出方の読みづらい山形。的確な判断で上回り、ホーム開幕を連勝で飾れ
いよいよホーム開幕。チームは4日に開催されるJ2第2節、大銀ドームに山形を迎える。課題も出たが勝利を収めた前節に続き、連勝して好調の波に乗りたい。
ポジション競争は高まるばかり
第1節・栃木戦の勝利が刺激になったのか、その翌日に行われたテゲバジャーロ宮崎とのトレーニングマッチでは、栃木戦に絡まなかったメンバーもそれぞれに良いアピールが出来たようだ。
今週は冷たい雨や嵐のような強風にも見舞われたが、紅白戦の日は温暖な陽気。コンディション不良の選手も出たが、いくつか試した異なる組み合わせも悪くない手応えだった。片野坂知宏監督も「競争が高まっており、またメンバー選考での悩みが生じていて、良い傾向だと思う。全員に良い準備をしておいてもらいたい」と、うれしい苦悩を口にした。
栃木戦で後藤優介、藤本憲明、伊佐耕平とFW陣が得点したのも好材料だ。後藤は紅白戦でのコンビネーションも好感触だったと語り、藤本は自身のJ2初得点を挙げたことでリラックスできた様子。伊佐は途中出場で結果を出している現状を分析しつつ、スタメンの座を狙うために工夫を凝らしてもいるようだ。ここに林容平や小手川宏基、清本拓己、馬場賢治、國分伸太郎らが絡んでくることになる。
前線以外のポジションにしても層は厚く、多彩なオプションに対応できる。それだけに、相手チームの出方を踏まえて立てるゲームプランがハマるかどうかが、勝負の分かれ目にもなりかねない。指揮官以下コーチングスタッフたちの分析力も問われてくる。
出方を読めない山形、攻撃陣は相変わらず強力
寒冷地をホームタウンとする山形は、第4節のホーム開幕までキャンプ地での調整を続けている。今節は九州アウェイ連戦の1戦目だ。
新戦力のジャイロ・ロドリゲスをはじめ守備陣に負傷者が多発し、戦力をやりくりしながら戦った第1節は、水戸のアグレッシブな守備に苦しみ、0-3で敗れている。それを受けて、今節はシステムやメンバーを変えて臨む可能性も高くなり、その出方を予想するのは非常に難しい。前節は4-3-3システムでスタートし、後半に4-2-3-1に変更したが、4-4-2や3バックシステムにも対応できるメンバーが揃っている。スカウティング能力に長けた木山隆之監督が、どのような大分対策を講じてくるか。
中盤には球際が強く技術の高い選手が並び、前線やサイドの攻撃陣もそれぞれに個性豊かだ。特に自ら大分との相性の良さを口にする阪野豊史は前線で力強く起点を作ることが出来る。2日の紅白戦ではスタメン組でプレーしていたとの報道もあった。新加入のフェリペ・アウベスと2トップを組めばその威力は倍増する。サイドからはスピードのある小林成豪や汰木康也がそれに絡み、クロスへの飛び込みを得意とする瀬沼優司も面倒な存在となる。
そういった戦力をどう組み合わせ、アグレッシブに来るか手堅く来るか。前節は水戸のハイプレスを受けながらビルドアップにチャレンジしていたが、多様な戦い方の選択できるチームだ。フタを開けてみるまでわからない。
求められる判断力と組織での意思統一
大分としては、まず冷静に相手の戦い方を見きわめ、それに対して判断したことを共有しながら戦うことが求められる。決して簡単なことではないが、それこそが“片野坂サッカー”の最たる魅力だ。
守備では相手に不用意に食いつきすぎず、コンパクトに守ることがポイントとなる。フィールドの最後尾でラインをコントロールする鈴木義宜は栃木戦の反省を踏まえ、ラインをこまめに上げておきたいと述べた。同様の意図でボランチの丸谷拓也も、相手ボールホルダーへはしっかり寄せることを自身に課している。
攻撃に関しては、いつもどおり連係で相手を剥がすこと。山形の中盤をかいくぐるのは容易ではないが、特に相手がアンカーシステムで来ればシャドーはボールを受けやすくなる。シンプルにボールを出し入れして相手を動かし、スペースを作っていきたい。
昨季は低かったホーム勝率を今季はもっと高めようと、チームは意思統一している。激しいポジション争いの中から、指揮官が今節チョイスするのは誰かも楽しみだ。
練習後の監督・選手コメント
■片野坂知宏監督
ホーム開幕戦ということで、たくさんの方が大銀ドームに足を運んでくださると思う。昨季はなかなかホームで勝てなかったので、勝ち点3にこだわり、勝利したい。
山形の開幕戦も見たが、ボールを保持している時間帯は山形のほうが長かったし、失点したセットプレーに関しても修正してくると思う。今節も山形のスタイルを貫いてくるのではないか。われわれがボールを持つスタイルを志向しているので、そこを狙って前から守備をしてくる可能性もある。山形もボールをしっかりつなげるチームなので、後手に回らないように守備面でも隙なくプレーしなくてはならない。
まずは相手がどう出てくるかを見極め判断した中で、自分たちのスタイルで相手を上回っていくことがカギになる。切り替えや球際など、栃木戦で良かったところは継続しながら、山形のハードワークにも負けないように準備したい。
■FW 10 藤本憲明
栃木戦の1点目のときのコンビネーションのような連係がもっと出来れば良い流れを作れると思う。ああいうゴールを挙げられるように練習から積み重ねていきたい。
相手DFラインとの駆け引きで、もっと良いポジショニングを取りながらシャドーの2人とのコンビネーションを意識してプレーしたい。得点が入ればチームが良い雰囲気になる。チャンスで決め切るというのが僕たちの役割。3トップだけでなくワイドやボランチの選手とも良い関わりを持ちながら得点を狙いたい。
今節はホーム開幕戦。42試合のうちの1試合なのでそこまで特別にとらえてはいないが、集中して全力でプレーし、みなさんに喜んでいただけるよう勝利したい。
■DF 5 鈴木義宜
外国籍選手を含め前線の選手たちに負けないようにしたい。彼らに仕事をさせないのが自分の仕事。まずは個人の対応で負けないこと。クロスにはコミュニケーションを取りながら対応したい。今季は3バックの真ん中でプレーしているが、風景が違って全体が見えるので、より細かいところに気を配るようにしている。また、ラインコントロールを徹底してもっと布陣をコンパクトに保ちたい。
全員がラインを押し上げる共通理解を持って、相手の出し手のところでどれだけプレッシャーをかけられるかによって、僕らのラインも50センチ上げられるのか1メートル上げられるのかが変わってくる。ただ、ラインコントロールもするが、相手FWのところで対応できれば問題ないと思うので、怖がらずにラインを上げつつチャレンジしたい。昨季もオフサイド数が少なかったが、ラインが低いからだと思う。駆け引きしながら上げていきたい。
栃木戦の前半のサッカーを90分間通してやれれば必ず勝ち点はついてくる。流れがある中で、どれだけ自分たちが流れを相手に渡さずに主導権を握って試合を運べるか。それを1年間通してやっていきたい。