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今節の見どころ

3連戦の3戦目はアウェイ。隙を突かれることなく堅守の讃岐をこじ開けろ

 

3連戦の2戦をホームで戦い、良い内容で1分1勝と上向きのチーム。最後の1戦は讃岐へと乗り込む。前節、千葉に大敗した讃岐は、いつも以上に守りを固めてくると思われる。一瞬のほころびを突くのが得意な相手に隙を与えず、その堅守をこじ開けることが出来るか。

 

一試合ごとに収穫と課題を積み上げていく

 
またも中3日で、今節はアウェイゲーム。そろそろ疲労も溜まってくる頃かと思われる。前節出場したメンバーはコンディション調整に努め、控え組だったメンバーは11人、18人の枠に食い込むために、トレーニングを重ねている。
 
3連戦のスタートとなった第4節H東京V戦は、第3節A岡山戦の敗戦の余韻を吹き飛ばすように、球際や切り替えで相手を上回った。確かに戦術が浸透していることを感じさせる内容だったが、15本のシュートを放ちながら精度を欠いてスコアレスドロー。続く第5節H水戸戦では、ミスマッチを突きながらボールを動かして主導権を握り、10分の先制点を皮切りに3得点。1失点は喫したが、内容にともなって勝利も手にし、3連戦をここまで右肩上がりに戦ってきた。
 
鈴木義宜は守備が安定し失点が減った理由について「まずみんなの意識があると思う。最近はラインを細かくコントロールして、押し上げることが出来ているのも良い」と分析する。
 
ただ、試合運びに関しては片野坂知宏監督からも課題が指摘された。一瞬の隙を突かれて1失点したこともそうだが、後半も守備意識に傾くことなく攻め続けて追加点を狙う姿勢を見せたかった点だ。チームは今季も、こうして試合を重ねながら、徐々に完成度を上げていく。
 

若返った讃岐、今節の出方は読みづらい

 
ここで大分の前に立ちはだかるのが、難敵の讃岐だ。相手の長所を消しながら狙いどころを定めて効率よく鋭いカウンターを仕掛けてくる。前節は6-1と千葉に大敗したが、ミスを突かれるなど個の力量差が目立った失点で、チームのやろうとしていることが大きく崩れた印象はそれほど受けない。
 
昨季まで讃岐でプレーしていた馬場賢治が讃岐では年齢の上から順に数えて13番目だったが大分に移籍して3番目になったと衝撃的な告白をしたとおり、昨季までの讃岐は年齢層の高いチームだった。だが、今季は左利きDF麻田将吾やMF佐々木匠ら年代別代表やFC東京アカデミー育ちの佐々木渉、関西大OBの鈴木拳士郎と讃岐U-18OBの濱口草太のルーキーら若いプレーヤーを多く獲得。Jリーグでのプレー経験豊富なパク・チャニョンも22歳と、チームの若返りを図った模様だ。
 
開幕戦から続けてパク・チャニョンと麻田を2CBに並べ、佐々木匠も連続で先発出場中。重松健太郎も出場を重ねる中で、彼ら新戦力を、永田亮太、岡村和哉、高木和正ら讃岐で長年プレーするメンバーが支える。
 
システムは4-2-3-1で、1トップに君臨するのは経験豊富な原一樹。そのスピードと勢いは年齢を重ねても衰えることなく、駆け引きしながら前線に迫力を生み出している。これにダブル佐々木ら若い戦力や重松、木島徹也といった選手が絡む。攻撃時はオーソドックスにSHが切れ込んでSBが上がってくる形を取るが、北野誠監督の起用法ではどの選手がどのポジションで出てくるかのバリエーションが多いため、対戦相手としては対策を練るのに苦労する。
 
かつて大分でプレーした西弘則も前線から最終ラインまでアウトサイドのポジションを幅広く網羅し、途中出場でも試合展開によって流れを引き寄せる役割をこなす器用さを発揮している。メンバー入りすれば対戦が楽しみだ。
 
連戦の最後ということもあり、前節の結果も受けて、讃岐のメンバーは読みづらい。ここ最近、好調ぶりが輝いている松本怜は「おそらくメンバーチェンジしてくるのではないかと個人的に思っている。そういう選手が出てくると勢いがあるので難しい試合になりやすい」と警戒しつつ、「僕たちは自分たちのサッカーを貫くことを考えてやるだけ」と気を引き締めた。じわりとスタートした今季だが、初の連勝を遂げ、そろそろ勢いに乗りたい。
 

練習後の監督、選手コメント

 
■DF 5 鈴木義宜
 
前節の水戸戦は、良い形で2点取ってからの戦い方には課題が出たが、勝利につなげられて良かった。2点取ってから相手はシステム変更してリトリートしてきて、全員に良い距離感で見られている感じがあったので少し難しくなった。もっと相手を見ながらパスのテンポを上げていきたい。終盤はロングスローを何度も放り込まれたが、みんなで声をかけあい、集中して守れていた。
 
最近、守備が安定してきたのは、まずみんなの意識があると思う。最近はラインを細かくコントロールして、押し上げることが出来ているのも良い。前節は芝が濡れていてパススピードが出たためやりやすかったのだが、それをどれだけ多くの試合で続けていけるかが問われる。
 
讃岐は前節、千葉に大敗しているので、より堅く来そうな気がする。やりづらいと思うが、それをどうこじ開けるかが課題になるし、カウンター一発でやられないようにすることも大事。
 
 
■MF 7 松本怜
 
前節の水戸戦は周囲がよく僕の動きを見てくれていて良かった。(林)容平も動き出していたし、相手もラインが低くなかったので、早めに入れたほうがチャンスになると判断してアーリー気味のクロスを入れた。前線は2人メンバーが変わっていたが、問題なくやりやすかった。あと2本くらいアシストになりそうなほどチャンスを作れたと思う。
 
3点目のクロスを入れる直前、ワンタッチ目かツータッチ目で「あれ、容平コケてる」と思ったのだが、相手を抜いてもう一度見たら「あれ、もういる」と思って、そのめちゃくちゃな早さに思わず笑った。そこも容平らしい(笑)。あそこでニアを狙ったのは容平だったからというのもある。いつも上手くニアに入ってくるので。あの速さのボールをよく決めてくれた。
 
前節、2点ビハインドになった相手がアグレッシブに来るようになって、こちらがつなげなくなった時間帯があった。展開上、仕方ないかもしれないが、あそこで階落ち着ける力をもう一段階つけることが出来れば、もうちょっと楽な展開に持ち込めるようになると思う。
 
いまはメンバーが替わってもそれぞれの個性が生きて良いサッカーが出来ている。競争は激しくなっているが、良い傾向だと思う。ビルドアップの部分が、この2試合ではかなり成長している手応えがある。讃岐はおそらくメンバーチェンジしてくるのではないかと個人的に思っている。そういう選手が出てくると勢いがあるので難しい試合になりやすい。それでも僕たちは自分たちのサッカーを貫くことを考えてやるだけ。
 
 
■片野坂知宏監督
 
讃岐は前節、スコアは6-1で負けているが、やられ方を見てもミスやセットプレーなどで、それほど悪いゲームではなかった。ハードワークして千葉に対してチャレンジすることはやれていたと思うので、われわれに対しても思い切ってホームで勝ちに来ると思う。どういうメンバーで来るかわからないが、短い期間でもしっかりと準備して臨みたい。引き締めなくてはアウェイで讃岐に痛い思いをさせられるかもしれない。一瞬の隙でやられることもある。
 
新たに重松健太郎くんや佐々木匠くんがが加入したりして、讃岐はメンバーもフレッシュになっている。水戸の4-4-2とは少し違うかもしれないが、若い選手も多く勢いがあるので、調子に乗らせないようにしっかりと戦いたい。