもぎ取った。
 
昨年10月にタヴァレス監督体制になってから対戦するのは初めてだが、イバとレアンドロ・ドミンゲスをはじめとする主力選手層に変化はなく、それほど大きく変わった感触はない。組織力というよりは個のポテンシャルを武器に戦っている印象だ。ここまで3得点したかと思えば3失点、4失点という試合もあり、不安定な印象なのも、そういったところに起因するのではないかと思われる。
 
それだけに誰が出てどの位置に配置されるかが気がかりなところ。今季は4-3-3、4-3-1-2、4-2-3-1といった複数システムを使い分けており、敵将が対大分プランをどう組んでくるかによって、こちらの対応も変わってくる。トップのイバとバイタルエリアを自由に動くレアンドロ・ドミンゲスはほぼ確実に出場すると思われる。フィニッシュの部分で最も警戒せねばならないのはこの2人で、中盤の中里崇宏からの配球には注意したい。佐藤謙介の攻撃参加、武田英二郎と北爪健吾の両SBから大きくファーへと供給されるクロスにも、隙なく対応する必要がある。
 
前節、途中で負傷交代したカルフィン・ヨン・ア・ピンは予想フォーメーションからは外れており、CBはぺ・スンジンと川崎裕大となっている。ヨン・ア・ピンが出場しないならば外国人枠がひとつ空くので前線にスピードと機動力自慢のジョン・チュングンが出てくる可能性が高い。
 

中盤のプレスをかわして決定機を築きたい

 
そういった点を考慮すると、やはり組織的守備にほころびを作らないことが重要となる。レアンドロ・ドミンゲスをどうケアするかが最大のポイントで、そのマークの受け渡しで後手に回ると守備網に大きな穴を開けてしまうことになりかねない。
 
その点について福森直也は「ボランチに切らせるのか自分たちが潰しに行くのか、コミュニケーションがより必要になる。瞬間ごとに早い判断が求められるので、後ろの選手がリードしたい」、後藤優介は「簡単に間のスペースを使われてしまわないようにしなくてはならない。それによってボランチの守備位置も変わってくる。自分たちがどれだけ組織として我慢強く対応できるかが問われる」と話す。
 
攻撃に関しては中盤で相手のプレスをかわしてアタッキングサードに持ち込んだら、確実に好機をものにしたい。決定機を逃し続けて流れを手放してしまうのは、なんとしても避けたい展開だ。
 
ここからまだ先の長いシーズンを戦っていく中で、42試合を終えた時点で目標と定める状況にいられるように、われわれは揺るぎなく強いチームになっていかなくてはならない。
 

練習後の監督・選手コメント

 
■片野坂知宏監督
 
横浜とうちの違いは、うちは一体感を持って合わせてやれるところ。横浜FCは上手く行かないとバラバラになりやすいが、われわれは試合に集中して組織として戦い、90分間最後まで我慢強くやれるのが強みだと思う。大崩れして大味な試合にならなうように、粘り強く勝ち点にこだわるゲームをしたい。その中ではチャンスを決めきることが大事。しっかり仕留められれば勝ち点3を取れるだろうが、チャンスを決めきれず、先に失点すると苦しい展開になる可能性があると思う。
 
横浜FCも守備への切り替えが早く、特に中盤のエリアは激しくプレスに来るので、それをしっかりとかわしてボールを動かせるよう判断を高めていかなくてはならない。横浜FCの出方によって狙いを出せるように準備しておきたい。
 
■DF 4 福森直也
 
今節はやはりイバに仕事をさせないことが重要。昨季はこういう大きな1トップのいるチームになかなか勝てなかったが、今季はそういうチームにもそこまでやられていない。後ろの選手がビビらずにラインを上げ、前の選手もしっかりプレッシャーをかけて自由に蹴らせないといったことが噛み合って守備が安定してきた。
 
試合ごとの狙いやそれによって生じた隙についてなどは、練習中や練習後に選手同士でよく話し合うし、試合中もよく声を掛け合っている。そういうところが戦術浸透につながっていると思う。
 
■DF 19 星雄次
 
守備について、前節で言えばWBは相手SBに上手くフタを出来ていて、深く侵入される回数は少なかった。ただ、クロスは低い位置からも上げられてしまったので、自分がチェックに行けなければ他の選手に行かせたりするなど連係しなくてはならない。逆サイドのボランチが上がってきたときのマークの受け渡しなど、ボールのないところでの関わりが、いまのところは上手くやれていると思う。
 
守備で下がったところから攻撃に切り替わったときに前に出ていく力は、自分のストロングポイント。奪ったときに良い判断をして攻めたい。3バックシステムのWBになったことにより、攻撃時に自分たちでボールを持てれば前で仕掛けるチャンスが増えているので、自分の良さを出していきたい。