シーズン終盤、ひりつくミラーゲームの相手は昨季プレーオフ決勝敗退の岡山
10月1日に行われる明治安田J2第35節・岡山戦。前節の金沢戦に続くアウェイ連戦だが、今季を良い形で終えるためにも、チームは士気を高めて敵地へと乗り込む。
アウェイで13時キックオフの難しさ
今週も先週に引き続き、サブグラウンドでのトレーニング。今節はミラーゲームが予想されることもあり、コンビネーションを生かしたマークの剥がし方などに細かい指示が多く飛んだ。
アウェイ連戦の上に、今節は前節の15時よりさらに早い13時キックオフ。ナイトゲームから切り替わったことでのコンディション調整に加え、厳しい残暑も懸念されるため、片野坂知宏監督は選手たちに入念な準備を説いた模様だ。
今季も終盤に突入し、史上稀に見るレベルで混戦をきわめたリーグ戦も、ここまで来てみればやはり、地力に勝るチームが上位を占めている。夏場は中位に沈んでいた実力派も、しっかりと帳尻を合わせてきた。その中で現在、プレーオフ圏内まで勝ち点2差の8位。上位との直接対決も残しており、プレーオフ進出を狙いたい気持ちも、どうしても強まってくる。
指揮官も「そういう経験は、今後につながる良い影響、良い刺激になると思う」と見ている。以前から「今季はJ3から昇格してきた1年目で、仮に中位で終わっても、今季の成果としては悪くないと選手たちには言いたい」と話していたが、目の前の試合での勝利を目指し続ければ、大きなチャレンジも可能になる。どういう「勝ちに行き方」を選択するかも、ここからの見どころのひとつだ。
堅実ながら力量ある攻撃陣を多く擁する岡山
片野坂監督体制2年目の今季は土台固めのシーズンと言い続けてきた大分とは異なり、昨季、プレーオフ決勝でC大阪に敗れた岡山は、今季もプレーオフ進出、J1昇格を目指して戦っている。現在12勝13分9敗の勝ち点49で10位。水戸、千葉、山形がそのあとを追っており、我慢強く勝ち点を積み上げたい緊張状態の中にある。
9月に入ってからは4戦未勝利。ただ、山形、町田と中位同士の直接対決に引き分けたものの、実力派の徳島とは派手な打ち合いを演じ、3得点3失点での勝ち点1。前節、讃岐との“瀬戸大橋ダービー”は、息をつかせぬ緊迫した展開の中でひとつのミスを突かれて敗れている。
勝利から遠ざかっている現状だが、長澤徹監督が凡事徹底で築いている持ち前の堅実さは健在で、ほとんどの試合がロースコア。だが、赤嶺真吾やオルシーニら起点となり決定的な仕事を果たす1トップ要員の下に、彼らと絡むシャドーにも、伊藤大介、豊川雄太、石毛秀樹ら、能力の高い攻撃陣が並ぶ。ボランチの関戸健二と塚川孝輝も攻撃に絡み、流動的に相手を崩しながら攻めてくる。
特に14年に大分でもプレーした伊藤は嫌な位置をこまめに動きながらフィニッシュにも絡んでくる厄介な存在だ。前回対戦は負傷のため赤嶺とともに不在だったが、今回は2人揃って出場しそうで、警戒しなくてはならない。前回対戦の得点の起点となった経験豊富な加地亮や、多彩なポジションをこなしロングスローも武器とする片山瑛一も脅威的存在だ。
ここまで全試合に先発している喜山康平が出場停止のため、代役を誰が務めるかも注目ポイント。連係に甘さがあれば、ブラインドサイドを突いていきたい。
守備では相手に自由を与えず、バランスを保って攻めよ
おそらく見込み通りミラーゲームとなる今節は、まずは局面で対峙する相手に負けないことが求められる。派手なことはしないが球際強く切り替えの早い岡山に対して、その部分で上回れなくては、苦しい戦況は必至だ。
流動的に攻める技術の高い相手に自由を与えないよう、布陣をコンパクトに保って対応したい。前線から最終ラインまでの意思疎通を欠かさず、寄せるべきところではしっかりと寄せて、良い状態で配球させないようにしなくてはならない。
攻撃では、タイミング良く呼吸を合わせて組織で相手を剥がすことがポイント。攻守がめまぐるしく切り替わる展開も予想されるので、互いに流動的な中、バランスを崩さずにリスクマネジメントしておくことも必要だ。得点力不足の傾向に悩むチーム同士の対戦、セットプレーが勝敗を分ける可能性も高い。
「最後まで集中を切らさず、チームとしてまとまって戦うことが大事」と山岸智。「ここまで積み上げてきたものを表現できれば、結果は自ずとついてくる」というキャプテンの言葉どおり、日頃のトレーニングの成果を発揮して好ゲームを演じたい。