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今節の見どころ

難しいシチュエーションで迎える対戦。前節のドローを良い形で今後へつなげたい

 

真夏の3連戦を乗り切ったチームは、中5日で明治安田J2第30節A山口戦に臨む。疲労やコンディション不良により万全ではない戦力もいる中、戦術のブラッシュアップを進めつつ、コツコツと勝ち点を積み重ねていく我慢の時期。前節、徳島に大敗した山口との一戦は、難しい試合になりそうだ。

 

この戦術に何より求められるのは積極性

 
真夏の3連戦は1分2敗に終わった。相手に対策され封じられrた戦術を、連戦中の短い準備期間に高めることは難しかった。自分たちを阻む相手の勢いに気圧され、結果が出ないことからミスを恐れる気持ちが生じて、「プレーが消極的になっていた」と、口々に選手たちは振り返る。
 
それでも、前節のアウェイ京都戦は、前半の消極性を振り切るように、後半には勇気をもって闘う姿勢を見せた。「盛り返す力を見せることが出来た」(山岸智)、「こちらが前に出たことで相手にスペースが生まれた」(松本怜)と、その手応えは確かだ。
 
第27節H町田戦で失点に絡んだ福森直也はこう話す。
 
「片さん(片野坂知宏監督)がどれほど『このサッカーでミスが起きても自分が責任を取る』と言ってくれても、どうしても今ひとつ吹っ切れず、ミスを恐れながらプレーしていた。でもやっぱり、それでは上手くいかない。もっと思い切ってミスを恐れず積極的に片さんのサッカーに取り組めば、良いプレーが出来るし結果にも結びつくと思う」
 
相手の勢いをいなすこの戦術には、腹をくくる大胆さと、そこから生まれる冷静さが不可欠だ。結果がともなえば自信もついて上昇気流に乗れるはずだが、結果が出ず自信を失えば、負のスパイラルに陥るばかりだ。いま訪れている、戦術をもう一段階高めるための我慢の時期を、自信を失わずに乗り越えることが出来るかどうかで、シーズン終盤の戦いが変わってきそうだ。
 

山口は前節の大敗からどう修正してくるか

 
6勝4分19敗、勝ち点22の山口は現在21位の降格圏に沈む。
 
チームの攻撃的スタイルを確立し、J2昇格と躍進への道を切り開いてきた上野展裕氏が5月23日に成績不振のため退任したあと、アルゼンチン出身のカルロス・アルベルト・マジョール監督を迎えた。それとともに3人のアルゼンチン国籍選手も補強して巻き返しを図っている最中だが、なかなか結果が出ていない。
 
加入後4得点を挙げているFWレオナルド・ラモスは、187cm84kgの体躯を生かして前線の起点となる。そこにボールが集まるならば、今節も大分のボランチは、セカンドボール対応のため押し下げられることになるだろう。6得点の岸田和人とともに、前線で迫力ある攻撃を仕掛けてくるはずだ。
 
片野坂監督は、現在の山口の印象を、上野監督時代と比べて「はっきりさせて守備が堅くなった」と話していたが、前節の山口は徳島に0-5で大敗。徳島が地力の差を見せつけて上回った試合だったが、これにより今節の出方がほとんどわからなくなった。
 
敵将が、大敗後の修正をどう施すか。最終ラインに出場停止明けの福元洋平が戻ってくるのを含め、メンバーを入れ替える可能性は大きい。システムを変えてくることもあり得るので、大分としては対策が難しい。
 
小塚和樹や三幸秀稔、佐藤健太郎といった個の能力の高い戦力が揃っており、新体制での戦術的・組み合わせ的にハマれば高いポテンシャルを発揮しそうだ。降格圏から脱出したい思いがプレーにどう影響するかを考慮しても、難しい相手、難しい状況での対戦であることは間違いない。
 
福元洋平と岸田和人、生え抜き2人との対戦は楽しみだが、彼らの古巣戦へのモチベーションに負けないよう気をつけたい。
 

技術や判断力とともに精神力も求められる

 
この難しい対戦に向けて指揮官は選手たちにこう伝えたと明かす。
 
「山口は形があるようでないような感じもある。それに対して大事なのは攻守にわたり予測や駆け引きで先手を取れるようなプレーをしようということ。それと、どういう状況になったとしてもバランスは崩さずに、しっかりコミュニケーションを取ってやること」
 
3連戦の疲労からか、コンディションを崩したメンバーがおり、また、試合前々日の練習中に負傷した選手もいて、チーム状態は最高とは言い難い。負傷を押して出場させるか、先発メンバーを変更するかは、ギリギリまで様子を見てからということになるだろうが、いずれにしてもここからシーズン終盤に向けては、さらなる総力戦になっていくことが予想される。
 
2連敗からの前節のドローを良い形で今後につなげるために、大事な意味を持つ一戦。技術や判断力とともに、精神力も求められる局面に差し掛かっている。