好調の首位・水戸を迎える3連戦の2戦目。その勢いさえも逆手に取りたい
前節・東京V戦から中3日で迎える明治安田J2第5節H水戸戦。相手は新体制ながらスタートダッシュに成功し、現在首位をひた走る。継続性を持ちじっくり構えてチームの練度を上げつつある大分としては、水戸の勢いを逆手に取ってこちらのペースに持ち込みたいところだ。
3連戦の2戦目で気になるメンバー選考
今季初の3連戦の2戦目は、前節に続きホームゲーム。前節から中3日で迎える試合に備え、チームはメンバーのコンディション調整に努め、試合前日に非公開練習で対相手戦術を落とし込んだ。
前節の東京V戦では、しっかりとオーガナイズされた守備で先手を取って相手の攻撃を抑え、多くの時間帯で主導権を握って試合を進めると、今季初の無失点試合を達成した。ただ、15本のシュートを放ったにも関わらず、ゴール前では体を張った相手をこじ開けることが出来ずに無得点。収穫と課題をともに得たスコアレスドローとなった。
無得点で終わったことに関して、片野坂知宏監督は試合後に「個人の修正になるか、メンバーを替えるか。また明日から水戸戦までのトレーニングを見て、調子の良い選手を見極めたい。連戦なので30人全員で乗り切らなくてはならない」と話した。
前節は出場機会がなかったが好調を維持している選手や、18人の枠に入るか入らないかのライン上にいる選手もいる。また、東京Vとは異なるタイプの水戸、讃岐を相手にどのように戦うかによっても、戦力の選考は変わってきそうだ。指揮官以下コーチングスタッフのマネジメントが楽しみだ。
新戦力が躍動し結果を出している水戸
水戸は前節、開幕3連勝中の山口と対戦し、リーグ得点ランキング首位を誇る攻撃力を抑えて3-0で勝利。3勝1分けで、勝ち点で並ぶ岡山を得失点差で上回り、首位に躍り出た。
今季から長谷部茂利監督が就任し、組織的な堅守はそのままに、昨季よりも主導権を握るスタイルを目指しているようだ。
システムは昨季に引き続き4-4-2だが、林陵平が東京Vに移籍し前田大然がレンタル元の松本に戻って主力2トップがいなくなったのをはじめ、内田航平や湯澤洋介、橋本晃司らコンスタントに出場していたメンバーを含む17名の選手がチームを去った。だが、代わりに14名を獲得し、ここまでの試合で2トップと両SHでその新戦力が出場し、結果を出していることも注目される。
4試合3得点のブラジル人FWジェフェルソン・バイアーノと2トップを組むのは、15年J3でC大阪U-23の一員として対戦したこともある岸本武流。いまだ自身の得点はないが、得点に絡む仕事でチームに貢献している。背番号10を背負う木村祐志は、13〜14年に大分でプレーしていた頃から玄人好みの巧さが光る存在だった。水戸では左SHで出場しているが、独特の腰を落とした姿勢でボールキープして中央のスペースへと潜りながら状況を変化させるスタイルは健在で、好機に絡む仕事が多い。
ハイプレスで相手のミスを突き攻撃へと切り替える点は昨季と変わらず、前節の山口戦もその形から2得点している。ビルドアップするスタイルのチームにとっては特に、隙を与えてはならない相手だ。
相手の速いプレスに臆せずプレーできるか
ビルドアップのプロセスで引っ掛けられてショートカウンターを食らう可能性は大いにある。プレー精度が求められるが、リスクマネジメントも怠らずに切り替え早く対処したい。
ただ、戦術をより浸透させたいこの時期は、それを恐れて自重するのではなく、むしろ勇気を持って果敢にトライしてほしいというのが、片野坂監督の考えだ。それは就任当初から一貫して変わらない。
「相手がプレスをかけてくればくるほど、別のどこかが空いてくるということ。相手をぎりぎりまで引きつけるのは危険と紙一重のところも確かにあるが、そうすることで別のところにスペースが生まれ、そこを使うことで一気にこちらの有利な状況を作ることが出来る」と、守護神・高木駿も話す。
いくらトレーニングで戦術を確認していても、実戦では相手のプレッシャーの激しさも違う。それでも落ち着いてボールを動かし狙いの形で戦っていくためには、より高い判断やプレーのスピードとクオリティーが必要となる。実戦の最中に、どれだけ短い期間でそれらを高められるかが、チームの行末を左右する。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
水戸はチームとしてやるべきことが整理されている。開幕から好調で、勢いもあり手強い相手だが、こちらも自分たちのやり方でチャレンジしたい。
相手には前線で起点になる選手がいるので、そこで仕事をさせないようにしなくてはならない。守備もアグレッシブに来るが、それならそれで背後が空くことになるので、そのスペースを突いていきたい。
■GK 31 高木駿
勇気を持って自分たちのやり方を貫いていくことが大事。相手がプレスをかけてくればくるほど、別のどこかが空いてくるということでもある。相手をぎりぎりまで引きつけるのは危険と紙一重のところも確かにあるが、そうすることで別のところにスペースが生まれ、そこを使うことで一気にこちらの有利な状況を作ることが出来る。
■MF 15 清本拓己
昨季の二の舞にはなりたくないので、一番にひざの事を考え、時間をかけてケアしている。
開幕から3試合途中出場したが、どの試合も必ずチャンスがあったので決めなくてはいけない。伊佐くんからも山形戦のチャンスシーンについて「あれは打てたやろ」と何回も言われた。2人で一緒に出て点を取りたい。水戸戦に出場したら、得点という結果を出すだけ。