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今節の見どころ

昇格戦線生き残りを懸けて。破壊力満点の相手を上回りスタイルを表現して攻めよ

 

明治安田J2第37節、ホームに迎えるのは、開幕戦以来の対戦となる2位・福岡。ボランチ・鈴木惇の不在をどう埋めるかが最大の課題となる今節、指揮官はどのような布陣で“片野坂サッカー”体現を目論むだろうか。

 

ボランチの人選には頭を悩ませたが…

 
今節は、上位との直接対決を3試合残すうちの最初の1試合。J1昇格争いに絡み続けるために、絶対に落とせない重要な一戦だ。
 
ここまで34試合に出場し、的確な状況判断でゲームを組み立てて戦術体現を担ってきた鈴木惇が、今節は累積警告による出場停止、かつ契約の関係でも出場できない。これを受け、片野坂知宏監督は、週の立ち上げから細かくメンバーを入れ替えながらゲームを繰り返し、その不在を埋めるメンバー選考を進めた。
 
試合開催スケジュールの都合で準備期間が1日短い中、初日はどの組み合わせも、攻守ともに上手く行かなかった。指揮官も人選に悩んでいる様子で、一時はどうなることかと思われたが、翌日、非公開で行われた紅白戦の後には、その腹づもりもほぼ決まったようだった。
 
鈴木惇と同タイプのプレーヤーがいないため、代わりに誰が入っても、攻撃のニュアンスは若干変わってくる。むしろその“代役”を組み込んだ布陣が、鈴木惇バージョンとは異なるポテンシャルを生み出して、新たなオプションのひとつとなってくれれば理想的だ。「出るメンバーはいま奮起しないでいつ奮起するのかというタイミング」と松本怜もハッパをかける。
 
ボランチの人選次第では周囲の組み合わせが変わる可能性もある。練習ではこれまでやったことのない組み合わせも試しており、そのあたりも含め、フタを開けてみてのお楽しみだ。
 

戦い方に幅と現実味を増している福岡

 
福岡は現在、勝ち点67で2位。勝ち点3差で追う3位・長崎と、自動昇格枠を争ってデッドヒートの真っ最中で、向こうとしても取りこぼしの許されない状況だ。隣県同士の九州ダービーということもあり、サポーターもいつもより多く乗り込んでくると見られる。
 
最近の福岡は、手の届きそうなところまで来ているJ1昇格を目指し、以前よりも戦い方に現実的な色合いを増している。個々のポテンシャルが高い戦力をバラエティー豊かに取り揃えており、その選手層の厚さをフル活用するかたちで、複数のオプションを使い分けながら好位置をキープしてきた。
 
最大の脅威はやはりウェリントンだが、他にも好調なメンバーが顔を揃える。ウェリントンの出場停止期間中に1トップで起用された仲川輝人がハマり、その長所を発揮していやらしい存在となったのをはじめ、前節途中で負傷交代した松田力も出場に問題はなさそう。
 
また、6月に加入した韓国人DFウォン・ドゥジェが守備の強度を増し、彼をアンカーに置いてその前に三門雄大と山瀬功治を並べる中盤の組み合わせも、良い守備から良い攻撃への切り替えを力強く支えている。
 
サイドでは駒野友一や亀川諒史が主導権を握り、岩下敬輔を軸とした対人に強い最終ラインも多彩な組み合わせで複数システムに対応。スーパーサブとして猛威をふるう石津大介や、坂田大輔、城後寿といった経験豊富なメンバーもいる。
 

培ってきた力を存分に出し切りたい

 
福岡のシステムとメンバー起用、それによる戦法がことごとく予想しづらく、対相手の準備は決して簡単ではない。
 
ただ、このチームはこれまでに実戦を通じてさまざまなオプションを身につけてきており、ピッチ内で臨機応変に使いこなすまでにはまだ至っていないものの、指揮官の采配により柔軟に対応できる力も擁している。その組織力が福岡の強さを上回れるかどうか、地力が試される機会でもある。
 
いずれにしても、攻守においてやれることは、これまで準備してきたことだけだ。日々、地道にトレーニングで積み重ねてきた収穫を、このシーズン最終盤で、悔いのないまでに存分に発揮したい。
 

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