TORITENトリテン

今節の見どころ

競うのは勝利への執着心。光の見えそうなトンネルを先に抜けるのはどっちだ

 

29日に行われる明治安田J2第25節。チームはアウェイで難敵・讃岐に挑む。こちらは4戦、相手は6戦白星なし。いずれも内容は悪くないだけに、風穴を開ける勝利が欲しい一戦だ。

 

明るく集中した雰囲気でトレーニングに励む

 
梅雨が明けて練習グラウンドは一気に夏の陽気になった。湿度はややおさまったものの、強い陽射しの下でのトレーニングはハードだ。コーチングスタッフやメディカルスタッフが考え抜いたメニューで効率的に今節への準備を進めながら、選手たちは明るく元気で、雰囲気は非常に良い。
 
「勝てていないが負けているわけではないし、内容も悪くない。4戦勝っていないというところで、選手たちも『やらなくてはならない』という気持ちがあるのではないか」と、片野坂知宏監督も彼らの集中ぶりを感じていた様子だ。
 
前節の水戸戦で59分から出場して観客を沸かせたシキーニョも、すっかりチームに溶け込み、27日に迎えた28歳の誕生日には、みんなに水かけで祝ってもらった。囲み取材中にのシキーニョに川西翔太が後ろから忍び寄り、フワフワの髪やヒゲをやさしく触りまくって笑わせるという一幕もあった。
 
戦術の方は、合流してからの1ヶ月間にだいぶ頑張ったようだ。今週も水戸戦をベースに、攻守において監督からアドバイスを受けたという。現在は左WBで起用しているが、それによって山岸智、松本怜、黒木恭平、岸田翔平、國分伸太郎らと競争が生まれ、左右ともこなせるメンバーが多いこともあって、WBの層が厚くなった感がある。戦術オプションが増えて、指揮官の采配も楽しみだ。
 

順位こそ下だが、内容は良い讃岐

 
讃岐は現在、2勝8分14敗で勝ち点14の21位。最下位の群馬と勝ち点で並び、20位・山口とは勝ち点5離れている。なんとしても降格圏を脱出しなくてはならない順位だ。ただ、内容的には決して悪くなく、狙いや交代策がハマりながら勝ちきれずにこの順位。対戦するたびに難しい試合になる、決して侮れない相手だ。
 
守備の要のエブソンが負傷離脱中で、最終ラインには日本人選手が並んでいるが、4バックと3バックを使い分けており、今節もどちらで来るかわからない。中盤の形にもバリエーションがある。
 
5戦勝ちなしで迎えた前節のアウェイ東京V戦には、メンバーを入れ替えて3-5-2で臨み、2点を先行。後半に追いつかれたものの82分にもう一度突き放し、86分に追いつかれてドローとなった。
 
アンラッキーな失点だったが、攻撃の選択肢は多く、迫力もある。特に木島徹也は好調で、先発でも途中出場でも存在感を発揮。前線から最終ラインまでどこで出場するかわからないドリブラー西弘則、スピードと勢いで駆け引きの上手い原一樹と並んで3人が4得点ずつ挙げている。馬場賢治や我那覇和樹ら経験豊富で勢いのある攻撃陣は、なかなかに脅威だ。
 
「前節も良いサッカーをしていた。讃岐は自信を持って自分たちのスタイルで戦ってくるはず」と、片野坂監督は表情を引き締める。
 

勝利への執着心が勝負の分かれ目になるか

 
大分としては、讃岐の前線からアグレッシブに奪いに来る守備を上手くいなせるかどうかが最大の課題。ボールを動かしてプレスに来たところを剥がし、その背後のスペースを使って攻めることが出来れば、ゴールへと迫る機会も増えるはずだ。
 
ただ、讃岐は前節も東京Vに圧倒的に支配されながら、リスタートやミドルシュート、カウンターで少ないチャンスを仕留めている。リスクマネジメントを怠ってはならない。
 
距離の割に移動の負担も大きい讃岐で、蒸し暑い夏のナイトゲーム。互いに勝利から遠ざかっている状況で、どちらが結果への執着心を発揮できるかが勝負の分かれ目になりそうだ。