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今節の見どころ

J2屈指の攻撃力を誇る名古屋との対戦。したたかな試合運びで勝ち点を奪え

 

山口、群馬と下位に沈むチームとの対戦を、苦しみながらも連勝で終えたチームは、9日、3位・名古屋との戦いに臨む。

 

攻守にわたる意思統一に時間を割いた

 
7日は雨模様で、遠雷が鳴っていた。そのため、片野坂知宏監督は通常の試合前々日のルーティンから攻守ゴール前練習を省き、紅白戦(非公開)を早めて、対名古屋における戦術確認をみっちりと行った。
 
明治安田J2第13節、ホームでの前回対戦は、守ってカウンターを仕掛ける狙いが見事にハマり、4-1と快勝した。だが、名古屋もあれから戦術の完成度を高め、夏には戦力の入れ替えも行なって、リーグ後半戦を快調に戦っている。
 
新戦力の中でも、特にカブリエル・シャビエルは8試合出場で8アシストと、早くもチーム内アシストランキング1位に躍り出ている。最近は3-4-2-1システムのシャドーに落ち着いているが、第25節の熊本戦と第26節の愛媛戦では3-5-2のトップ下、その前の京都戦では4-3-3のインサイドハーフに配置されていた。今節もどのような形のどの位置で出てくるかが気になるところだ。
 

中盤のテクニカルなパス回しに翻弄されるな

 
ただ、前回対戦時もそう警戒していたように、「名古屋は形があるようでないようなチーム」(片野坂監督)。どのようなシステムであっても中盤から流動的に短いパスを回し、相手を食いつかせて崩す。
 
八反田康平は前節の負傷で出場できず、こちらとしては複雑な思いもあるが、中盤にはほかに田口泰士、小林裕紀、青木亮太、和泉竜司ら技術が高くアイデアあふれるメンバーが揃っており、枠を決められずにセンスやひらめきでプレーしている色合いが濃いので、形のある対策を準備することは難しい。
 
こちらも古巣戦となる永井龍が出てくれば、そのハードワークも警戒しなくてはならないだろう。
 

相手ペースに巻き込まれないよう割り切りも必要

 
そんな相手の得意とする、速く細やかなパスワークに翻弄されないことが肝要だ。「奪おうとして不用意に飛び込むのを狙っている感じがある」と松本怜。指揮官もトレーニングの中で「チームで意思統一することがいちばん大事」と強調した。
 
間に顔を出して少ないタッチでボールを動かし、相手を変化させて攻めるという狙いは、まさにこちらが目指しているスタイルであり、出来ることならこちらが主導権を握って仕掛けたいところだが、無理に意地を見せようとすれば相手の思うツボにハマる。
 
「我慢しながらカウンターを狙えば、自分たちの時間帯も作れる。主導権を握れるなら握りたいが、割り切りも必要」(松本怜)、「ボールを回されて自分のプレーに集中できない状態になり、相手のペースに飲み込まれないように耐えたい。いままでもそういう形で得点できていたりするので、それは狙いでもある」(後藤優介)と、選手たちも冷静な姿勢だ。
 

スタイルの相性が良い相手とも言える

 
同サイドに人数をかける相手に対しては、奪って素早く逆サイドへ展開すればビッグチャンスになる。また、前がかりになった相手の背後を突く戦法も、本来の大分が目指しているところだ。
 
粘り強く相手の攻撃をしのぎながら、そういったチャンスで仕留めることが出来るかどうかが勝敗を分けるカギとなる。小手川宏基は「主導権を握れればそれがいちばんだが、まずは失点しないことが大事。回される時間があると思うが、リードしているのとされているのとでは、そういうときの意識も変わってくる」と、90分を通しての戦いを見据える。
 
確かに名古屋は、リーグ屈指の攻撃力を誇る相手ではある。が、あるいは大分のスタイルと相性が良い相手でもあるかもしれない。それを実感できる一戦にして、今季初の3連勝を狙いたい。