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今節の見どころ

昇格の可能性を懸ける徳島との直接対峙。攻守両面で自分たちの完成度を問う

 

今季リーグ戦も残すところ2試合。今節は最後のアウェイゲームとなる。相手は第4節に対戦した徳島。勝ち点3差で6位につけており、J1昇格プレーオフ圏の順位を死守するために、絶対勝利を掲げて臨んでくるはずだ。

 

いやが上にも盛り上がるJ2最終盤で

 
プレーオフ進出を確実なものにしたい6位・徳島は、勝ち点1差で5位の松本と順位を入れ替えるべく、また、勝ち点で並ぶ7位・東京Vおよび勝ち点2差でその下にいる横浜FCと千葉に抜かれないために、何が何でも勝ち点を積み上げたい状況。
 
松本が福岡と、千葉が名古屋との上位対決で、東京Vは最近好調の京都と。長崎が曲者の讃岐戦を迎えることで名古屋と福岡にも火がつくことは必至で、いやが上にも盛り上がるシーズン最終盤となっている。
 
われわれも、他会場の結果にもより確率的にはわずかだが、まだ数字上はプレーオフ参戦の可能性を残している。だが、チームはこれまでどおり目の前の一戦に勝利することだけに集中して今節に臨む。片野坂知宏監督は「この時期、目標がないチームは、モチベーションも練習自体もテンションが下がるものだが、こうやって最後までテンション高く戦っていけるというのは幸せなこと」と話した。
 
そういう意味ではチャレンジャーのこちらのほうが、プレッシャーもなくのびのびとプレーできるかもしれない。第4節、徳島との前回対戦は0-1で敗れたが、スコア以上に力量差を感じる試合展開だった。あれから日々のトレーニングでコツコツと地力を養ってきたチームがどれだけ成長したかを試すことの出来る一戦ともなるだろう。
 

個の力量、組織戦術、多彩な攻め手を誇る徳島

 
今季就任したリカルド・ロドリゲス監督は驚くべきスピードで戦術を浸透させ、これまでは堅守速攻のイメージだった徳島を見事な攻撃型チームへと変貌させた。その攻撃手段は多彩で、相手によって複数のシステムを使い分けながら、スピーディーで的確な状況判断の下に選択肢を使い分けてくる。
 
個の能力の高い選手が多く、特にバイタルエリアでは流動的だ。ここ最近は渡大生と山崎凌吾の2トップの下に島屋八徳や杉本太郎を置く形がハマっており、めまぐるしい人の出入りとボールの出し入れが繰り広げられるので、こちらとしてはボランチを含め集中した守備対応が求められる。
 
また、同じフォーメーションであっても、相手や状況によって起用するメンバーを変え、役割や立ち位置を細やかに変えてくるところも今季の徳島の強さのひとつ。第4節の対戦も采配合戦になったが、プレーや判断のクオリティーが高い徳島に勝ち点を持っていかれた。
 
全体にインテンシティーが高く、球際へのプレッシャーも激しい。その勢いを落ち着いていなせるかどうかにも、大分の成長度合が表れると思われる。鈴木惇も「ボールを動かすところは当時に比べてレベルアップできていると思うので、怖がらずにチャレンジしたい」と決意を口にした。
 

自信と落ち着きを持って今季の集大成を

 
徳島戦に向けて準備期間が短い今週は、週の立ち上げから、より実戦を意識した色合いの濃いゲームが行われた。メンバーを入れ替えながら複数システムを試し、新たなオプションも手探りされた。
 
初めての試みもあったが、松本怜は「片さん(片野坂監督)がいままでずっと言い続けてきたことをみんなが理解しているようで、どのパターンでもすごくすんなりとプレーできた」と言う。個々でずば抜けた能力のある絶対的なプレーヤーはいないかもしれないが、組織としてさまざまな状況に対応できるだけの力量が養われてきたことは、ここ最近の試合内容からも感じられる。
 
ただ、狙いどおりの形は作れていても、決定機を逃して流れを手放し、勝ち点を取りこぼす展開が数多くあった。前節は決定機で判断が遅れたことで相手にゴール前を固められてしまった場面もいくつか見られた。指揮官からはあらためて「やりきること」を徹底されたようだ。今週は居残りシュート練習に取り組む人数が多く、そのテンションも高かった。
 
何人かの怪我人は復帰し、トレーニングでも好調さの見える戦力がいて、チーム状態は良い。あとは自信と落ち着きを持って、今季の集大成を、勝利という形で成し遂げるだけだ。