ポイントはサイドの攻防。相手の厄介な攻撃を抑えつつ、好機必殺で仕留めよ
3連勝中と数字の上では好調だが、チームは気を引き締めて今節に臨む。満を持して乗り込む西京極で、また勝利の凱歌を聞きたい。
新たな選択肢の可能性もあるか
週の前半は好天に恵まれ暑い日が続いたが、木曜からはふたたび気温が低下。試合前日の金曜は雨模様となった。
土曜開催のため練習期間が1日短い今節に向けてのトレーニングは、全体的にやや軽めに調整された。オールアウトも「やるかどうか考えた」という片野坂知宏監督は、選手のコンディションにバラつきがあることを少し気にしていた。
シーズンを通して見れば選手ひとりひとりに好不調の波もあるし、負傷離脱の可能性も否めない。「固定せず、調子の良い選手の中から次の相手に向けてのベストメンバーを選んでいく」と指揮官は日頃から宣言している。開幕以来ここまでメンバーを固定気味だったポジションもあるが、いまだ公式戦に絡んでいない戦力の中から、今季初出場となる選手も出てきそうな気配だ。「そうなればチャレンジになるが、今後に向けて選択肢も広げたい。全員に良い準備をしておいてもらいたい」というのが片野坂監督の要求だ。
やはり存在感が最も大きいのは闘莉王
今季の京都はここまで1勝3分3敗で現在20位と、なかなか結果が出ていない。ただ、選手個々の能力は高く、それぞれに特徴もある。いまは不本意な状態だろうが、どの試合でも良さは見えており、歯車が噛み合えば波に乗りそうなので、決して油断できない相手だ。
開幕の町田戦では4-4-2、第3節・新潟戦では4-1-4-1システムでスタートしたが、それ以外は4-3-3の形がベースとなっている。新外国籍選手のレンゾ・ロペスを頂点に据えてターゲットとし、その脇を小屋松知哉、湯澤洋介、岩崎悠人ら、さらにその下を仙頭啓矢、宮城雅史、沼大希ら、スピードと機動力自慢のプレーヤーが固める。前節の讃岐戦ではエスクデロ競飛王も仙頭と交代する形で途中から出場した。
チームの中でやはり突出した存在感を誇るのは闘莉王だ。昨季のようにスタートから最前線で出場することはないが、後方から攻め上がるほうがむしろ脅威とも言える。特に第5節の千葉戦で途中からアンカーへと一列ポジションを上げると、ボール支配率を上げながらゲームを組み立て、フィニッシュにも絡む活躍。讃岐戦はスタートからアンカーを務めた。「流れを読めるしポイントのところで仕事が出来る選手」と片野坂監督も警戒する。闘莉王の攻め上がった際のスペースはシャドーやウイングが流動的に埋め、対戦する側としては中盤でのマークの受け渡しがなかなか厄介だ。
ストロングポイントはサイド攻撃。両SBが高い位置を取るが、特に右の石櫃洋祐は小屋松や沼と絡みつつアーリークロスも入れてくる。昨季第10節、大銀ドームでの対戦で、ルーキーだった岩崎に素晴らしいボレーによるゴラッソを決められた記憶はいまだ新しい。
流れを読み状況判断しつつ好機をものにしたい
京都が奪いに来るか構えてくるかによってゲーム展開は大きく変わりそうだ。宮阪政樹は「前節の千葉戦と逆の立場のように、相手がブロックでスペースを消せば僕たちがボールを持たされて難しくなる可能性もある」と警戒する。
アウェイゲームであることに加え、相手の攻撃を抑えたいこともあり、「良い守備から良い攻撃につなげたい」とも話していた。これまでの京都の戦いぶりを見た上でも、組織的で連動した守備はかなり重要だと言える。
粘り強さを強いられる戦いの中で、相手の状態を見ながらテンポよくボールを動かして攻めることが出来るか。かつてのチームメイト・清水圭介が守るゴールをこじ開けたい後藤優介は、「ワンプレーごとの精度が低いと自分の長所も出せなくなるので、こだわっていきたい」と、ミスの許されなさを肝に命じた。
下位に沈んでいる相手とはいえ、難しい試合になることは間違いない。2014年以降、アウェイ京都戦はいつもお盆期間だった。今季は2012年以来の春の対戦となる。西京極の桜を散らしたい。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
相手には決定的な仕事を出来る選手がいるので、球際やセットプレーを含めて気が抜けない。状況によって使い分けが出来る選手もいるし、いろんな変化をしてくるかもしれないので、それに対して自分たちがやるべきことをしっかりやれるかどうかが大事になる。
コンディションがばらばらで、重そうな選手もいればフレッシュな選手もいる。メンバーは固定せず、選択肢を広げつつ調子の良い選手を起用しようと考えている。チャンスが巡ってきた選手には、しっかりと自分の持っているものを出しつつ、攻守にチームの規律を整理してやってもらいたい。今日の紅白戦でもいろいろな組み合わせを試したが、対京都で誰がいいのかをコーチ陣と話し合って考えたい。
■MF 35 宮阪政樹
前節はホームで勝てて良かった。チームとしても良い流れに持っていけるし、大分のみなさんも喜んでくれるので、ホームで勝つことの大事さをあらためて感じている。前節の千葉同様、京都にも昨季は勝てていない。今季また違うチームになり、千葉にも初めて勝ったように、京都にも勝ち越せるようにしたい。
戦力の組み合わせが変わっても自分の役割は変わらないし、コミュニケーションを取ることが大事。周囲の選手がプレーしやすい環境を作れればと思う。あとはどういう価値観を持って試合に臨めるか。僕自身、守備があまり得意ではなく、一人でボールを奪い切れる選手ではないが、1+1が2になるように、みんなが手を取り合って出来ればいい。GKを含めてDFラインと意識を共有し、出来れば足し算でなく掛け算に出来るようにやっていきたい。
■DF 19 星雄次
自分の中ではもっと出来るのではないか、良くなるのではないかという部分がたくさんある。自分のイメージしているプレーはまだまだ表現できていない。得点はチームとして攻撃の狙いがある中で僕が決めているだけなので、チームが取らせてくれていると思っている。連勝は別に意識していない。自分たちがやりたいことをどれだけやれるか。それが出来れば自ずと勝利できると思っている。
守備に関しては前節、クロスバーに救われた場面もあったので、反省して整理し、自分のところで甘くならないようにしたい。京都のサイドにも特徴ある選手がいるので、しっかり抑えなくてはならない。石櫃選手とは昨季も山口で対戦したが、低い位置からでもクロスを上げてくるので、マークをしっかり受け渡し、出来るだけフリーで上げさせないようにしたい。