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今節の見どころ

最下位相手に難しい展開は必至。シーズン終盤に向け気を引き締めたい一戦

 

2日に開催される明治安田J2第31節H群馬戦。こちらのホームゲームとはいえ、現在14試合白星なしで最下位に沈む相手は、J2残留を懸け、失うものなく臨んでくるはずだ。難しいゲームになることは間違いない。

 

最下位の群馬に失うものはない

 
4-0で勝利した第20節、アウェイでの前回対戦も、決して簡単な試合ではなかった。2点目を取るまではどちらに転ぶかわからない展開。大事な時間帯に得点を重ねることで流れを引き寄せ、最終的にこのスコアでの勝利へと持ち込むことが出来た。
 
前回は3-4-2-1同士のミラーゲームだったが、群馬は第24節から4バックシステムへと変更。今節も4-4-2でスタートしそうだ。開幕以来、30試合すべてで失点している守備にテコ入れする狙いだと思われるが、依然としてイージーなミスからの失点は止まらず、得失点差-38と深刻な状況が続いている。
 
一試合ごとに降格へのプレッシャーが高まり、次第に追い詰められている群馬にとってはすでに失うものはない。なりふり構わず戦ってくることは間違いなく、片野坂知宏監督は警戒を強める。
 
「群馬は最下位ということで、球際の激しさも増してくる。(森下)仁志は選手を戦わせ、そういうところで負けることを許さない監督で、球際激しくファウルも辞さない攻防を制するサッカーを、いまもしている。それを受けてしまうと厳しくなる」
 
前節の山口戦で4試合ぶりに勝利したことへの安堵感と、前回対戦で大勝した最下位の群馬が相手という油断が、気の緩みを生じさせるのではないかと読む指揮官は、「ここで引き締めてやらないと、今後にも影響するゲームになる」と厳しい表情を見せた。
 

相手の寄せに慌てず正確にボールを動かせるか

 
一方で、敵将・森下監督は「前回対戦時の大分は最も良い状態だった。いまの大分に対してなら勝機はある」とコメントしている。
 
確かに、大分の新スタイルの輪郭が見えてきたところで対戦相手に研究されはじめ、勝ち点を獲得するのはさらに難しくなっている状態だ。その中でもチームは日々、地道なトレーニングを重ね、戦術の完成度を高める努力を続けているが、そうそう一朝一夕に成長できるものでもない。
 
球際激しく奪いにくる相手に対して、慌てず正確にボールを動かして主導権を握ることが出来るかどうかが、このゲームの内容を左右するポイントになりそうだ。ここ最近の試合では、ビルドアップの過程でのミスでボールを失い、カウンターを受ける場面も少なくない。カン・スイルや高井和馬、山岸祐也や岡田翔平と、多彩なタイプの攻撃陣を揃え前線に威力を持つ群馬だけに、ショートカウンターで仕留められるリスクは、つねに留意しておかなくてはならないだろう。
 
ここ最近続いているセットプレーでの失点にも気をつけなくてはならない。ただ、これは相手も同じなので、むしろ得点したいところでもある。
 

徐々に右肩上がりの流れをしっかりと手繰り寄せたい

 
前節は川西翔太がコンディション不良で欠場したが、小手川宏基がボランチを務め、渋く地味ながらかけがえのない存在感で攻守に絡んだ。相手のハイプレスに遭って攻撃参加の機会を減らしていた鈴木義宜と福森直也も積極的な姿勢を見せ、両WBの松本怜と山岸智も鋭い仕掛けで起点となる回数を増やしている。
 
好調の伊佐耕平と並んで、鈴木惇が2試合連続得点中なのも、ボランチから前線まで上がる形を作れていることの証左。いずれも松本のクロスからで、呼吸が合ってきた感触もあるという。山口戦の決勝点では途中出場したばかりの姫野宥弥が崩しに絡んだことも明るい材料だ。
 
3連戦を2連敗でスタートし、3戦目で引き分けてからの前節の勝利。前半に出た課題を修正して後半に立て直した点においても、徐々にではあるが右肩上がりに来ているところだ。ここで踏ん張って、この流れを確かに手繰り寄せたい。
 
当初の目標としていた勝ち点45を達成したチームは、次なる目標に向けて突き進んでいかなくてはならない。