攻撃のコンビネーションは上々。2試合連続無失点の岡山の堅守を打ち砕け
11日は明治安田J2第3節。チームはアウェイで岡山と対戦する。徳島と栃木に連勝中と好調の相手。2戦連続無失点の堅守をこじ開けて得点し、勝利をつかむことが出来るか。
悪天候の中でもトレーニングで刺激を入れた
今週のトレーニングは悪天候に苛まれた。木曜は大雨で、ボールがまったく転がらず一歩ごとに水しぶきがあがるピッチで6対6のオールアウト。金曜は曇りだったが強風で、やはり集中するのに労力を要する環境となった。納得行くまでには至らなかったようだが、切り替えて出来るかぎりの準備はしたという感じだ。
ポゼッション練習では、いつもはGKがサーバーを務めるところを、今週はフリーマンという扱いにして、起点が動きながら360度使える状態を演出していた。切り替えと展開の部分で刺激を入れ、より柔軟な状況判断を求める意図だと思われる。木曜に行う予定だった対人練習は雨のため金曜に変更され、攻守両面で強度と精度を追求した。
開幕戦は3-4-2-1、前節は4-4-2とシステムやメンバーを変えて2戦を戦った。まだ4バックシステムでのボールの動かし方を共有していないため、前節は上手く攻撃の形を作れずに30分ほどで3バックに戻したが、那須川将大、ファン・ソンス、小手川宏基が今季初出場を果たしたことは収穫となった。今節も今季初めて公式戦のピッチに立つメンバーがいるかどうか。紅白戦の内容を受けて、指揮官はまだ考えている様子だった。
今節、今季初の3バックシステムの相手に対し、どのような戦い方で臨むかが楽しみだ。いずれにしてもバランスを崩さず、リスク管理もしながら攻めていきたい。
シンプルな攻撃とバランスの良い守備が特徴
岡山は開幕戦で徳島に、前節は栃木に勝利して2連勝。いずれも無失点で栃木戦では3得点も挙げている。昇格争いのライバルの勢いは、早めに止めておきたいところだ。
岡山のフォーメーションは3-4-2-1と3-5-2の2パターンが想定される。昨季まで活躍していた石毛秀樹やパク・ヒョンジン、片山瑛一、豊川雄太、加地亮らはいなくなったが、代わりにイ・ヨンジェや椋原健太、齊藤和樹らが加わって、戦力的にも高い質を維持している。末吉隼也と増田繁人も加入し、伊藤大介とともに元大分組が3人となった。また杵築出身でスマイス・セレソンから東福岡高に進んだ阿部海大は、高卒ルーキーながら開幕から先発出場を続け、栃木戦ではセットプレーのこぼれ球から得点も挙げている。
攻撃は、前線のイ・ヨンジェをターゲットに、後方やサイドからシンプルにボールを集めて力強く仕掛けてくる。それをサポートする赤嶺真吾と伊藤大介の2シャドーはインテリジェンスが高く、スペースを使うのが上手い。三村真と椋原健太の両WBもアグレッシブな仕掛けが持ち味で、特に三村はアーリークロスなどでもチャンスを量産している。
最も警戒しなくてはならないのはボランチの上田康太。4シーズンぶりに岡山に復帰した上田は、長澤徹監督のサッカーも熟知し、その能力の高さを発揮して躍動中だ。プレースキックも脅威で、栃木戦でも見事な弾道で直接ネットを揺らした。
守備はバランスを保ちながら、隙のないブロックで相手を阻みもする。ブロックの形も相手によって使い分けて堅守を保っているが、2試合6得点の大分が、前線のコンビネーションを生かしてそれを崩すことが出来るかどうか。ディフェンスリーダーの後藤圭太と対峙することになりそうな後藤優介は、“後藤ダービー”に向けて「あっちの後藤に負けないように頑張ります」と士気を高めた。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
岡山も隙のない守備で無失点を続けていて自信をつけていると思うが、選手たちには勇気を持ってトライしてほしい。判断と質で上回りたい。まだ紅白戦のメンバーで行くか変更するか迷っているのでコーチングスタッフと話をして考えたい。
岡山の攻撃はシンプルで、難しいことはしてこない。隙を見せれば決定力のある前線の赤嶺くんやイ・ヨンジェがいる。上田くんが入ったことで攻撃の起点を作られそうな感じもある。上田くんはセットプレー、ボールの展開を含めて存在感があるので自由にさせたくない。
ここまで2試合4失点の守備の修正ポイントは、カウンター対策。切り替えを含めて粘り強くやることを継続していかなくてはならない。もったいない失点が多いので、予測と個人の対応についてはしっかり集中を切らさずにやらせたい。リスク管理できるようバランスと予測を徹底させたい。
硬い試合になるのではないか。早い時間帯に失点したくないし先制したいが簡単な相手ではない。セットプレー含めやるべきことはたくさんある。リードしていたら相手も引いてくるだろう。
■FW 10 藤本憲明
ここまでの2試合での得点シーンのコンビネーションはいいが、もっと相手を上回ってチャンスを増やしていきたい。前節は相手のプレッシャーに対して臨機応変に対応できず、自分たちでハマっていったような部分もあったが、先制されたあと追いつけて引き分けに持ち込めて良かった。前半に失点してすぐに追いつけたのが大きかった。自分たちで先制しなくては苦しい展開になる。
得点できているからいいと考えるのか、もっと失点を減らして1-0で勝つくらいのゲームにするのか。つなぐサッカーではある程度リスクもあるので難しいところ。防げる失点でもあったので、守備を修正し、FWとしてはなるべく多く得点したい。
岡山は堅守のチームだが、そのほうが、むしろやりやすい。2試合無失点の自信を打ち崩すくらいの攻撃で相手を上回りたい。この2試合はあまりボールを保持できていないので、ビルドアップの精度を上げたい。一個飛ばしのパスを出すとかテンポをあげるとかサポートの質をあげるとかで相手は剥がせると思う。良い縦パスが入ってくればチャンスになる。コンビネーションや個の力で打開していきたい。
■DF 6 福森直也
2試合ともフォーメーションが変わって攻守でやり方が違っていた中で、前節はもうちょっと効果的なボールの動かし方を出来れば良かった。特に4バックのときに試合中に修正できるようにしたい。
岡山は守備が堅いが、こちらは2試合で6得点している。岡山も前節3得点しており、我慢強く守れたほうが勝てるゲームになるのではないかと思う。失点については開幕戦はゴラッソ2発、前節はセットプレー2本で、完全に崩されたわけではない。それでも1試合2失点に変わりはないので、守備陣としては危機感をもって臨みたい。岡山は思い切りの良い攻撃をするイメージ。相手を勢いに乗らせてしまわないよう、立ち上がりは慎重に入ることが大事。
一森くんは関西学院大の先輩で、良いキーパー。前回対戦はこちらが3-0で勝っているのでこっちのほうが良いイメージで臨めるかもしれないし、勝ちたい。チャンスがあれば一森くんから得点も奪いたい。